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第一部 2.疑念−2

 ゴーティスが部屋へ通されると、そこには三人の女たちが彼に頭を垂れて挨拶をする図があった。向かって左より、女官長、侍女、ジェニー。女官長はいつにもなく深々と彼に頭を下げており、侍女は見慣れない小太りの中年女で、ジェニーはきちんと着付けられ、頬が赤らんでいた。

 ジェニーに視線を止めたままで三人が頭を上げるのをゴーティスが待っていると、最初にジェニーが顔を上げた。彼女は彼と目が合うと瞳に反抗心を燃え上がらせたが、どことなく動揺しているようで、緊張感も漂っている。ゴーティスは、次に顔を上げた女官長を冷ややかに見た。

「女官長にまで出迎えられるとは思わなんだな」

「王においてはご機嫌うるわしく存知ます。一週間ほどお顔を拝見しておりませんでしたゆえ。たまには良いではありませんか」

 彼女は素晴らしい笑みをうかべ、主君にそう丁寧に述べる。

「それは時と場合によろう」

 ゴーティスが答えると女官長は一瞬口をつぐんだが、すぐににこやかな表情を戻した。ゴーティスは、女官長とは違う方向に視線をやった。

「ジェニー、来い」

 ゴーティスはジェニーにあごでついてくるように示し、彼女もおずおずと彼の後をついてくる。彼らが向かう先は南側の壁の方で、その壁にはジェニーが格子を折った窓がついている。

 女官長と侍女が顔を引きつらせる中、ゴーティスはそのうちの一つの木板を素手でつかみ、力任せに引っぱった。留め金が盛大な音をたてて壊れてはずれ、開口部が見えるべき場所が石でふさがれているのを目にした彼は、思い切り笑い出した。

「何と言うザマだ! なんと間の抜けたやりよう! ジェニー、おまえは本気で脱出をはかったのか?」

 女官長たちの青ざめた様子に反し、ジェニーは彼の行動に困惑したように顔をくもらせる。

「おまえのために知らせておくが、この窓の下は衛兵たちの待機する場だ。常に、見張りの男たちがいる場所だ。それでなくとも中庭に面する最も目立つ壁づたいに逃げるのは、捕らえてくれと言わんばかりの愚かな行為だな。ここから抜け出たい気持ちはようわかったが、ならば、別の方法を試みるべきだ」

 困惑気味の彼女の腕をつかみ、彼はその窓の近くに引き寄せる。

「されど……この俺のすぐ足元から抜け出そうとする、おまえの大胆不敵さには感心する。それを、別の場面でぜひ発揮してもらいたいものだ」

 はずれた木板を部屋の端に蹴飛ばした彼は、その行為に恐れをなしている侍女に気づき、女官長とともに退室するように合図した。女官長はジェニーに対して不信感を抱いているので名残惜しそうに彼女を見ていたが、王の機嫌を損ねる前に、侍女と一緒に部屋を出て行くしかなかった。


 二人がいなくなった部屋に王と残されたジェニーは、彼に対する警戒心をいっそうむき出しにした。

「ここは寒い。あちらへ行くぞ」

 彼女は彼を見上げ、傲慢な笑顔をうかべる彼をにらみつけた。無礼極まりない態度ではあったが、彼は、彼女のそんな反応に面白がっているようだ。

「来い」

 彼女は首を横に振りつづけ、王の腕から自分の手を引き抜こうともがいた。すると、彼は顔をしかめ、腕に力をこめて彼女の腕をぐいっと自分の方へ引っ張った。

「いつまでも俺に逆らおうとするな。自分の立場を受け入れろと女官長にも言われたであろうに。来い!」

 いやだ、私はまだこの男を殺す算段を何もしていない……!

 彼女は焦りと恐怖、嫌悪で顔をひきつらせ、彼の指を腕から取ろうともがいた。

「やめろ! せっかくおまえに対して優しくしてやる気でおるのに、この間のように手荒にさせたいか!」

 宴の夜の惨劇を思い出し、ジェニーは顔をかっと熱くした。彼が驚いたようにジェニーを見つめ、彼女から目をそらさない。

「……来い」

 隣の部屋へ移動しようとする王にジェニーは足を踏ん張って抵抗したが、彼女の肩を抱いた王はいとも簡単に彼女の体をそこから動かした。彼の手で引きずられるように寝室へ移動させられた彼女は、ほどよく明かりの落とされた、暖炉の放つ非常に暖かい空気に迎えられた。冷えた手足がすぐに温められた。

 炎のような目で自分を見つめる王の目から逃れようと、彼女は視線をあちこちにさまよわせ、左足にほんのちょっと体重を移動させた。が、彼はその動きさえも許さないというように、彼女の左肩をつかむ。

