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100万円を置いた猫  作者: 椋木美都


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 第18話『神京旅行ダイジェスト』

ほぼ番外編です。

第18話『神京旅行ダイジェスト』

 

時空エリアにあるアトラクション『ジャッジメント・ライド』にて。待ち時間55分。


「り、凌君とは付き合って?出会ってどれくらい経ったの?」


「去年の秋頃かな。アニメ見て、それから家に呼んだ」


「家にグッズ・・・凌君がいるってこと?」


「今も私の家を守ってくれる・・・ちゅき」


頬を染めて目を輝かせている彼女の姿は誰が見ても恋する乙女のそれで。


「・・・」


喉から込み上げてくる感情に耐えきれず、唇を噛む。


「お?お前も好きになっちまったか?私同担拒否のガチ恋勢だからもしそうなったら殺すけどな」


「言ってないよ。物騒だな!」


「ほんとか・・・って私も電話」


「職場の人?」


「うん」


スマホの画面には『イモムシ1』と表示されていた。


――いやどういうこと!?名前のチョイス謎すぎ!


「待たせたな」


大丈夫かと聞くと、全然平気と言われた。それならいいけど。


「イモムシ1て。2もいるの?まさか上司?」


「店長」


「不敬!」


「何かいつの間にかこの名前になってた。多分酔って変えたんだと思う」


「シーバーがアルコールに負けるとかよっぽどじゃん」


バレたら何て説明するつもりなんだ。クビになってしまえ。


「他にも変な名前で登録されてんだよね。あ、さっちゃんは別な」


シーバーが電話帳をスクロールすると『ポシェットモンスター』がいた。


「漢字の中に横文字の名前混ざってんの面白すぎ」


「これはおじいちゃんですね」


「何故・・・。マスターの方じゃなくてポシェモンなんだ」


絶句していると、シーバーが嫌なことを思い出した。


「そういや、何でお前総長に明後日帰るって嘘ついたん」


――気づいてしまったか。


「心の準備が欲しかったからだよ」


私は心の中で舌打ちする。彼が帰宅した翌日に会いに来ないとは限らない。切羽詰まってるっぽかったし。篠木の周りで何かあったんだろうか。


「相変わらず嘘つくの上手いな」


「バレたくない嘘はね。どうでもいい嘘はすぐ見破られるけど」


「お、あったあった。お前はこの・・・『荒ぶったタヌキ』」


「なんでやねん!」


これだから酔っぱらいは!いやシーバーの場合素面でも十分意味不明だけど。


(=^・・^=)

その日の夜。シーバー宅にて。


私はスーツ姿の凌君の全身がプリントされたタオルを見てドン引きした。


「うっわ・・・」


「今うわっつったかオメェ」


「だってホットにタオル飾ってんだもん・・・しかも壁に写真?ブロマイド?の数よ」


「最高じゃろ」


「うひぃ」


友人の新たな趣味を受け入れるのにはまだ時間がかかりそうだ。だってシーバー変わりすぎ!高校の時はこんなヲタクじゃなかった!別にいいけど!


私はキャリーケースを置き、恐る恐る私を見つめているそれを指さした。


「で、このフランス人形が前私の家に来た時に言ってたあの・・・」


「この子がエレナで、こっちがベアトリーチェ」


「マジシーバー神京行ってからキャラ濃くなりすぎ!」


「実家出て解放されちまったわ」


「可愛いけどさ・・・4畳の部屋に置いていいものなのか。めっちゃ場所取ってんじゃん」


よく夢見るのってこの部屋で寝てるからじゃ・・・。


「他に日本人形が6体いる。こっちと、それと、あとロフト」


「人形屋敷にする気!?」


(=^・・^=)

シーバーと神京旅行2日目。千宿(せんじゅく)日江戸町(ひえどちょう)にて。


「うぅ・・・人だぁ」


千宿は渋宿に並ぶ人だかりだった。違う点と言えば、渋宿より千宿の方が若干年齢層が上な気がする。それに皆着てる服がちゃんとしているというか・・・高そう。


「千宿にはブルジョワが多いの?」


「日江戸町があるからなー。必然的に金が集まってんだと思う」


「日江戸町って、凌君が働いてるところだっけ」


「そう!私写真撮るわ。ちょっと待ってて」


日江戸町は神京都で一番の歓楽街だ。深夜営業のクラブ、居酒屋、ホテル、バー、パブなどの激戦区であり、眠らない街と呼ばれている。


「真昼間なのに皆来るんだ」


「昼飲みできる店もあるからじゃね?映画館もあるし」


撮影が終わったシーバーと日江戸町巡りを再開する。今日はシーバーがイケメンホスト育成ゲーム『ラヴァーズマイクロフォン』通称『ラブマイ』の足利遼君をもっと知ろうツアーを組んでくれた。特に行きたいところも思い浮かばないからいいけど。


