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chocolate time  作者: さや


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10

コン コン


「水野ですけど・・・」


あれ…返事がない。

もう一度、今度はもう少し強くたたいてみる。


コン コン!


「水野ですけど……!!」


………やっぱり返事がない。

仕方なくドアをそーっとあけて中に入る。


部屋の中はしーんとしていて明るかった。

夕方の強い光を遮るために、紺色のカーテンが半分だけひかれていて、窓から差し込む光が、部屋を温めていた。


正面の壁には、漫画や雑誌が棚いっぱいにおさめられていて、仮面なんとかの人形が机の上できちんとポーズをとってならんでいる。


男の子の部屋ってもっと汚いと思ってたけど、きれいにしてるなぁ。


右側のベッドには、仰向けでぐっすりと気持ちよさそうに眠る小崎くんがいた。


クラスメートの寝顔なんて、そうそうじっくり見ることなんてない。


なんだか…かわいい寝顔。


なんとなく興味で一歩二歩と近づいたら床がぎしっと鳴った。

その音に小崎くんが目を覚ます。

でも、まだ完全に覚醒してはいないのか、ぼーっと私の顔を見ている。


「・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・」


「うわぁ!!!」


「きゃぁ!!!」


「え?え?なんでここに水野さんがいるの?」


キョロキョロと、あたりを確認しながら小崎くんが聞いてくる。

私はさっきの声にびっくりして、一瞬、頭が真っ白になってしまった。


「あれ?わたし、何しにきてるんだっけ……あ、そうだ!先生からプリントを渡すように頼まれて…あと、昨日のお礼を言いたくて…それで、小崎くんに風邪うつしちゃったかもって思って、それで……」


う~。

言ってて自分でも意味がわかんない。

それでも、私のつたない説明で小崎くんはわかってくれたらしい。

彼は少し微笑んで言った。


「ああ。そっか。ありがとう。別に、水野さんの風邪がうつったんじゃないし…。えっと…、知恵熱っていうか…え~っと……」


「???」


「いや、いい。気にしないで」


小崎くんは、下を向いて小さい声でそう言った。


なんだかよくわからないけど、風邪をうつしちゃったわけじゃないみたい。

ちょっとほっ。

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