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翌日、熱がさがった僕は、少し緊張しながら学校へ向かった。
げた箱で上靴に履き替える。
水野さんは………もうきてるみたいだ。
彼女の下駄箱に靴が入っていた。
教室に近づくにつれ、僕の緊張はだんだんひどくなってくる。
昨日の今日でどんな顔をして彼女に会えばいいのか…。
昨日の会話…水野さんは僕の気持ちに気付いただろうか。
考えながら歩いていると、あっという間に教室についた。
ドアに手をかけてできるだけいつものように自然に開く…つもりが、力が入りすぎたのか、ドアは大きな音を立てて元気よくガラッと開いてしまった。
みんなの視線がこっちに集まる。
水野さんも一瞬こっちを見た。
でも、すぐにぱっと目をそらされてしまった。
「小崎ー。熱はもう下がったのか。よかったなー。」
いつもつるんでいる加藤が話しかけてきた。
「おお。もう大丈夫。」
僕は加藤に返事をしながら自分の席に向かった。
水野さんの席の横を通る時ちらっと彼女を盗み見たが、水野さんは下を向いてノートに何か書いていて顔も見えなかった。
自分の椅子に座って荷物を直していると、加藤が僕の席にやってくる。
「昨日さぁ、水野さんがきたんだろ?」
「え?う、うん」
考えていた人の名前がいきなり出てきたので、思わずどもってしまった。
意外に鋭い加藤はそれだけで何か気付いたらしい。
「なんだよ?なにかあったのか?」
案の定、聞いてきた。
「いや、別に」
「・・・ふーん。水野さんかぁ。・・・いいんじゃない?」
こいつ、マジで鋭い!いきなり核心を突いてきた!
「なにが?」
僕はとぼけてごまかそうとしたが、加藤には通用しなかった。
「水野さ~ん。小崎が…」
ちょっと待て!!
いきなり何を言い出すんだ!?
僕は、あわてて加藤の口をふさいだ。
このままでは勝手に告白されかねない。
「待って!頼むから、変なことは言わないでくれ!!」
僕は仕方なくこの二日間のことを加藤に白状した。
「…………ふーん。
で?どうする訳?」
「どうするって…」
それを今、考えてるんだよ。
「今まで、女には全っ然興味なかったおまえに、17にしてや~っとできた好きなやつなんだから…告白しろよ」
「は?まだ、一昨日好きになったばっかりなんだけど…」
「こういうのは、好きになったばっかりとか、そんな時間とかなんとかは関係ねーの。早く言ったもん勝ちなの。ぼーっとしてたら、誰かが先に水野さんに告って、彼女取られちゃうかもよ?
水野さんってまじめだけど、けっこうかわいいし。いいのか?他のやつのもんになっても」
「そりゃ、良くないけど…」
今までに何人もの女子と付き合った経験のある加藤の言葉は、妙に説得力があった。
なんだか、だんだん、告白しようかという気になってきた。
「だろ?早くしないと、俺がとっちゃうかもよ?」
……………。
冗談だよな?
こいつ、今彼女いるし。
でも、危ね~。
「……わかった。ちゃんと告るよ」
「よし!じゃあ、後で結果聞かせろよ」
「は?今日?」
「だーかーらー、告るって決めたんなら早いほうがいいだろ。昨日の今日だ。ちょうどいいタイミングだろうが」
「お…おう。」
「がんばれよ。振られたら、やけ酒につきあってやるから(笑)」
「なんだよそれ(笑)」
こいつはこいつで、結構いいやつなんだよな~。
加藤なりの励ましの言葉(?)を受け取って、僕は玉砕覚悟で水野さんに告白することを決意した。




