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神様女子高生は友達から注意される

「ちょっと話があるんですけど、良いですかね?」


 ある日の昼休み、教室から出ようとしたら声をかけられた。

 だが声はすれど姿は見えない。

 どこにいるのかとキョロキョロ首を振ってみる。


「いや、下ですっていうか、わざとですよね?」


 首の角度を下げると、確かにそこにチビッこい女がいた。

 黒髪ボブの制服をきっちり着こなした奴だ。

 チビ過ぎてまーったく気付かなかったぜ。


「いやあ、チビ過ぎてまーったく気付かなかったぜ」

「嘘ばっかり、教室から出る前に気づいてたくせに」


 チビッこい女は何故かアタシに向かって呆れた顔になる。

 全くアタシがコイツに気付いてただなんて本当に心外だぜ。

 お前みたいな小物にアタシが一々気付くと思ってるのだろうかね。


「お前みたいな小物にアタシが一々気付くと思うのか?」

「……さっきから喧嘩売ってるんですか?」

「まっさかー結果の見える勝負なんかするかよ」

「なるほど、それはつまり結果が見えないほど自分が弱体化してから、私と喧嘩したいって意味ですよね?」

「やだよ、めんどくせえ。それで何の用だチビ女」


 このままだと話が進みそうにないので、優しいアタシが水を向けてやる。


「……ここでは、ちょっとあれなので、場所変えましょう」


 チビ女が、振り返って歩き出した。

 話を勿体ぶったのがちょっとだけイラッとしたので、このまま無視してやっても良いんだが、まあ暇だし相手をしてやろう。


 アタシはチビ女に従って場所を変えることにした。


◇◇◇


 やって来たのは、普段は使われていない空き教室の一つ。

 普段チビ女が同好会活動で使ってる教室だった。


「そんで? 一体話って何だよ?」


 室内に二人きりになったのでチビ女に声をかけた。


「ちょっと貴女に注意しておこうと思いましてね」

「はあ? 注意だと?」


 何やらチビ女が困り顔になりながら、そんな訳の分からない事を言ってきた。

 神様なアタシに一体何を注意しようっていうのか。

 上等じゃないか。


「そうです。注意です」

「チビのくせに随分上からくるじゃねえか。アタシに何を注意しようってんだ?」

「何でそんなに威圧してくるのかさっぱり分かりませんけど、話を聞けばきっと私に感謝するんじゃないですかね」

「ほーう、言ってみろよ?」

「単純な話です。貴女は隙だらけだって言いたいんですよ」

「なるほど。だったらどこからでもかかってこい!」


 一度もアタシに勝った事が無いくせに上等だ。

 きっちりと知らしめてやろうじゃないか。

 アタシはファイティングポーズをとって見せる。


「何で全部喧嘩に繋げるんですか! そういう話じゃないですからね!」

「本当に何だって言うんだよ、めんどくせえ奴だな」


 何だかチビ女がアタシを見る目が、残念な奴を見るみたいな目になっている。

 アタシを敬わんとは、本当に残念なチビ女だな。


「……なんだか貴女、神になってから残念に磨きがかかってませんか?」

「いやお前に言われたくねえよ」

「私のどこが残念だって言うんですか!?」

「お前は男が絡むと、ポンコツだろうが」

「なっ!? そんな事ないですよ!」

「そんな事あるんだよ!」


 チビに視線を合わせる様に中腰になると、指差しながら言ってやった。

 全く、客観的に自分を見れないというのは可哀想な奴だ。

 それなのにアタシが隙だらけだとか、お前が言うなって話だぜ。


「とにかくっ、私が言いたいのは貴女は隙だらけだって事なんです!」

「だからどこが隙だらけだってんだ? 言ってみやがれ!」

「貴女の今のそのポーズがすでに隙だらけなのを証明してるんです!」


 チビ女はアタシを指差し返しながらそう言った。

 人に向かって指を差すとか失礼な奴だ。

 そもそも何を言ってるんだと、チビ女の指を差す先を追ってみる。


 チビ女の指先はアタシの制服の胸元を指していた。


「ん? んんっ!?」


 そういえば、神になった事で寒さや暑さに強くなってブラウスのボタンは気にせず第二まで開けてたんだったな。


 で、それは良いとして……前かがみになった事でシャツの中が丸見えだった。


 先っぽまでバッチリと。


 ……ブラしてんのに。


「サイズが合ってないのを付けてるからですよ」

「……うるせえ。言うな」

「AなのにBなんか付けるから……」

「言うなって、言ってるだろうがっ!」


 成長期だから、すぐに大きくなって合う様になると思ってたんだよ! 隙だらけだっつっても、他の奴に見られてなけりゃ問題ないだろうが。そもそもアタシに寄って来る奴なんて……ん?


 何かおかしいぞ?


「おいチビ女、何で隣のクラスのお前がアタシの隙の事を知っている? いや、そもそもどうしてそれを注意しに来たんだ?」

「貴女なら、みなまで言わなくても分かるでしょ?」


 つまりそれは……アタシに唯一寄ってくるあのバカにアタシのをバッチリ見られてたって事かよ!


「……なるほど、あのバカが見たんだな?」

「貴女が見える様にしてるから悪いんです。彼は決して覗こうとして覗いたんじゃないですからね? 彼はいつでも私のを見れますし」

「それはそれでムカつくが、とにかくお前を通して注意してきたって事か」

「そういう事です。貴女は何だかんだ言っても神である前に女子高生なんですから、もっと周囲に気を配るべきなんですよ」

「うるせえ、こっちにゃあ、それ以上に気を配る事があるんだ」

「そんなの知りませんよ、とにかく見られたくないなら、そこも気を配って下さい」

「そうだな、今度から見られた時には謎の光で邪魔することにしよう」

「……なに言ってるんですか? サイズ合わせりゃ良いだけでしょうが」


 ふむ、通じなかったか。

 所詮はチビ女、アタシの素晴らしき神の力の使い方が分からんのだな。


「新しいブラを買うより安く上がるぞ」

「神の力を無駄遣いするんじゃありません!」

「そうだ! どうせ力を使うなら自分の胸をブラのサイズに合わせれば良いんじゃね?」

「自分で言ってて、悲しくなりませんか?」

「……うるせえよ」


 ジト目でこっちを見てきやがるチビ女。

 くそっ、アタシをバカにしやがって。

 アタシはチビ女の胸部へと視線を落とした。

 くそっ、相変わらずのバケモノサイズめっ!

 同じ年齢の女だと思えん!


「そんじゃ、確かに注意はしましたので、今後は気を付けてくださいね。フフンッ」


 どうやらチビ女はアタシの視線に気が付いたらしく、最後に一言いい残すと鼻で笑いながら教室から出て行った。


◇◇◇


 その日、突如発生した大型の虫の怪物を粉々にふっ飛ばした後、アタシはこっそりランジェリーショップへ足を運んだのは言うまでもないな。



【スキル】

〈謎の光〉 を獲得。


〔補足説明〕

チビ女→元神候補。神様の親友で喧嘩するほど仲が良い。神様とは隣のクラス。本編では圧倒的巨乳のヒロイン。現在連載中の第四話内にてついに胸のサイズが明らかになります。

バカ→元神候補。神様の男友達でチビ女ちゃんの彼氏。神様とは同じクラス。本編では主人公の1人。スピンオフでは現段階で出番の予定なし。バカップル二人のイチャイチャは本編でご覧ください。


次回は侵略者の話その2ですので、よろしくお願いします。


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