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第二部 5.生と死の境界線-4

自分でも時々忘れますが、この作品はR-15です。

多少、オトナな描写が出てきますので、ご注意くださいね。


 女官長はごくまれにだが、病的と思えるほどに興奮して手がつけられなくなるときがある。

 それでも、彼女は世継ぎに恵まれない王妃カサンドラに苛立ちを募らせながらも、ここしばらくは小康状態を保ち、節度とある程度の敬意をもって接し続けていたようだ。ところが、闘技大会もあと十日とさし迫った日の夜のこと、王妃に対する女官長の怒りが炸裂した。

 といっても、カサンドラが女官長に何か特別なことをしたり、言ったりしたのではない。それは過去数ヶ月間も繰り返されてきたことで――だからこそ、女官長の我慢が限界を超えたのだ、と言う者もいる。

 カサンドラの月経が決まった周期でおとずれることはこれまでにもあまりなかったが、それが狂うたび、王城の人々はそれが待望の懐妊の兆候ではないかと期待を抱き、そして同じ数だけ、がっくりと肩を落とし続けてきていた。

 だが今月、彼女の月経は予定より二週間近く遅れていた。今まで、二週間もずれたことはない。

 今度こそ――。

 女官長が、もっとも期待をかけていたに違いない。

 しかし、残念ながら、カサンドラの月経はおとずれた。

 古い世代の者たちの間では、月経が不安定な女は石女うまずめである場合が多いと信じられている。そんな女たちが何人も子をもうけている例は多数あるが、女官長はその考えを支持する一人だ。王城の人々には、気難しくて冷淡な夫に接することで王妃は心が弱り、それに伴って体も不安定になっている、という同情的な見方があるが、女官長に言わせれば、一年近くも夫に怯え続けること自体がおかしい。

 女官長の剣幕に怯え、カサンドラは泣き崩れたそうだ。侍女たちも女官長の迫力に負けて、貝のように口を閉ざし、表向きは王妃の体調不良を理由に部屋に引きこもっている。当然ながら、カサンドラは、ゴーティスのいる晩餐の席に現れなかった。


 世間では、結婚後一年過ぎてもなお妻に子どもが授からない場合、夫側から離婚を言い渡しても構わないとされている。王家も同じで、どんなに長くても二年、王妃が一人の子も妊娠しなければ、離縁されても文句は言えない。

 女官長は臆せず、ゴーティスにカサンドラとの離婚を勧める。

「離婚しろ、と?」

 女官長の青い顔をまじまじと見て、ゴーティスはそれを一蹴する。

 ゴーティスにとってカサンドラは疎ましい女ではあるが、彼女は浪費家でもなく、政治に口も出さず、不妊体質だとはっきり証明されたわけでもないのだ。何より、彼女の背後には、宝の山である塩の利権がひかえている。

 世継ぎはもうけなければならないが、たとえ不妊を理由に離婚するとしても、もう一年くらい、彼女を妃に据え置いていた方が、国にとっては都合がよい。

 ゴーティスの考えとほぼ同じ内容を、側にいたランス公が女官長に説明していた。ランス公はゴーティスの反応も気にしていたが、彼が食事に専念するのを見て、彼にも異存はない、と捉えたらしい。


 皿に残った鹿肉の切れ端を黒い煮汁に浸していると、ジェニーの顔がゴーティスの頭をよぎった。

 最近ではめったに思い出しもしない、彼女が目にいっぱいにためた涙をこらえながら、ゴーティスを強気に見上げ、何とか笑顔をつくろうとする表情だ。かつて一度だけ、ゴーティスが王城の屋上へ彼女を連れていったとき、ゴーティスに向けた顔。ゴーティスが、誰かと「同盟関係」を結んでもいい、と初めて考えられたときのことだ。

 その後に起きたジェニーの失踪により、結ばれることのなかったゴーティスと彼女の「同盟」は、つい最近になって繋がり、その絆は徐々に太く固くなりつつある。それに対し、カローニャとの同盟の絆が頼りなく、か細くなりつつあるのは、なんとも皮肉なことだ。

 ゴーティスがジェニーに求めたのは個人としての繋がりで、ヴィレールとカローニャのような国同士の同盟とは性質が違う。ジェニーという人間を信じたゴーティスは、カローニャとの同盟にあたっては、彼らが貴重な天然資源を投げ打って自己保身を図ろうとする、彼らの中にあるヴィレールの脅威を信じたのだ。

 同盟の条件として婚姻関係を結んだカローニャの王女カサンドラとは、たとえ夫婦だとしても、ヴィレール対カローニャという国家としての絆しかない。お互いの国に魅力がなくなったら、国家間もろとも、夫婦関係が解消となりえる。そして、カサンドラと離婚したあとは、どこかの王女、もしくは有力な貴族の女がゴーティスの妻の座に納まるだけのこと。

