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朝、下駄箱で上靴に履き替えようとしたら、足元にピンク色の封筒が落ちていた。
危うく踏みそうになって、僕はその封筒を拾った。
宛名も差出人もなく、どうしようもないので、失礼して中の手紙を取り出してみる。
あなたが好きです。
開いた瞬間、その一文にドキリとする。
たった一行の手紙。
シンプルだけど、それがかえって胸に響く。
下の方に目をやると、
水野 明
と書かれていた。
これは…水野さんが書いたラブレター?
水野さん、好きな奴がいるんだ…。
この前、僕が抱きしめても全然嫌がらなかったのに………
少し期待していた分だけ、ショックは大きい。
あの時心の中で期待した自分が滑稽で、おかしくてたまらない。
でも、本当にこれで、あきらめるしかなくなったな。
彼女に好きな奴がいるなら、応援してやるのが友達だろ。
僕は、男らしく潔くあきらめなくちゃ…。
あ~あ。
やっぱり、恋なんてするもんじゃないな…。
自嘲気味にかわいた笑いをもらす。
朝からすっかり暗い気持ちになった僕は、重い足取りで教室に向かった。
教室に入ると、水野さんが僕とは対照的に明るくあいさつしてきた。
それになんだかムカムカして、そっけない態度になってしまった。
しばらく、彼女の前では笑えない気がする。
僕は、男らしくない…。




