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夜のコンビニ!アイドル?騒動

作者: くにえもん

新人教育として、昼のシフトから急遽深夜のシフトに回されてしまった、真。

しかし、その教育相手は可愛い女の子だった!

少しときめきを感じていた矢先に、事件が起こる・・・・

「眠い・・・なぜ今日に限って深夜のシフトに回されるなんてついてないよ・・・」


深夜のコンビニで、俺は悪態をついていた。

店長に深夜帯のシフトに、新人が来るというので新人教育をしてほしいと頼まれ、いつもは昼から夜のシフトなんだが、今日だけ深夜から明け方のシフトに回されたのだ。


「先輩!何ブツブツ呟いてるんですか?今日は研修指導よろしくお願いしますね。」


茶髪に少し赤みがかったショートのこの女の子が、今日俺が新人研修を受け持つ子だ。

若干アニメ声だが、結構可愛い。


しかし、俺は愚痴をこぼさずにはいられなかった。

だから、彼女の挨拶は無視してしまった。


「あ、あぁ・・・ここのバイト歴が長いからって、新人の面倒見なきゃならないなんて・・・。 俺より梶さんのほうが長いのに、何で俺なんだ・・・」


彼女は俺が自分の言葉を無視したと気がついたのか、再度声をかけてくる。


「えっと・・・先輩?聞いてますぅ?しっかりして下さいよぉ~。」


このときの俺は全く彼女の言葉が聞いていなかったため、客のいるいないも確認せずにストレス発散の意味で大声で決意を発した。


「そうだ!この研修指導で時給も500円アップするんだから、儲け物と思わなくちゃな!」


彼女の存在も忘れていたのに気付き、振り向くと


「きゃー!なら先輩帰り、奢って下さいね!」


俺はとぼけ顔で誤魔化してみた。


「…ん?何のことだ?金ないから奢れないぞ。」


彼女は「にひひひ・・・」と笑い、俺を小づきながら、


「またまた。 私の研修指導者として、時給が上がるぅ!!って言ってたじゃないですかぁ。それはつまり私のおかげでもあるということなんですから、奢ってくれますよね!んふふ…」


やっぱり聞かれていたか・・・。


不満や苛立ちがあると、周りを確認しないで大声出そうとする悪い癖が出てしまう。


「ダダ漏れでしたよん!お客さんいたら変人でしたよぉ!

ふふふ、 先輩って面白い人ですね!ニコッ。」


しょうがない、新人の彼女の初日がんばったでしょう!・・を記念して買ってやるかな。


「あ~あ、ちくしょー。わかったわかった。 で?何がいいんだ?一応聞いておかないと、後で高いもの奢らされそうだしな。おっと、そうだ…ごめん、・・・えっと聞いてなかったよな、名前。」


失礼な奴だな俺って奴は。

でも、彼女はそんなことなんか気にも留めずに、元気に答えてくれた。


「私は葵って言います。神宮寺葵。よろしくお願いしますね。先輩。 じゃあ、駅前のイタリアケーキ店のズッパイングレーゼがいいです。」


神宮寺 葵ちゃんか。・・・そしてちゃっかりと奢ってもらうであろう品をアピールしやがった。


「おう、俺は真だ。宮田真。

ズッパイングレーゼ?わかんないけど、高そうだなぁ…。もし高かったら安いケーキにしてもらうからな。」


外国のケーキ店は高そうだなぁ、おい。


「はーい!考えておきますね、真先輩!!」


そのとき、自動ドアの開閉の音が鳴り響く。


「あっ、お客さん来ましたよ。真先輩!ドキドキするぅ~。上手く出来るかなぁ葵。」


おっと、おしゃべりの時間はお終いだ。仕事仕事。


「ほら、葵ちゃん!ちゃんと『いらっしゃいませ』って言うんだぞ。 ・・・いっらしゃいませー!」


葵ちゃんは緊張した面持ちで、お仕事スタート!

・・・のはずだったのだが、第一声でとんでもないことを口走った。


「お帰りなさいませ、ご主人様!♪・・・あっ、い、いらっしゃいませー!」


何言ってんだ葵ちゃーん!

確かに、お客さんもそれっぽい人だけども、ここは秋葉原じゃないんだぞーー!!


