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月曜日の朝、いつもよりかなり早く目が覚めた私は、ほとんど人のいない静かな道を歩いて学校へ向かった。
早朝の清々しい鳥のさえずりを聴きながら、気持ちを落ち着かせる。
時刻は6時半。
学校はしーんと静まり返り、生徒はまだほとんどきていないみたいだ。
私は靴を履き替えてからまわりをキョロキョロと見回して、誰もこないことを確かめた。
小崎くんの下駄箱は二番目…。
私は彼の上靴の名前を確認して、上靴の上にピンク色の封筒を置いた。
…これで、気づいてくれるよね?
もう一度祈るような気持ちで手紙を見つめてから、私は教室へ向かった。
誰もいない教室に入って、自分の席にカバンを置いてから、小崎くんの席の横に立った。
そっと彼の机をなでる。
机には鉛筆で漫画のキャラの落書きがしてあって、くすっと笑みがこぼれた。
まだ、誰もこないよね?
入口をちらっとみて、誰もこないことを確認してから、椅子を引いて彼の席に座ってみた。
私のより少し高い椅子。
教室の風景も、いつもと違って新鮮に映る。
私の席は右斜め前に見える。
小崎くんは、こんな感じで私のことを見たりするのかな?
一人でそんなことを考えて、ほっぺたが熱くなった。
ハッと気づくと、いつのまにか、時計の針は7時すぎを指していた。
そろそろ、誰か来るかもしれない。
私は急いで自分の席に座り、予習でもしようかとノートを広げた。
でも手紙が気になってそわそわして、予習どころじゃない。
仕方なく私は机に突っ伏して、時間が過ぎるのを待った。
やがて、一人また一人とクラスメートが教室にやってくる。
そして、時計の針が7時半を回る頃、小崎くんが教室に入ってきた。
彼が私の席のそばを通るとき、今日もまた目が合った。
「おはよう。」
私は少し緊張しながらも、精一杯明るくあいさつした。
「…おはよう。」
小崎くんは、あいさつを返してくれたけど、なんとなくいつもと様子が違う。
昨日はもっと優しい表情をしてた気がするけど、今日はなんだかそっけない。
あの手紙を読んで意識してるのかな?
その時私は、呑気にそんなことを考えていた。




