守りたいもの
「そこまでだ、メグミ!」
メグミとヨースケは屋上までやってきた。ヨースケがメグミに拳銃を構えると、メグミは立ち止まり、両手を上げる。
そして振り返ると、その顔は笑っていた。
「何が可笑しい」
「私の勝ちだな」
「何!?」
メグミがアゴで促す先を見ると、そこには二人の男が、赤ん坊を抱いたハルカを捕らえていた。
「いつの間に」
「私が一人で来ていると思ったか?」
「仲間がいたのか、、、」
メグミはニヤリと笑うと、上げた両手の人差し指を上空へと向ける。
そこに突如、ヘリが出現した。
「光学迷彩か」
「これでおさらばだね、ヨースケ、さん。あんたが毎日のように私にかけてくれた愛の言葉。嬉しかったよ」
「メグミ、、、」
「その日の夜に仲間と飲む酒の肴になってさ。よくもまぁあんな言葉を思いつくもんだ。どうプログラミングされていたんだ?」
メグミは大声で笑うと、ヘリから降りてきたワイヤーに手を伸ばす。
しかし、その手は空を切る。
ヘリはメグミたちを乗せずに上空へと飛び立つと、火を噴き落下していった。
「何!? いったい、どういうことだ!」
「そっちこそ、俺が一人で来ているとでも思ったか?」
ヨースケがそう言った途端、上空に3機のヘリが出現した。
「こんなに仲間が、、、」
「もういいだろうメグミ。投降しろ」
ヘリから武装した男たちが降りてくる。そして、メグミとその仲間たちは一気に囲まれてしまう。
だが、メグミの仲間の一人がハルカを捕らえていた。そのせいで、お互い動けないでいる。
「ハルカさんを離せ!」
ハルカを捕らえていた男が突き飛ばされる。
「ミツヒロ!」
ヨースケはそう叫ぶと、メグミを銃で撃つ。
更に他の男二人も、ヨースケの仲間に銃で撃たれて倒れる。
「ミツヒロさん、、、」
「良かった、ハルカさんも無事で」
ミツヒロとハルカは見つめ合い、顔がほころぶ。しかし、ハルカの顔は凍りつく。
「ミツヒロさん危ない!」
ハルカはミツヒロとイオリを跳ねのけ前に出る。
そして倒れながらもメグミの放った銃弾がハルカを撃ち抜いた。
「ハルカさん!」
ミツヒロはイオリを抱えると、ハルカに駆け寄る。
「ハルカさん、しっかりしてくれ」
「ミツヒロさんが無事で良かった」
「早く二人を病院へ!」
ヨースケの叫び声で、ミツヒロ、ハルカ、そしてイオリの3人は、すぐさまヘリへと収容されていった。