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「…そろそろ起きなさい。5時間目始まるよ。」
先生の声に目が覚めた。
……………。
夢を見ていた気がする。
いい夢だった。
水野さんを抱きしめている夢…。
彼女の手が僕のおでこにふれていた…。
冷たくて気持ちいい手だった。
ふいにそれが離れていきそうになって、手をつかんで引き止めた。
でも、それだけじゃたりなくて、僕は彼女を抱きしめた…。
やけにリアルな夢だったな…。
彼女のぬくもりや匂いまで鮮明で………
「小崎くん、熱はどう?」
ふいに先生に呼ばれてドキッとした。
変なことを考えていたのを、先生に見透かされたかと思った…。
体温計を渡されて、熱を計ったら、36.6℃。
平熱だ。
我ながらすごい回復力。
僕は子どもの頃からよく熱を出した。
でも、一晩寝ればだいたい次の日には下がっている。
おかげで、母親は僕が熱を出しても全く心配しなくなった。
「よし。5時間目は出れそうだね。そうそう、さっき友達がきてたよ。加藤くんだっけ。」
僕はゆっくりベッドから起き上がる。
熱があったからか、一瞬、頭がクラッとした。
ベッドから出て、ふと枕元にビニール袋が置いてあるのに気づいた。
中には、パンが2つ入っている。
ハムチーズパンとチョコパンだ。
加藤が持って来てくれたのかな?
僕はありがたくそれらを平らげて、教室に戻った。




