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不意に、ガラッと勢いよく扉が開いて、小崎くんが教室に入ってきた。
良かった―――。
ほっとして、何気なく彼が席に着くのを見ていたら、ふと彼もこっちを向いて目があってしまった。
ドキン!
慌てて小さな声であいさつをする。
「あ……お、おはよ。」
「おはよう。・・・・ぅあっくしゅ!」
彼は大きなくしゃみをして、鼻をすすりながら席に着いた。
やっぱり、昨日あんなに濡れたから風邪引いちゃったのかなぁ。
私は申し訳ない気持ちでいっぱいになって、いすに座ったまま、体ごと左後ろの小崎くんの方に向き直った。
「あの・・・風邪?大丈夫?」
「うん。全然、大したことないよ。」
彼はそう言って表情を和らげた。
「水野さんは風邪引かなかった?」
「うん。小崎くんのおかげで全然濡れなかったから・・・。」
私は小さく笑って答えた。
「良かった。」
言いながら、小崎くんは優しく微笑み返してくれる。
ドキン
また、心臓が飛び跳ねた。
私どうしたんだろう…。
ドキドキしながら彼の笑顔を見つめる。
「水野さん、顔赤いよ。本当に大丈夫?」
ハッと気づくと、小崎くんが心配そうに私の顔を見ていた。
さっきよりも間近にある彼の顔をみたら、余計にドキドキが激しくなる。
「だ、大丈夫。」
私は慌ててうつむいて返事をした。
どうしよう・・・小崎くんの顔が見られない・・・。
自然に話さなきゃ、変に思われちゃうよ・・・。
焦ってなにか言葉を探していると、ちょうど先生が教室に入ってきて、HRが始まった。
はぁ。良かった・・・。
私は高鳴る胸を押さえながら、ホッとため息を吐いた。
だけど、さっきの彼の笑顔がいつまでも脳裏に焼き付いて離れない…。




