最強の万能剣士のおじさん、弟子に稽古を付けるⅡ
「良い素振りだ、マリナ。姿勢も良くなっている」
「師匠、ありがとう」
マリナと早くから出会っていて本当に良かったと思う。
稽古から三日立つし、基本的なことはもう指導しなくても大丈夫だろうな。
「マリナ……早速だが、稽古に入ってみないか?」
「うん、私、師匠と一刻も早く稽古したい!」
「そうだな、俺も成長したマリナと一度特訓をしてみたかったからな」
しかしその時、魔物の気配がした。何処からか魔物がやってくる。一匹や二匹ではない。それどころかボスまでいる感じだ。
ズシン、ズシン、ズシン、ズシン、ズシン!
大きな足音が聞こえて来た。森中に響き渡る。
「一体何かしら? 師匠?」
怯えている彼女が俺の後ろに隠れる。
「マリナ、俺から離れるなよ」
「う、うん」
姿を表したのは狼の集団と鋼の武装をしたワニ型の巨体な魔族だった。
先ほどの気配はコイツだな。
「……貴様等、人間だな。俺様のテリトリーに入って来やがって」
「そうか、ここはお前の領域だったか。それに気付かず非常にすまないことをした。許してほしいとは言わないが、ここは見逃してくれないか?」
「見逃すだと? そんな訳にはいかん、勝手に俺様のテリトリーに侵入しておいて只じゃ済ませないからな! お前達、殺れ!」
「止めておいた方が良いものを」
俺は鞘から剣を抜く。飛び付いてきた狼達を目にも見えない速さで斬っていく。
【必殺、多殺斬り】
スパアアアアアアアン!
ギャンギャン、ギャン、ギャン、ギャン!
狼の集団達が断末魔の叫びを上げて消滅していく。
「やっぱり、師匠は凄いや」
「大したことない技術だ」
冒険者ギルドにいた時にも使った技。しかしアイツ等は俺が敵を高速で斬りつけて消滅させても、何をしているのか全く気付いていなかったようだ。逆にのんびり突っ立っているおっさんだと罵られもした。
「何だ、貴様。良くも俺様の可愛い子分達をやってくれたな!」
奴が大型の巨体な剣を振りかざそうとしてくる。
「マリナ、良い物を見せてやろうか? お前、レイピア使いだろう?」
「う、うん」
俺は剣をガード代わりにして奴が攻撃するのを待っている。
「盾代わりか、そんなことをしても俺様の超巨大な剣には勝てないんだよ!」
奴が大型の巨大な剣を振りかざしてくると、俺はタイミング良く奴の攻撃を受け流す。
パキイイイイーン
「な、何!?」
奴が後ろにのけ反り大きな隙が出来る。そこを俺は自身の必殺技を叩き込む。
【必殺、超多殺斬り】
スパアアアアアアアン!
頑丈な鋼が高速で攻撃をしている俺の剣により破壊され、奴の体には無数の傷口ができ、たくさんの血が飛び散る。
「ぐうおわあああああああー!」
奴が断末魔の叫びを上げて姿そのものが消滅していく。
「師匠、凄い!」
「何、大したことはない。マリナ、剣術を磨けばお前にも出来る。受け流しの技術が」
「……受け流しの技術」
「ああ。君はレイピアを使っているからな。基本、レイピアは受け流す技術を要する。受け流しは相当な技術だ、そのためには俺の攻撃を受け流す必用がある。練習としてな」
「わ、分かった。私、師匠で練習して技術習得する」
「そうか。では早速訓練を始めよう」
「よろしくお願いいたします、師匠」
こうして俺とマリナの初めての稽古が始まった。
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