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死会刀宝

作者: kai

とある教会のシスターの首には、1億の懸賞金がかけられている。


彼女の名前は死会刀宝(しかいとうほう)。神に好かれ、汚れを知らない神聖な少女である。


彼女を信仰する宗教が勝手にできる程、人は彼女に溺れている。


死人を蘇らせる力、それだけ聞けば、よくある?話だ。


でも色々な理由で死んで欲しくない人は一人ぐらい、いるんじゃないか?


俺はいる。昔流行病で倒れ、死んだ妹がそれに該当する。


すがりたいよな・・・頼りたいよな。


俺も仕事じゃ無ければ頼・・・るわけないだろ。


人には必ず休息時間がいる。


死んだ事はそれに値すると、俺の考えだ。


その休息中に、無理矢理個人の勝手で目覚めさせて良いわけない。


生きたいのに死んだ時?知らん。戦場の中で生きてる俺にとっては、死は有給だ。


ざっ

雑草を踏みにじり、教会を見つめる。

「見つけたぞ。賞金首」

彼女の力を求めて訪れた、沢山の人々の行列が出来ている。


俺もそこに交じろうかなーと列に近寄ろうとしたけど

大きな遊園地並の量を並ぶのが面倒くさいから、ずるして教会の裏へと回る。


ざっざっ

土の匂い、草木の湿っぽい

こんな場所にあのシスターはいるのか?


住んでる場所は全然神様っぽくないから不安だ。


(まあ沢山の人がいる時点で確定はしていると思ってるが)


「っと、言ってる間に着ーいた♪でも」

鉄の扉が行く手を阻む。

ま、壊すんだけど。


持っている、蛇腹剣に神力を込めて

なぎ払う。


バキッ

見事に粉砕。


「さあ・・・ご対面といこう。死会刀宝」


コッコッ

静かで足音が響く

薄暗く、気味が悪い。


このフロアを抜けると、今度は沢山の棺がずらりと並べられている。

棺には、色々な人の名前が書かれたネームプレートが置いてある。

(信者のやつか?)




コツコツ

コツン!

棺にはあまり目もくれなかった俺は、

遠くで赤黒い部屋に一人の少女が、天に祈っている彼女の姿(後ろ)を見つける。


彼女の周りには、沢山の人が虫の様にたかっている。


彼女を助けてくれ、とかこの人ともう一度共に生きたいとか。


つまらないを通り越して面白いよなーだって、相手の事を考えず自分の願いを押しつけ合ってて

自分を見失ってる。

まあそれを、今から壊すんだけど。


蛇腹県を構えて、神力を込める。


俺の神力に気づいたのか、彼女は

振り向いて年相応に笑った。


何かを言っているが、遠くて聞こえない。

そして、彼女の首を俺は取った。


勿論信者達は、発狂した。

俺の方を一斉に見て、殺意を込めて攻撃してきた。

分かってたけど、何か申し訳無い気持ちはあるね。


一旦外に出て、草木の中をしばらく進み、岩のプチ洞窟を見つける。


辺りを見渡して、追っ手が来てない事を確認する。


「来てないな・・・。よし」

洞窟に入り、地面に座った。


スマホの電源をつけ、上司に報告のメールを送る為、メッセージアプリを起動する。

――――――――

正当地(せいとうじ)さん


死会刀宝の討伐終了しました。


俺もこれを終えたら


――――――――


ガシリ

後ろから力強く首を絞められる。


「さすがね。痛かったわ。でも今度は貴方の番よ。一度私は死んだもの。これでは公平じゃないわ」

「し・・・ほ・・・とう。お・・まえ」

スマホが手から落ちる。


息が苦しい。

首元が圧迫されていく、

殺される。

引きこもりシスターかと勝手に思ってたのに、意外と力が強くて驚いてる。

少女なのに、


くっそ!

くっそ!

死にたくないし!負けたくない!

俺はこいつに勝って、

戦績をあげたい。あげて10億の首を任せられる程のハンターになりたいんだよ!!!


蛇腹剣は俺の思いに反応し刃部分が蛇の様に動き、彼女の右手を切断した。


「おえっ。はぁはぁ。今のは?」


「あああああ!もう許せない。それ神刃ね!?ふざけないでよ!そんな神の武器を人間ごときが!!!!!」

シスターは驚いている。

いや、混乱しているの間違いだろうか。

「俺はお前がどうやって死ぬのか分からない。」

蛇腹剣を彼女の体に巻き付ける。

周りには彼女を助ける信者も、死体もない。


「だから生き返る度に殺してやる」

徐々に刃が体を引き裂いていく。


「や・・・やめなさいよ!!」

シスターは一回だけ抵抗するが、

「・・・・・ああでも、もう私は。もう疲れたのかもしれないわ。神様になるの」

目を瞑り薄く笑みを浮かべる。

俺は蛇腹剣の持ち手を、強く引いた瞬間


彼女の全て、溜めていた思い、沢山の色々な辛い事を中から全て外に流し

休息を与えた。


俺は上司にメールを送ると、しっかり彼女の死体を回収し、この場を去った。



不思議な事に彼女は復活しなかった。


一度死んで復活したのは偶然か?それとも限りがあったのか?


それとも・・・・復活を拒んだのか?


それは本人にしか、分からない事だろう。


俺はキンキンに冷えたビールを飲みながら、出ない答えを探した。


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