 今度は、ゴーティスの脳裏にユーゴ・ベアールの陽気な笑い顔が浮かんだ。そして、その次に不意に浮かんだ考えに、ゴーティスは驚き、失笑する。

(国のしがらみがなければ、一庶民の身分だとすれば、俺は迷わず、ジェニーを妻としただろう)

 しかし、王の結婚は国の利害関係に基づくものだ。その概念に、ゴーティスは何の疑いも抱いていない。

 ゴーティスは、ジェニーを妃にしようとは一度も考えたことはなかった。ジェニーの実家となるベアール家は王家にとって魅力的ではなく、彼女がゴーティスの手元にいる限り、彼女を妻にする必要性はまったく感じていない。

 妃とは、愛情を注ぐ対象ではない。



 その夜、ゴーティスはジェニーを訪ねようとして、彼女が月経だと知らされ、出鼻をくじかれた。月の半ばにさしかかり、そろそろだろう、と予期はしていたのだが。

 女の月経時に伽を試みるのは、あとあとの始末が面倒でもあるし、ゴーティスは好きではない。伽そのものを喜ばないジェニーは、ことさら、嫌がるはずだ。それに、今日が月経の初日だという彼女は、ときどき、腹痛を訴えているという。

 ところが、ジェニーもカサンドラも相手にできないというのに、今日に限って、身体的な興奮が冷めやらない。

 ゴーティスは周囲にいる女たちを一人ずつ値踏みするように見た。覚えているだけの後宮に仕える女たちを候補に挙げてみた。が、不思議なことに、対象が定まらない。一夜の相手など誰でもよいはずが、誰にも決められないのだ。

 どういうことだろう?

 不可解な自分への苛立ちもあいまって、ゴーティスの体の火照りはひどくなる一方だ。

 当初、ゴーティスは小城へ向かうのを断念するつもりだった。だが、夜も更けた頃、ゴーティスはジェニーの部屋の前に立っていた。


 ゴーティスと顔をあわせたときから、ジェニーは困惑し、反抗心をのぞかせていた。アリエルが主人を気遣いながら退室したあとは、ジェニーはいっそう険しい顔となった。彼女がゴーティスにあからさまに抗う姿勢を見せたのは、久しぶりのことだ。妙な話だが、そのこともゴーティスの体を熱く刺激した。

「私、今日は無理だから」

「何が無理だ?」

 ジェニーが下唇を軽く噛み、むっとしてゴーティスを見上げた。

 ジェニーの目は普段よりずっと深い茶色で、ふっくらとした唇は化粧していないのに赤く湿ったように見える。今夜のジェニーには妖艶とも呼べる色気が備わっている。頬はつややかに光っていて、ゴーティスが見つめていると、だんだんと赤らんでいった。

「嫌なの」

「嫌だと? 何が?」

 ゴーティスは片手でジェニーの肩を引き寄せ、赤みを帯びた頬に唇をぴったりとつけた。ジェニーからは、たきしめた東洋の香のような匂いがした。もう片方の手でジェニーの腰を自分の体に押し付けると、ジェニーは抵抗して、上半身が激しく揺れた。

「放してよ!」

「ジェニー、静かにせぬか」

 彼女はゴーティスの顔を遠ざけようとでもするように、顎を両手で押した。

「ゴーティス王、私、したくない……!」

「俺は何かをするとは言ってはおらぬぞ」

 ジェニーが目をみはって自分を見たので、ゴーティスは抑制のきかない下半身を意識しながら、苦笑して付け加えた。「口ではな」

 ジェニーの表情に恐怖が混じった。

「やめて! 今日は無理なの、したくないって言ってるじゃない!」

 ゴーティスはジェニーの両手を自分の顔から難なく外した。

「無理ではない」

 光の加減のせいで茶色く見えるジェニーの髪の上から、ゴーティスは彼女の耳に息を吹きかけるようにして囁く。彼女は身をすくめ、唇を噛み締めてゴーティスから顔をそむけた。

「……今日はやめて」

 うんざりとしたジェニーの口調に、ゴーティスの口調も尖る。

「今日だけではあるまい」ゴーティスの声が掠れた。「おまえはいつも、伽をしたくないだろうに」

 瞳を怒りに輝かせて、ジェニーは顔を上げた。

「それが分かってるなら、何もしないで」

 ゴーティスは声をあげて冷たく笑い、ジェニーを腕に抱き上げた。

「今日は無理だ」


 寝台の深紅の掛布の上に降ろされて、ジェニーは右脇を下にして横たわった。無駄な抵抗をあきらめたらしい。ジェニーの背中まで届く髪が深紅の掛布の上にゆるやかに広がり、大地をぬって走る川の流れのように、鈍い金色に光っている。