「ジェニー、こちらを向け」

 それを無視し、彼女は首を後ろに引いて、王の口から漏れる息から逃れる。彼の体から匂いたつ香りが恐怖を覚えさせる。

「おまえ、俺に口をきかぬことで反抗しておるつもりか?」

 腕をつかんでいた彼の手が、彼女の肘を伝って二の腕の感触を確かめながら移動していく。

「この――肌の質感。娘にしては、引き締まった腕の筋肉」

「やめて!」

 彼の手に触られることにぞっとして、彼と再会して初めて口をきいたジェニーに、王は唇の右側だけ上げて笑った。

「ようやく口をきく気になったか」

 王は肩にある手をジェニーの顎に移し、もう片方の手で彼女の尻部分を抱え上げた。

「何をするの、降ろして!」

 彼女は不安定に揺れる体のバランスを取りながら、背後にある寝台を振り返った。

「放してよ、ゴーティス王!」

「まこと、おまえは往生際の悪い」

「放してよ! あなたには、私でなくてもたくさんの女が手に入るじゃない!」

 彼女が叫ぶと、急に彼の獣の顔が無表情な男に変わった。その表情のない目で見られると、彼女の全身の筋肉がこわばっていく。

「たしかに。おまえである必要はない」

 王の目が氷のように冷たく変わり、彼女はぞっとした。そんな突き刺すような人の視線は、今までに見たことがない。彼の首についた自分の手の下で、彼の脈がだんだんと速くなっていくのがわかる。

 突然、ゴーティス王が怪訝そうに目を細めてジェニーを見た。

「おまえ、中央の街より前にはどこに住んでおった?」

「えっ?」

 彼女の体を支え、王はさめた目で彼女を見上げる。

「他の場所にいたはずだ。どこにいた?」

「なぜ? なぜ、そんなことを訊くの?」

 ジェニーは混乱して王の冷たく光る目を見返した。

「言え。どこにおったのだ?」

 ジェニーにからめた腕から力を抜いてその体を自分の前にすべり降ろさせ、王は彼女の瞳をのぞきこんだ。「言え」

「なによ。どこでもいいじゃない」

 彼女は、一ヶ所に定住していたと否定をしなかった。彼はなおもしつこく食い下がった。

「俺の質問に答えぬのか! どこにおった!」

「それが……何なのよ! ニースよ! その前はテレーズ! シャンブリー、リモージュ、それに、ベルアン・ビルにだって住んでいたわ!」

 それはどこも近隣の小さな公地名で、ヴィレール王国とは直接的には関係がない地方ばかりだ。だが、何かが引っかかる。

「なぜ、そんなに移動を重ねていた?」

「なぜって? どうしてそんな事を訊くの?」

「俺に質問するな! おまえは俺に答えるだけでよい!」

 濃い緑の瞳が鋭くきらめいた。腰を押さえつける王の手に力がこもり、彼女は仕方なく口を開く。

「理由なんか、知らないわ。引越しはいつも突然で、行き先は両親が決めたわ。どこにも……ベルアン・ビル以外のどこにも、知り合いはいなかった」

 家族同士は親密だったが、移住を繰り返していた時期は、彼女は兄とともにいつも孤独だった。中央の街に住み着いて以来、彼女には友人や恋人らしき者ができて充足感を覚えはじめることができたのだ。彼女は温かな心の平安を感じていた。彼女が受けたヴィレール軍の急襲は、そんな矢先に起きた。彼女の目の前にいる男が率いるヴィレール軍は、一瞬にして彼女の幸せな生活の全てを奪ってしまったのだ。

 女官長に自分の立場を受け入れろと言われても、誰がその境遇をすんなりと受け入れられるのか、彼女にはまったく理解できない。


 彼女の両目に浮かびあがった涙を見つめ、ゴーティスはたった今聞いたばかりの情報を反芻した。一般的な見方をすれば、彼女の一家は生活に困って移住を決意したというより、他に何らかの理由があって、追っ手から逃れるようにして数年ごとに居住地を去っているように思えた。

「おまえの姓は何だ、ジェニー」

「名字? それがあなたに何の意味があるの?」

「俺に質問はするなと言うたはずだ、いちいち訊くな! 言わぬのか?」

 彼が彼女の頬に顔を寄せて脅すように大声を出したので彼女はひるみ、呟くように答えを口にした。

「“剣使い”よ」

「は? ――何だと?」

 彼はその返答に耳を疑った。

「剣使い??」

 ゴーティスの、大きな驚きをもった反応に彼女は戸惑ったようだ。

「それがおまえの姓なのか?」

「ええ、そうよ。“アマレット”よ」

 彼女の姓はヴィレール古語で“剣使い”という意味を持つ。

 意味ではなく音で言葉を聞き、彼は彼女の姓をようやく知った。偶然の一致かもしれないが、ゴーティスはジェニーの一家に何かしら引っ掛かるものを感じた。


 ジェニーは、王の思案した様子を不審に感じた。

「なぜ、急に私の事を知りたがるの?」

「俺に、何かを尋ねようとするな」

 彼は心ここにあらずのように見え、ジェニーをつかむ手から力が抜けていた。このまま手を放してくれないものかと、ジェニーは自分から数センチの距離にある王の体を上から下まで眺めた。

