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神様女子高生の残念な日常~異世界帰りの勇者と四十一人の嫁編~  作者: 城火十夕顔
第二章 異世界帰りの勇者と四十一人の嫁編
9/9

続々々々々 神様女子高校は異世界帰りの男異世界帰りの勇者と四十一人の嫁を出迎える

 前回までのあらすじ。

 魔王に拳骨落としたった。


◇◇◇


 という訳で、魔王が大人しくなったので話し合いで平和的解決をします。

 アタシは無益な殺生はしないのだ。


「多分だけど、アンタら異世界から追放された所為でアンタらの中の法則が変わったんだと思うぞ」


 アタシは正座で座る勇者と魔王に向かってそう説明する。

 因みにその二人以外は自由に座ってもらってる。

 反省すべきは二人だけだからな。


「法則が変わった?」

「アンタ、異世界に行って勇者の力が使えるようになったんだろ?」

「そうだけど」

「それはアンタが向こうの世界の法則内ではそうなるようになってたから。こっちでは普通の人間だったんだよな?」

「そうか、だから力を失った……いや元に戻ったって事か」

「だがそれなら我はどうなる? 幾ら何でもあまりにも力が衰え過ぎじゃ」

「えっと、それは確かマニュアルにあった筈だぞ。思い出すからちょっと待て……ああ、他の管理者の手を離れて世界を移動してきた場合は前の世界の能力を使う権限が著しく低下するらしい」

「どういう事じゃ?」

「つまり、アンタが能力を使いたいときはアタシかそれより上の世界の管理者の許可が必要ってこと」

「な、なんじゃと!?」

「道理で、魔法もスキルも使えないはずだ」

「そ、そんな……」


 まあそういう事だ。

 つまり当然〈魅了〉の効果ももう間もなく消えるわけで。


「エ!?」

「アレ?」

「ココハ?」

「ドコデスノ」

「でおじゃる」


 魔王の支配力が低下し、〈魅了〉の効果が切れた嫁たちが口々に騒ぎ始めた。

 やっぱり、おじゃるがうぜぇな。


「はいはい、アンタらちょっと注目してくれ」


 手を叩きながら全員にこちらを向くように呼び掛ける。

 日本語通じるらしいから、気を使わずにしゃべろう。


◇◇◇


 そんな訳で、この後アタシは全員に状況を説明した後に今後どうしたいかを確認した。

 といってもあまりどうこう出来る話でもない。

 この世界には全員を住まわせてやれるような場所はないからな。

 元の世界に戻るか、新しく別の世界に移動するか、それを選択してもらったわけだ。


 もっとも、今のアタシには別の世界へと人を移動させる能力がない。

 前に勝手にその力を使ってとんでもない事になった所為で、前任者にその能力を取り上げられたのだ。


 だから忙しい前任者を呼び出して代わりに対応してもらった。


 その結果、異世界の四十一人の嫁は全員がこの世界からいなくなったのである。


「それで文句ないよな?」

「まあ、誰も俺と結婚して一緒に生活したいって言わなかったんだからしょうがないよ」

「そんな人間の心をねじ曲げてしまうほど〈魅了〉の効果はえげつないって事だ」

「おい神よ。なぜ我をここに残しておるのじゃ?」


 男と話してたら、アルカリさんが話しかけてきた。

 しかもちょっと不機嫌そうだ。


「いやだって、アンタは魔王なんだから簡単に元の世界に戻したり、別の世界に追放とか無理だろ」

「つまり我はこの世界におらねばならぬという事か?」

「何を白々しい事を言ってんだ、嬉しいくせに」


 アタシはニヤリと笑って指摘してやる。


「な、何を言っとるんじゃお前は!」

「とりあえず、アルカリはアタシが責任者になって監視する事になった」

「な、なにぃ!」


 何か魔王が口をパクパクさせてやがる。

 そんなに嬉しいのかコイツ。


「なので、魔王には例外措置として神的パワーで戸籍やら何やらを用意するぞ」

「お、おい、女子高生の神、それっていったい……」

「その呼び方やめろって言ってんだろ! まったく……えっとなあ、浦出(うらで) 勇士(ゆうし)さん。結婚おめでとう」

「は? 何で俺の本名を? いやていうか、結婚って何だよ? ひょっとして……」

「妻の魔王とお幸せにな」

「うええええーっ!」


 ふっつーうの名前でまーったくイジリ甲斐のない浦出さんに魔王を押し付け……ゲフンゲフン、嫁を娶ってもらいます。


 大丈夫、チーターやトカゲを愛せるなら魔王も愛せるよ、ウンウン。


 だってここに来た四十二人の中で唯一〈魅了〉の効果がなかったのに、しかも勇者からは嫁だと思われてもいないのに、それでも黙って一緒についてきちゃうくらい愛されてんだからさ。


 ほら魔王、もう完全に固まってんじゃん。

 喜んでくれて何よりだよ。


「そ、そ、そんな、いきなり結婚って!」

「何か文句でもあんのか?」

「だって美人だけど、魔王だよ? 俺はもう勇者の力ないんだよ? もし喧嘩したら殺されちゃうんじゃないの?」

「大丈夫いけるって。アタシと戦ってる時もアンタが近くにいたら攻撃しなかったじゃん」


 浦出さんが恐る恐る、魔王嫁に視線を送る。

 すると魔王嫁は一気に顔が赤くなった。

 おー照れてる照れてる。


「何で惚れられたのか心当たりが全くない」

「そりゃあ、きっとアレじゃねえの。命を懸けた戦いでお互い通じ合ったとか?」

「いや。一目惚れじゃ」

「「は?」」

「顔が個性的で超好みなんじゃ」

「「は?」」

「今まで見たことないくらい、イケメンじゃったんでつい意地悪したくなったんじゃ。そしたら我、魔王になっとった」

「なあコイツ何言ってんの?」

「いや俺もちょっと理解できないんですが」

「我、暇で力有り余ってたから、千里眼のスキルで色々見とったんじゃよ」


 何か急に語りだしたぞ。

 聞くべきなんだろうか?