「凌君が働いてるホストクラブって実際にあるの?」


「ない。あったら多分通っとるわ」


「ひえぇ」


まだ狂っていないようで良かった。多分『ラブマイ』運営もシーバーのような人間を生み出さないよう配慮したんだろうな。


「お熱だなぁ。このままずっと人気のままだといいね。私は今日初めて知ったけど」


――折角の機会だし、『ラブマイ』に興味持ってみようかな。シーバーとの話題も広がるだろうし。


「もし凌きゅんがいなくなったら、代わりを探し求めて日江戸町徘徊するかもしれない」


「やめぇ!」


(=^・・^=)

アニメ・漫画グッズ専門店であるanibook(アニブック)秋袋(あきぶくろ)本店への道すがらにて。


「いやーお前といると職質されなくてすむわ」


「そりゃ常時黒服黒ハット黒マスクの人間みたらお巡りさんも声かけたくなるわ」


しかもシーバーの帰宅時間は深夜が多い。いくらシーバーの性別が女性とはいえ警察官も怪しむに決まってる。


「だって黒好きだから」


「服は自由だけど、猫背やめるとか陰キャオーラ抑えるとかしなよ」


「は?圧倒的強者オーラの間違いだろ?」


「元イラスト研究部員が何イキってんだ」


「殺す!お前如き小指で殺す・・・!」


そんなこと言ってるけど、私ももし神京に住み始めたら月1で職質されるかもしれない。都会怖いな。


(=^・・^=)

行列のできるラーメン屋『じゃんがら』にて。


「昨日散々並んだから20分待ちとか楽勝だね」


「それな」


体感2分で席に案内される。メニューを決めて呼び出しチャイムを押そうとするが、この店は店員さんに声をかけるタイプのようだった。


そうなれば私がとる手は一つ。


「シーバー大声出して」


「(デスボイス)」


「やめぇ!」


すっ飛んでくるわ!これ私が悪いの!?


「ご飯頼まないんだ」


この前はラーメンの汁でご飯食べてたのにと言うと、彼女は悲しげな表情を浮かべた。


「この前腹壊したからな」


「ラーメンご飯で?」


「食べたその日は快感だったのに・・・」


「お腹を満たすためじゃなくて自己満で食べてたのか」


「やけ食い大好き!」


へへっと笑う彼女に呆れて何も言えない。心配して損した。


(=^・・^=)

バスターミナル千宿にて。


「もう終わりかぁ・・・早かったな」


「言い忘れてたけど、明日お前の家に誕プレ届くから」


――え?私・・・今月誕生日だっけ。


「誕プレ?私何月生まれだっけ」


本気で分からなくて聞いたつもりだったが、シーバーは私が怒りに震えていると勘違いしたようで。


「メンゴ!ちょうど半年遅れ!」


「はぁ。別にいいけど・・・私はちゃんと8月3日に贈るけどね!」


「お前すげぇよ・・・!」


「大学生ですから。シーバーも仕事無理しすぎないでね」


「おー。次は正月にな」


「うん。また行きたいところ決まったらRICHして。私はどこにでも行くからさ」


こうして、2泊3日の神京旅行は幕を閉じた。夜行バスの中、私は余韻にふける。


――シーバーの誕プレって、毎回変なもの入ってんだよな。心配だ。


――篠木の相手もしなきゃいけないのは億劫・・・あと、そうだ。お父さんにも連絡・・・。


私はバスでも寝られる派だ。布団で眠るよりは浅いけれど、朝日が昇るまで眠り続けた。そしてその間、夢の中に黒猫は出てこなかった。

シーバー「なんで総長?」

幸生  「最初チンピラで登録してたらアイアンクローされた」

シーバー「お!惚気か?」

幸生  「どこが!?」

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