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幕間 バラバ王朝史2

 一世紀ほども経つとクルディス人の支配も衰えていった。もとより間接・分権統治指向の強い政権である以上、分裂の勢いもまた早かった。

 クルディス王国の衰退に乗じて各地で反乱・敵国の反撃が始まった。南のモエリス湖付近に逃げ延び力を蓄えていたメロエ王国がニール河流域の奪還に軍勢を繰り出し、東方のペルシス地方に分立したエグバン朝や西方のゴンディノ地方に分立したサラザニア朝が挙兵した。クルディス王国は瞬く間に崩壊し、いくつかの英雄譚とそれを遥かに上回る悲喜劇を生み出して消え去った。クルディス本宗家の王族は殺されるか、各勢力に傀儡として取り込まれ消滅した。

 ホルシードの地にはメロエ王国、ペルシスのエグバン朝、ゴンディノのサラザニア朝の三つ巴が出現し、特に各勢力の中間に位置し豊かなシラエア地方で激しい争いが繰り広げられた。シラエアの諸都市国家は三勢力の間で翻弄されることになるが時に手痛い打撃を与え、征服者達の鼻を圧し折りその意地を見せつけた。


 互いに一進一退の戦況が再び100年ほど。膠着状態が崩れたのはペルシス地方からであった。この頃には精強を誇ったエグバン朝も衰退の一途を辿り、各地の反乱や独立運動に手を焼いていた。"ジェタの一族"と呼ばれた小部族もまたそんなエグバン朝傘下勢の一つであった。

 だが"ジェタの一族"は突如として強大な力を得るに至った。伝説では空から神が下りてきたとか、御光と共に知恵や力が満ちたとか言われているが詳細はわからない。ただ歴史的事実として、百人にも満たない彼ら"ジェタの一族"がエグバン朝の軍隊すら打ち破る戦力を保有したということである。特に彼ら一人一人が持っていたと伝わる"火を噴く鉄の槍"は"ジェタの一族"の象徴となった。

 エグバン朝は勇戦虚しく"ジェタの一族"に敗れ、周辺部族や独立勢力と共に取り込まれ融合させられた。

"ジェタの一族"は支配下に治めたペルシス地方を中心に王国を成立させた。中でも指導的立場にあった家系が王家となり、その家名からバラバ王国と命名される事となった。以降ホルシードで広く用いられる"真歴"はこの年を元年としている。

 初代王クセルクセスは神の化身かと思われるほどに数多の伝説に彩られている。曰く雲をつくような巨躯であり、曰く眠らずに国の統治に邁進し、曰く人の心も見通すことができる等々だ。それらが事実であるか否かは最早不明であるが、辺境の一部族に過ぎなかった"ジェタの一族"を歴史の表舞台へと導き、数世紀に渡る栄光をもたらすバラバ朝ホルシード王国の礎を築いたことは確かなのだ!

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