「ベルアン・ビルの知人の名は?」

 ジェニーの視線が上に戻った時、それを待っていたかのように王が別の質問をした。彼はジェニーの瞳を見つめて視線を合わせると、頬の曲線を下って彼女の唇に視線を移した。ジェニーは、王の重い視線に動きを封じこめられた。

「言え、ジェニー」

 王の声は低く、聞き取れないほどだった。

「……知人じゃなくて、叔母よ」

「叔母? 親類がいたのか。名は?」

 質問はもうたくさんだ。自分の境遇を思い知らされて、気分が沈む。彼の発する不快な重い視線にも、耐えられそうもない。

 彼女は目をつぶった。その直後、彼女の唇が湿って温かな唇で覆われた。

「う!」

 彼女が目を開けて体をのけぞらせると、そこには冷ややかな目をした王がいた。

「その反応は何だ? おまえが目を閉じたから、俺は望むものを与えてやったまでだ。違うのか?」

 ジェニーは呆れ、猛烈に腹が立った。

「あなたって……何て人なの? 私がそんなものを欲しいわけがないじゃない! どうしてそんなに家族について聞きたがるの? あなたが奪った私の家族について、あなたが知ってどうす――きゃっ!?」

 全部を言い終わらないうちに王に足をすくわれ、彼女は床に転がった。

「何を――!」

「おまえには耳がないとみえる。俺の許可なく質問をするな! 俺に口答えをすることも許さぬ! 俺はおしゃべりな女は嫌いだ。いつぞやの女のように舌を切り取られたくなければ、口は慎め! おまえはただ、俺の言うことに答えればよい!」

 女の舌を切ったなど、いかにもゴーティス王がやりそうなことだ。

 恐怖になりかわり、憎らしさがジェニーの胸に広がった。ジェニーは奥歯を噛み締め、目の前の男を見つめる。

 憤怒をためて王を見返すジェニーの隣に、王がひざをついた。

「その目も気に入らぬ」

「……どんな人でも、人の感情までは支配できないわ」

 王は不快そうに顔をゆがめ、自嘲気味に笑った。

「残念だが、それは必ずしも正しくない」

 彼はジェニーに顔を近づけ、淡々と言った。「だが面白い。他の者が同じ台詞を吐けば即刻殺してやるものを、おまえが言うと、俺はなぜか興味を引かれるようだ」

 ジェニーは手を床について体を起こそうとし、彼の手でまた床の上に押し戻された。

「ジェニー、叔母の名を言え……」

 彼の親指がジェニーの腹をなぞり、円を描き始めていた。彼女がはっとして彼を見上げると、さっきまで冷めていた王の顔は、男の欲望で色塗られていた。ジェニーは焦り、言い放った。

「どうでも――どうでも、いいじゃない!」

「ほほう、なるほど。おまえは、俺の言葉を聞く気はないらしい」

 ジェニーが彼の腕を振り払うと、王は眉をひそめて彼女の目を見た。

「おまえは賢い女だ。生き延びたいならば、今何をすべきか、何が得策か、ようわかろう?」

 王が、ジェニーの背を手で押さえた。

「静かにしておれ」

「いやよ、私は――!」

「おまえの感情になど用はない」

 王が、逃げようとしたジェニーの腰にひざを乗せ、背後から彼女の足にのしかかった。

「やめて! 痛――」

「暴れるな。怖がらぬでもよい」

 だが、彼はその言葉のように優しくはなかった。彼女が着ている寝間着の長い裾を上まで急いでたくしあげ、彼女を体の下に押さえながら、もどかしそうに自分の服を脱いでいる。

 ジェニーは床の上で逃げようと、必死で彼の手をどかそうとした。この男に二度も征服されるのは、絶対に嫌だった。

「そう動くな」

「いや!」

「おまえは、俺の言うことが聞けるはずだ」

 ジェニーの耳元で彼は囁き、彼は後ろから彼女の胸に手を伸ばして服の上からそれを強くつかんだ。その衝撃で腰が引けた彼女の尻を持ち上げ、彼は耳元で小さく笑う。

「こんな事をしたって、何も変わらない……!」

「そうか。では、おまえが抵抗する必要もないな」

 ジェニーが泣き叫んでも、彼は彼女の体を簡単に抱きかかえた。腿の内側に温かな肉の感触があり、ジェニーは身震いする。耳の後ろで息に似た笑い声がした。

「そう硬くなるな。この間のようにそれほど痛くはない」

 ジェニーの耳のまわりに濡れた生温かい舌がつたい、彼女は涙が出そうになるのを必死に堪えた。

 今何をすべきか? 