「そしたら、世界の間の壁が壊れとって、そっからここの世界が見えての。そこで勇者を見つけて滾ってしまったんじゃよ」

「はい、嫌な予感キタコレ」

「我、力はあるから、ちょっと人間たちに悪戯を仕掛けてやったんじゃ。そしたら我、魔王になって、人間どもは想像通り異世界召喚をしようとしたから、儀式に干渉して勇者をこっちに連れてきたんじゃ」

「なるほど。よかったな浦出さん。アンタ運命の出会いだったんだってさ」

「いやちょっと待って。それってつまり俺は魔王の所為で向こうの世界に連れてかれたって事かよ!」

「そうじゃよ? それからは毎日バラ色の生活だと思ったのに、行く先々で女を引っかけよるから我、嫉妬に狂ってしまったわ」

「なるほど、日本語が堪能なはずだぜ。コイツと会話する為に覚えたんだな?」

「我、こう見えて意外と尽くす女なのじゃ」


 うむ、聞けば聞くほど、お似合いの二人じゃないか。

 これならきっと上手くいくだろう。


「そうかそうか、それじゃ浦出さんもう家に帰っても良いよ。多分もう会わないからお幸せに」


 さて帰ろう。


「ちょっと待て」


 ん? 何だよ、アタシはこう見えて忙しいんだぞ。


「新しいパンツ買いに行かなきゃいけないんだからな」


「何だよパンツって! そんなのいつでも買えるだろ!」

「あれ? 声に出てた?」

「出てたよ、心の声が駄々洩れだったよ!」

「やっぱ、見られても恥ずかしくないの買わないとなって思ったんだよ」

「知らないよ! それよりも、アカリに着せる服なんとかしてくれ!」

「ああ、それならお前の鎧でも着せときゃ良いだろ?」

「俺の格好も大概なんだよ! このまま町を歩いたら百パーセント職質くらうわ!」

「大概だと思うなら、そんな恰好で帰ってくんなよ」

「正論で返すなよ! 傷つくだろ!」

「それこそ知らんわ! だからとりあえず鎧は嫁に着せとけ。一人称が我だからコスプレでいけるって」

「意味が分からん!」

「じゃあどうしろってんだよ?」

「その服よこせ」

「あ゛ぁ!?」

「ごめんなさい、嘘です。勘弁してください」


 ちょっと凄んだら、浦出は即謝った。

 見事な高速土下座だったな。


「全くアタシが優しくて良かったな」

「そう思うなら頭を踏まないでください」

「そうやって下からパンツを覗く奴を知っているので、アタシは男の土下座を信用しない」


 アタシは過去の経験をキッチリ生かす神なのだ。


「しょうがないなぁ……おい魔王こっちこい」

「なんじゃ? まだ話は終わっておらぬ……って、おい人の亭主に何しよるんじゃ!」


 一人でうっとりとしながら長々と語ってた魔王を呼んだ。

 そんでもって乳を揉む。


「い、いきなり、何すんじゃ!」

「いや、ちょっとだけ力を解放してやろうと思ってな」

「それがこれなのか?」

「そうだよ」

「なら仕方ないのじゃ」

「えっ!? おっぱい揉んでんの? ちょっと見たい!」

「このまま頭を踏み潰すぞ?」

「すいません、冗談です」


 うん五回くらいで良いかな。


「これで五分間は五パーセントくらいの力が使えるはずだ」

「確かに少し力が湧いてきたのじゃ」

「これで自分らで衣服なんとかしろ。それじゃあな」


 今度こそ家に帰ろう。


 こうして無事、男は異世界から戻ってきてお嫁さんと平和に暮らす事になり、アタシには魔王の子分が出来たのでした。


 めでたしめでたし。


◇◇◇


「――という訳なんだ」

「それが一時間半も人を待たせた理由ですか……」


 現在、アタシは地面に膝をつき、同じく両手を地につけて誠心誠意チビ女に説明中である。


 だって遅刻したのはアタシの所為じゃないし、家に帰りたくなったのはアイツらの所為だし。


 アタシから買い物に誘っておいてその約束を忘れる訳ないじゃんか。


 反省の為に額を地につけているが、これは謝罪ではない。

 新しい形の反省方法だ。


「全く、買い物に付き合ってほしいというから来てあげたのに」


 お、なんだかんだ許してくれそうか?

 ならここは一つチビ女を褒めておこう。


「それにしてもお前、可愛いパンツ穿いてんな。みずっ――」


 思いきり顔を踏まれた。


「今日は帰りますっ!」


 帰っちゃったよ。


 ……あれ? 顔を踏まれたショックで記憶とんだぞ!

 チビ女のパンツどんなんだったっけ?



 第二章 異世界帰りの勇者と四十一人の嫁編 おしまい


第二章はここまでです。


また書き溜めできたら投稿する予定です。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

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