 ゴーティスは急いで自分の寝着を脱いだ。床近くの空気はまだ冷たさを残しているが、暖炉の熱で暖かすぎる室内では、服を着ていなかったとしても、あまり寒さは感じない。

 ジェニーは目を閉じたままで、ゴーティスが寝台に膝をのせたことに気づいただろうのに、何の反応も見せなかった。故意に、ゴーティスの行動を無視しているのだろう。ゴーティスはジェニーの無反応に腹が立ったが、無視を返すことに決めた。

 淡い桃色をした寝着をゴーティスがジェニーの肩から落とすと、彼女は身じろぎ、背中を少し丸めた。だが、ジェニーはまだ頑固に無視を決め込むようだ。ジェニーの腰から脇腹に至る曲線をゴーティスの指が追い、彼女の肩にかかる髪を手で払う。それでも、ジェニーには動き出そうとする気配が見えない。

 ジェニーの髪を指でかき分け、ゴーティスは彼女の耳を空気に触れさせた。その大きさも、唇への感触も気に入っている。ゴーティスが彼女の耳半分を口に含むと、くぐもった声がジェニーの口から洩れた。

 ゴーティスはジェニーの反応を引き出して満足し、顔を上げた。すると、片目を開けたジェニーが、か細い声で再び何かを呟く。

「……たい」

 彼女の言葉は聞き取れなかった。

 ゴーティスが触れたジェニーの肩は、ついさっき触れたときより冷たい。ジェニーの呟きを無視しようにも、彼女が不自然に瞬きするのが気にかかる。

「何と言うた?」

 ゴーティスは、再び閉ざされたジェニーの目を見つめ、答えを促した。

「……お腹が痛いのよ」

 そんな返答でこの場をしのげると思うのは、大間違いだ。

 ジェニーの浅はかな抵抗に呆れながら、ゴーティスはずり落ちた彼女の薄い寝着の隙間に手を入れる。ジェニーのいつもより温かな肌にそって手を滑らすと、その体が縮むように一度揺れた。それからすぐ、ゴーティスの手は、予想もしなかった、ひんやりとした肌面にたどり着いた。

 ゴーティスが確かめるようにジェニーのお腹に手を当てると、吐息をもらすように、ジェニーが小さなうめき声をあげた。彼女のお腹は張っていて、冷たかった。

 ジェニーの囁きを、また聞き逃す。

 だが、ゴーティスは聞き返したりはしない。ゴーティスの手を押さえるようにして重ねられたジェニーの手もまた、体温を失っている。

 ゴーティスは口の中でうなり声を震わせた。

 寒風に吹きさらされたのではないのに、愛する人間の肌が冷たいと、ゴーティスは不安になる。もう何年も味わったことのない種類の不安だ。ジェニーの息遣いがほんのわずかに速まるだけで、ゴーティスは、彼女がいつかの父のように息絶えてしまうのではないかと、恐怖に急き立てられる。

 

 性欲も体の疼きも、とたんに消えた。

 ゴーティスが添い寝するように隣に体を横たえると、ジェニーが両目を開け、顔を後ろに傾けるようにしてゴーティスを見た。その顔に映し出される戸惑いを目にすると、ゴーティスは、自分が腑抜けになったような気分に陥る。

 ジェニーの腹に手を伸ばし、ゴーティスはその肌の冷たさを手のひらで必死に吸い取ろうとする。そうすることで、ついに最後まで戻らなかった父の体温を取り戻せるかのように。

 ゴーティスの焦燥感が限界に達する前に、滑らかなジェニーの肌はゴーティスの体温となじんで、少しずつだが熱を取り戻していった。そして、それとともに、ジェニーの体からは強張りが抜け、耳に赤みがさしていく。 

「温かくて……気持ちがいい」

 快楽に熱いため息をもらすようにジェニーが言い、ゴーティスは正気に戻る。

 ゴーティスは彼女の体を腕に抱きしめた。

 ほっとした。手の下で、活発となったジェニーのお腹が低音で鳴いている。

「体を冷やしたのだ。……許せ」

 ジェニーがくるりと振り返り、口を小さく開けて、ゴーティスを怪訝そうに見つめる。

 何を不思議に思うのだろう?