 何をすべきか……!

 ジェニーが、今まさに彼女の内側に入ろうとしている背後のゴーティス王に振り向くと、彼は少しだけ目を細めて彼女に視線をやった。

 私は、私の感情までをこの男に振り回されたくない。自分の身を嘆いたり哀れんだりして、涙などもう流したくない……!

 彼女に入ってから、彼は彼女の耳に唇をつけ、囁いた。「何だ」

 王の作る痛みを我慢し、ジェニーは必死で顔を上げ、背後の彼に振り返る。

「顔を……あなたの顔を見たい」

 ジェニーは彼の唇から顔をそむけつつ、言った。王は彼女を怪訝そうに見つめ、にやりと笑う。

「俺の顔をか? おお、よいぞ。悪くない傾向だ」

「そうじゃ――」

 彼の作る振動で、彼女が一瞬、顔を歪めた。それを目にした彼の顔が、高揚して赤くなる。

「悪くない表情だ。もっと見せろ」

 王は後ろから彼女の首に腕をまわし、彼女の顔を引き寄せようとした。

「ちがう、私は……私は――」

 体の真ん中が痛かった。ただただ早く終わって、この肌の下から逃れたかった。

「どこを、どうしてほしい……」

 ゴーティス王が温かな吐息をジェニーの耳元でもらす。

「私は――こんなひどい事をする人の顔を、覚えていたいだけ・・・・・・」

 ゴーティス王が顔を強張らせた。彼女を揺する彼の動きが、さらに早く激しく変わる。


  ◇  ◇


 自分がどうやら監視されていると勘づいたジェニーは、彼らをなるべく刺激しないようにと行動を注意していた。彼女が独りになれる時間は睡眠時間以外にほとんどなくなってしまい、常に侍女か誰かが側につきそっていた。おまけに、彼女の徘徊事件のせいか、女たちによる夜中の見回り回数が増えたらしい。彼女はがっかりしながらも、ほとぼりがさめるまでの我慢だと自分に何度も言い聞かせ、後宮生活を送っていた。

 王の二度目の訪問があってからは正式な後宮の住人だと認められたのか、ニーナに加え、アンヌ・マリー、カトリーヌ、オルディエンヌという他三人の王の愛人とも顔を会わせる機会があった。

 本来ならば彼の正式な妻である王妃が居住する後宮という場所に、彼は国内外からの結婚の申し込みを全て拒んで妻を持とうとせず、愛人ばかりを何人も住まわせている。後宮を愛人でうめるような生活を始めてから、かれこれ一年半もたつそうだ。その間、愛人たちとの間に、彼の子どもは一人も生まれていない。

 アンヌ・マリーは濃茶色の豊かな長い髪を持ち、瞳が大きく、大柄な女だった。感情をはっきり表すタイプらしく、廊下でばったりと出会ったジェニーに軽蔑したような態度をとり、嫉妬心と怒りをあらわにして彼女の肩に体当たりして去っていった。ジェニーに対する同様の感情をひた隠して余裕ぶってふるまうニーナとはちがい、正直でわかりやすい女だ。

 あとの二人は比較的に穏やかな性質らしかった。カトリーヌは正統派の北ユーロ人の美女で、金髪と薄い青の瞳が優しげで、色が白く、豊満な肢体の女だ。貴族出身のニーナや王の初期の愛人であるアンヌ・マリーに非常に気をつかい、二人のような敵対心をジェニーには持っていないようで、気楽でのん気な感じを受けた。オルディエンヌは背が高く、手足が細くて長いが、胸は目立って大きかった。ただ、その目立つ風貌とは裏腹に、従順で寡黙なおとなしい女だった。彼女は後宮内にいる女たちの力関係に巻き込まれるのを嫌い、あまり部屋から外出することがないと聞いた。

 どの女も違う種類ではあるが見事な体をもった美女揃いで、弱冠二十歳だというゴーティス王よりは全員年上の大人びた愛人ばかりだった。少女のようなジェニーの存在が浮くのもよくわかる。ジェニーが入城した時にはまだ居たという愛人の一人は、王によって退去させられたと聞いた。

「退去させられることもあるの?」

 思ってもみなかった選択肢だ。それが叶えば城外に出られる。

「なぜ? その理由は何なの?」

「私は存じませんね」

 アニーは素っ気なく言い、他の付き人たちもこぞって迷惑そうな顔をして、知らない、と首を振った。

「そんな憂き目に合わないよう、どうかお気をつけくださいますように、ジェニー様。おわかりですね?」

 アニーは疑わしい目で主人に言い、ジェニーは、その話題にそれ以上触れるのをやめた。

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