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最強の二人〜彼らの謎多き日常〜  作者: 地野千塩


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番外編短編・アリスの懺悔

 荷島アリスは、中学生。多感なお年頃だ。そしてお嬢様でもあり、色々と免疫もなかった。


 学校の保健体育で過激な十八禁のイラストなどを見てしまった。しかも一人でする方法や器具なども授業で知り、嫌悪感いっぱいになった。


 男と女の関係はもっと純粋なものだと思っていたアリスは、ショックだ。アリスも男性に恋心のようなものを覚えた事もあったが、その甘い理想も全崩壊。


 偶然にも古典の授業で源氏物語も習う。特に光源氏が幼い若紫の出会い、結婚までの一連の流れは胸糞だ。お兄ちゃんと慕っていた光源氏と十八禁になったのは、どんな暴力より酷い。これを学校の授業で高貴な古典として学ぶ意味もわからない。


 そんな時たまたま見た深夜のBLアニメ。ハマった……。異性間だとあれほど汚く見えた恋愛も、同性だと純愛の描かれていて、見ているとウットリしてしまう。いわゆる腐女子になってしまった。


 しかしこの事で、近所にあるキリスト教会や誠や豊にも迷惑をかけてしまい、反省していた。


 誠や豊は許してくれたが、教会には謝罪も行っていない。という事で菓子折りを持って頭を下げる。


 教会の礼拝堂で牧師とその奥さんの真弓に、謝っていた。


 以前来た時は特に何の感想もなかった礼拝堂だが、やっぱり厳かな雰囲気は感じる。プロテスタントなので特にステンドグラスやキリスト像などがあるわけでもないのだが。懺悔室もない。もちろん免罪符などのグッズも売ってない。海外であった大きな洪水への募金箱はあったが。


「そうですか。いや、でも最近の保健体育は過激ですね。わざわざLGBTの人まで呼ばなくても良いと個人的には思いますが」

「そうね、あなた。私も源氏物語は、大学生ぐらいで勉強しても良いんじゃ無いかと……」


 意外な事に牧師も真弓も許してくれた。特に源氏物語については共感までしてくれる。


「いや、光源氏ってロリコンでマザコンじゃない。あれの作者が女性っていうのも本当なのかなぁ。光源氏の周りの女性は幸せな子少ないし、だったらBLの方がよっぽどいいわ」

「ちょ、真弓さん。どっちもが良いとかいう問題ではないです」

「まあ、これに関しては学校教育が悪いわね。そんな性的な事は聖書で学んだ方が個人的に好きよ」


 牧師夫婦はそう言い、なぜか聖書から性教育を受けてしまった。


 聖書の神は、人間を創造し、同時に結婚制度もつくった。旧約聖書のアダムとイブの事である。男は導き手、女は助け手として神に造られる。


 神話っぽくて正直ピンとこないが、とりあえず話に耳を傾ける。


「だから夫婦間の性的行為は、神様はとても祝福している。一体化するぐらく仲良くする行為。実はとても神聖なこと」

「うそ?」


 牧師の話は信じられない。てっきりキリスト教は性的なものを全否定していると思っていた。


「違うの。結婚以外のがダメってだけ。この聖書の雅歌っていうところ読んでみて」


 真弓に差し出され、そこを読んでみると、確かに十八禁だった。ただ、なぜかあまり嫌な気はしない。


「だったら、結婚以外でそれやったらどうなるんですか?」

「呪われる」

「呪われるわ」


 二人とも即答だった。十八禁を結婚以外の場でやってしまった場合、相手の病気や呪いとも一体化してしまう。肉的にも精神的にも。


「へえ……」


 それを聞いてちょっと怖い。昔の遊郭の女性は気が狂っていたのも、そういった背景があったせいだろうと牧師は分析していた。


「だから、性的なものが気持ち悪いっていうのは普通よ。結婚したいぐらい大好きな相手に、そう思うのなら、ちょっと別の問題もあるかもしれないけど」

「そうだ。今はそんな事よりも中学生は勉強を真面目に頑張った方がいい。それに他人の信仰心を愚弄したり笑ったりすると、海外では殺人事件にもなったりするんだ。うちだったら良いが、海外の原理主義教会にクレームなんてつけにいったら、下手したら殺されますよ」


 そんな事まで言われてしまい、アリスは反省せざるおえない。もうこの件で悩むのは辞める事にした。


 その後、真弓からは、旧約聖書にあるダビデとヨナタンの話を聞いた。


「こ、これは……」


 これこそアリスが求めていた純粋な愛に見えて仕方ない。ダビデは後で不倫をやったり、パワハラで殺人もやってしまうが、このヨナタンの関係性は萌えるな……。


 そう思ったアリスは、二人からダビデとヨナタンの話を聞く為にしばらく教会に足を運ぶようになった。


 不純な理由だったが、この事で萌える対象もでき、誠も豊はどうでも良くなって来た。彼らをモデルに漫画も描いていたが、やっぱりあの二人はビジュアル面が酷い。


「ハックシュン!」


 ちょうどその頃。会社のカフェテリアで誠は大きなくしゃみをした。


「誰か噂をしているのか?」


 キョロキョロと周りを見渡すが、別にそんな事は無い。


「まあ、いいか」


 誠はアリスがこんな失礼な事を考えているとは、夢には思わなかった。


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