35
帰り道であれだけ泣いたのに、まだ涙は後から後から溢れてくる。
家に帰った私は、自分の部屋で毛布にくるまって思いっきり泣いた。
そのまま眠ってしまって、目を覚ました時には夜になっていた。
リビングからお姉ちゃんが私を呼んでいる声がする。
もう夕ご飯の時間みたい。
まぶたが腫れてピンク色になってるけど仕方ない。
私はとりあえず顔を洗ってから、リビングに顔を出した。
お姉ちゃんは私の顔を見るなりギョッとして、心配そうにどうしたのと訊いてきた。
自分でいくら考えても訳がわからなくて、小崎くんとのことを全部お姉ちゃんに話すことにした。
細かいところは省きつつ、しゃくりあげながら話す私の背中を、お姉ちゃんは時々相槌をうちながら優しくさすってくれた。
ようやく全部話し終えると、お姉ちゃんはあごに手を当ててなにか考えていた。
「その小崎くんは、真面目な子なんだよね?ふざけて手紙を返したりするようなバカな子ではない…と。まあ、あんたが好きになる子だもん。真面目なのは間違いないわね。」
「うん…」
「う~ん…。その手紙本当に彼に渡したの?」
「ちゃんと上靴の上に置いたよ。名前も確かめたし。」
「でも、手紙が風とかで落ちたりして、読んでないってことはない?」
「今日の小崎くん、いつもと違ったもん。なんかそっけないっていうか…一度も話しかけてこなかったし。手紙を読んだのは、たぶん間違いないと思う。」
「読んでもそっけない態度で、手紙を返した…か。ふむ。あんた、その手紙ちょっと見せてごらん。」
「え~!やだよ。」
「いいから。早くもっておいで。」
うむを言わせぬお姉ちゃんの迫力に、私は恥ずかしいのをこらえて仕方なく手紙を見せた。
「どれ。…シンプルな文章だね~。」
馬鹿にされて、言い返す。
「いいでしょ!いろいろ考えて、こうなったの!」
「いいけどさ。あんた、これ宛名がないよ。」
「え?」
本当だ。
宛名、書き忘れてた…。
「おばか…。」
お姉ちゃんが呆れた顔で言う。
本当、私のバカ…。
もしかして、小崎くん、この手紙が自分宛ての手紙ってわかってない?
私が誰か別の人に書いた手紙だと思ったのかな?
だとしたら、私、すっごいバカだ…。
一人で嫌われたとか勘違いして泣いて……。
でも、どうしよう。
小崎くん、誤解してるのかな?
違うのに…。
どうにかして、誤解を解かなくちゃ……。
どうしたらいいのかな…。
私は一生懸命考えた。




