最強の万能剣士のおじさん、怪我をしたドラゴンの治療をする
ギャオオオオオ、ギャオオオオオ、ギャオオオオオ!
空に突然の鳴き声が聞こえてくる。
何だ? 俺が空を見上げると、ドラゴンらしきモンスターが空を飛んでいる。
「あれは……デスヴァングル! 女を喰いにやって来たのか!?」
あれがデスヴァングル! だが、動きが弱く如何にも落ちて来そうな感じを受ける。
その刹那
ドシーン!!!
急にデスヴァングルが落下してきたのだ。
「キャアアアアアア!」
腰を抜かし悲鳴を上げるマリナ。
見る限りでは大きな怪我をしているようだ。
恐らく、人間との戦闘中、傷をおった様子だ。
「エヴァン、コイツがデスヴァングルだ! この俺の剣でトドメを指す!」
「待って下さい、エリス殿下。俺のテレパシーで聞きたいことがあります」
「テレパシーだと!」
必殺【自然界話】
「聞こえるか、俺だ。殺す前に質問したい」
「……何だ? 人間か? 私に無用で攻撃をした人間の質問にはあまり答えたくないが」
「それでも答えてくれないか?」
「……何だ? どんな質問だ?」
「何故、お前達ドラゴン族は女だけを喰い殺し、男は喰い殺さない?」
「質問に答えてやろう。男と女は同じ血液ではない。メスのドラゴン族が栄養価にしているのは女の血液だ。男の血液では栄養価に出来ず、女の血液が若ければ若い程、血液の循環が発達し、これにより栄養価にする。メスのドラゴン族は子孫を残すために女の血液が大量に必要になってくる。そのために嗅覚を使い仕分けている」
「それじゃあ、人喰いドラゴンはメスだけだって言うことなのか?」
「そうだ、人喰いドラゴンはメスのみだ。ちなみに私は人は喰わない」
「そうか、じゃあお前は人間に危害を加えるドラゴンではないんだな」
「ああ……私は絶対に人は喰わない。信用してくれ」
「分かった。じゃあ怪我を治してやる」
「何だと!?」
オスのデスヴァングルが驚いたような声で言う。
必殺【自然回復】
[その名の通り、自然的に相手の傷を完治する俺専用の技。どんな深い傷でもいとも簡単に癒し完治させれる]
シュウウウウウウーッ。
深い傷をおっていたデスヴァングルの傷口がゆっくりと完治していく。
「エヴァン、お前、何をしている!?」
「傷を治しています」
「何故、そんなことを!?」
「コイツは人喰いドラゴンではないからです。人喰いドラゴンはメスの方です」
「じゃあコイツはオスで人喰いドラゴンとは無関係だと言いたいのか!?」
俺は頷く。
「ああー。ありがたい。まるで体全身が癒されていくような感じだ」
深い傷をおっていたドラゴンの傷口が完全に完治していく。
するとデスヴァングルが立ち上がり、俺達に深々とお礼をする。
「感謝したい。名前は何と言う」
「俺はエヴァン。エヴァン・ワイルドだ」
「エヴァン・ワイルドか。この恩は必ず返すぞ」
「師匠、すごーい! ドラゴンさんの体を治してあげた! 優しいね」
マリナはいつも俺のことを褒めてくれる。ありがたいことだ。
そして、デスヴァングルは何処かに飛びだっていく。俺達に背中を見せて。
いつも読書のお時間いただきましてまことにありがとうございます、感謝致します。




