エピローグ
チーズ牛丼とは、いわゆる「オタク」「陰キャ」「ネクラ」と呼ばれる層に対して用いられるインターネットスラングである(Wikipediaから引用)。
最近、熊木から「チー牛弱者男性w」と笑われた。改めてチー牛の定義を調べてみたが、なかなか酷い。チー牛の元になったと言われているイラストも見てみたが、なんだか誠と豊をミックスして割ったような顔だ。
「なんだよ、ネットスラングリアルで使うな!」
これには、誠も怒り、家のリビングで愚痴を吐く。
テーブルの上には、具沢山のミネストローネ、焼いたバターロール、目玉焼きだ。朝食だが、夜勤明けなのであまり食欲はないが。
「まあまあ、誠くん。僕らは、チー牛でも弱者男性でもないよ。最強だよ」
同じテーブルにつく豊が慰める。その目は、微かに自信が満ちている。
あの事件がきっかけに豊は防犯に興味を持ちようになった。毎日、家の近所を見回り、犯罪の種がないか探していた。誠はもちろん、アリスや聡もこの活動に協力していたが、なかなか近所の理解は得られなかった。特に町内会町や晶子からは「変質者! キモい!」と叫ばれる始末。
そんな時だったが時子が特殊詐欺に遭いそうになったのを、豊たちが防ぎ、無事解決した。豊が犯人を捕まえ、誠が警察に連絡、アリスが時子の保護というチームプレーを見せ、警察に表彰されてしまった。地域新聞のインタビューも受け、豊のドヤ顔の写真ものっている。リビングには、その記事と賞状が誇らしげに飾られていた。
今は指名手配犯の顔と名前を覚えるのに夢中だ。
「ちがう、この窃盗犯はの名前は川瀬だ。川瀬龍一だ」
具がいっぱいのミネステローネを啜りながら、二人で暗記をしていく。
「誠くんは、以外と記憶力いいじゃないか。僕よりよっぽど賢いよ」
「簿記一級持ってる人に言われたくないな」
「君は学歴がないだけで、勉強自体は好きだろ?」
「そうか?」
「図書館で本を読むのも勉強だよ。その実力が発揮できないのは、残念だが」
褒められると、誠もいい気分になってきた。
「君は頭悪くない」
そんな事言われると、調子に乗りたくなるな。
「うん、そうだ。俺は学歴がないだけだ」
「ふふふ」
豊は何がおかしいのか、笑っている。ちょっと気持ち悪いが、最近は自信がついてきたのか、笑う事も増えてきた。亜由の事は、夢としてすっかり忘れてしまったようで、何よりだ。
「やっぱり、俺ら最強じゃね? 頭脳の俺と、体力のお前が揃ったら、最強じゃね?」
「おー! 僕らは弱者男性でもチー牛でもないぞっ!」
二人で声をあげ、再び指名手配犯の顔と名前を覚える。
「そうだな!」
未来はきっと明るいはずだ。誠も笑顔で頷いた。
ご覧いただきありがとうございます。完結です。長編新作でした。久々のコージーで書くのが楽しかったです。
次回は番外編短編は本作の元になった短編です。おまけです。実は本作は短編→長編化させた作品です。だから少し本作と雰囲気違いますね。