 だが、彼女のその瞳が嬉しそうに柔らかく微笑むまで、数秒もかからなかった。

「うん」

 ジェニーが笑うだけでゴーティスの息は奪われ、その一方で、胸はこんなにも軽くなる。

 ジェニーがゴーティスの手首をつかみ、頭をゴーティスの首元に押し付けた。ようやく沈静化した性欲が呼び覚まされるのを恐れ、ゴーティスは彼女の顔から目線をそらす。

「温かくなるまで、もう少しこのままでいて」

 ジェニーの言葉に、ゴーティスは呆れてため息をつく。

「半裸のおまえを腕にしながら、ただ抱きしめろと――おまえは、それを男の俺に求めるのか?」

 ジェニーが微笑んだ。「じゃあ、何か話をしてもいいわ」

「話だと?」

 ゴーティスが半ば怒りながら言うと、ジェニーはゴーティスの手を軽く握った。

「あなたがこうやっていてくれるなら、夜通し話をしたって平気」

「戯けたことを。寝所にいて、何もせぬ男女がおるか。女とて、好きな男にはすすんで身を投げ出すものであろう。おまえは違うのか?」

「私は……」ジェニーが口ごもった。「あなたのことは、大好きよ」

 ジェニーが顔を赤らめるように、ゴーティスも自分の頬が熱くなったのを自覚した。

「でも、それとこれとは話が別なの。私はあなたと一緒にいたいけど、でも、伽はなくていい」

 それもジェニーの本心だ。だが、少しも理解できない。好きな男に身を預けられないというジェニーの発言は、ゴーティスには受け入れられない。



 数時間後、自分の腕の中で眠りに落ちたジェニーを起こさないように、ゴーティスは彼女にからめていた手足をそっと抜いた。

 結局、彼女が眠りにつくまで二人がしていた事といったら、ユーゴの噂話と、アリエルを探し出したサンジェルマンの苦労話、それに、月末に迫った闘技大会の話だけだ。全てはジェニーの望んだとおりだ。彼女は満足していたようだが、ゴーティスは何となく腑に落ちない。

 けれども、ジェニーがお腹を抱えるようにして眠る姿は、ゴーティスの幸福だ。寝顔に笑みがのぞくのは、ゴーティスの手柄と呼んでいい。

 ジェニーの腕に唇をつけようとして、ゴーティスは突然、彼女を揺り動かそうとする衝動に襲われた。

 心の平安は得られていたが、身体的な欲求不満は今もまだ残っているのだ。しばらく歩き回って、体内に残っているざわめきを放出しておきたい。

 廊下に出て、ゴーティスは階段をたどって一階に下る。

 暗闇に反響する声を最初にとらえたのは、ゴーティスに付いてきた近衛だった。

「何だ?」

 反射的に剣の柄を握り、ゴーティスはふと立ち止まった男の背中を見た。

「は。何やら、声のようなものが聞こえまして」

 男が聞いたという声は、廊下のずっと奥の部屋から発せられているようだ。耳をすましたゴーティスは、夜中に不気味に響く声の主を特定した。この小城のもう一人の主人、カロリーヌだ。

 癇に障る幼児の泣き声は、ゴーティスの動物的で破壊的な血を刺激する。

 ジェニーを訪ね、彼女の娘までを訪ねたことはないが、ゴーティスは子ども部屋の場所を覚えている。彼らの歩く廊下の突き当たりに近い部屋だ。


 子ども部屋の扉の前に立ってみると、娘の泣き声は実際にはすすり泣きに近いことがわかった。ときどき不満そうにあげる声が廊下にもれて、甲高く響くのだ。


 ゴーティスが初めてカロリーヌと対面したとき、彼女はゴーティスに向かって手を伸ばし、体勢を崩して小さな寝台から落下しかかった。

 床に頭を打ちつけて死ねばよい。

 幼子の死を願った心とは反対に、ゴーティスは咄嗟に彼女の足首をつかんだ。不本意ながら、彼女の命を救ってしまったのだ。

 騒ぎたてる乳母たちを尻目に、カロリーヌは逆さ吊りの状態だというのに、声をたてて楽しそうに笑った。床に降ろされると、彼女はゴーティスを遊び相手だと認識したのか、笑いながらゴーティスの足に抱きついた。怒りで、ゴーティスの頭はかっとなった。

 だが、カロリーヌを蹴り飛ばしたい衝動は、ゴーティスの体が覚えている懐かしい感覚に邪魔された。

 ゴーティスの足に触れる、幼い娘の柔らかな腕。

 その弾力は、ゴーティスがそれまでの人生で決して思い出さなかった、母親の肌の触感だ。母親に、たしかに抱きしめられた記憶。

 ゴーティスは茫然とした。彼自身に、無意識下に封じ込めていた母親の記憶があることに。それが、先王やジェニーを彷彿とさせるカロリーヌから感じ取れたことに。

 膝から力が抜けそうだった。先王とジェニーの特徴を受け継ぎ、先王の声だけでなく母親の記憶までも伝えたカロリーヌに、ゴーティスは一種の神々しさと畏怖を覚えた。

 カロリーヌには、カサンドラや女官長、ゴーティスが侵してはいけない何かがある。

 彼女は、ジェニーや先王に所属している。

 ゴーティスがカロリーヌをジェニーに返すべきだと悟ったのは、その瞬間だ。


 近衛が室内に王の来訪を告げると、カロリーヌの泣き声がぴたりと止んだ。

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