「葵ちゃん!ここはメイドカフェじゃないだぞ。どうした?」


葵ちゃんは自分の頭を小づきながら、


「えへへ、ご、ごめんなさい。つい、前の職場の癖が出てしまって。・・・私ぃ前はメイドカフェ「アイドル猫ミミ」で働いていたので・・・。」


事情はわかったが、来店してきたオタクっぽい客がこちらを振り向き、ジッと見つめている。


「気をつけろよ。ほら、お客さんがこっちをずっと見てるじゃないか。ちゃんとお詫びして葵ちゃん。」


葵ちゃんは慌ててお客に謝る。

その瞬間、その客は葵ちゃんを見るなり、


「・・・あれ?あーたん?あーたんだよね。 ちょー感激だお!『アイドルカフェ猫ミミ』No.1アイドルのあーたんだおぉぉ!!」


なんなんだ、その喋り方は!・・・あっいや、お客に失礼だが引いてしまう俺。


「ゲッ!」


葵ちゃんから聞いたこともないドスのきいた声が聞こえた。

えっ?今アイドルって・・・。


「?あーたん?No.1アイドル? 葵ちゃん、すげー!・・・でも、なんでしがないコンビニ店員やってんだよ。」


レジ前で喜びを表し、ピョンピョン跳ねるオタクを無視し、俺は葵ちゃんに質問をぶつけた。


「い、いやぁ、アイドルと言っても、あくまでメイドカフェ内のアイドルで、そんな凄くはないですよ。」


少し照れ隠しで喋る葵ちゃん、なんだろう可愛い。


しかしオタクは自分の事しか考えていないのか、葵ちゃんに向かって質問をしてくる。


「あれぇ?でも、いつものオドオド花も恥じらうあーたんじゃないど?キャラチェンジしたのかなぁ? オドオド恥らいキャラやってよぉ、あーたん。 あのキャラ僕たん大好きなんだおん。」


オタクの気持ち悪いほどの熱意に、葵ちゃんらしからぬ言葉が飛び出す。


「ゲッ、きも! ねぇ先輩助けて下さいよぉ~。」


確かに気持ち悪い。

だが、あーたんって葵ちゃんのもう一つの顔も見てみたいと思い、つい俺の本音が漏れてしまった。


「あーたんやって欲しい。葵ちゃん・・」


「ちょっとー!真先輩まで感化されないでくださいよぉ!ここコンビニですよ!

この客営業妨害してるんですよ。ほらっ、この男のせいで入店しようとした客が帰っちゃいましたよ。」


しまった。欲望に負けてしまい、他の客を逃してしまった。

この迷惑なオタク客をなんとかしないと、どんどん客が逃げてしまいかねない。


「おい!そこのオタク!ここはメイドカフェじゃないんだ!営業妨害で警察を呼ぶぞ。」


するとオタクは俺のほうに振り向き、「きーーー」と雄たけびをあげながらスマホをたたいている。


「うっん、お前、あーたんの騎士を気取りやがってぇ。 でも、仲間をたくさん呼んだから、営業妨害にならないから関係ないんだぞぉ~!」


ドドドドドドドドドドド・・・・・!!


建物の中まで音と地鳴りがここまで迫ってくる。

やってきたのは、オタク客のオタク仲間だ。

オタク仲間は葵ちゃんを見るなり、口々に歓喜の気持ち悪い口調で喋りだす。


「あーたん!あーたん!また会えたぞよ!」

「猫ミミ突然やめちゃって寂しかったー!」

「こちらに我らがマドモアゼルがいると連絡が入り、全ての予定をキャンセルして参りましたぞ!」

「恥らう猫ミミあーたん見に来たんだよーン。」


俺と葵ちゃんはその濃いオタク達をみて呆然とした。


「ちょっとやめてよ!あんた達、迷惑でしょ!」


怒りだす葵ちゃんに、何故か歓喜の声をあげるオタク達。

これじゃ埒があかない。そこで俺は苦肉の策を葵ちゃんに伝えた。


「・・・葵ちゃん。こいつらにあーたんとして接客してくれ!頼む!!」


「えぇ、なに言っているんですかぁー!真先輩!通報しましょうよ。営業妨害ですよ!」


確かにそうだ。

だがしかし、じつは俺も葵ちゃんのあーたんがみたいという欲望には勝てなかったのだ。


「このままじゃ、こいつら出て行きそうにないオーラ出してるし、この時だけ乗り切れば、平穏が訪れると思うんだ。」


葵ちゃんは戸惑いながら「でも・・・。」と俺に語りかけてくる。


だが、ごめん葵ちゃん!俺の欲望を少し叶えさせてくれ!!

そして、一応は俺も迷惑がってるふうに装わないと。


「おい!オタク共!葵ちゃんことあーたんで接客すれば素直に帰ると約束しろ!いいな!!」


オタク達は物怖じせず、リクエストしてきた。


「あ~たんのお歌も歌ってくれないとダメだぞぅ~! でないといつまでも居続けるだよ!なあ、皆の衆」


おおぉお・・と掛け声をかけわめきき散らす。


本当に迷惑な奴らだよお前ら。オタクが気持ち悪がられる理由がわかるよ。空気読めよな。

・・・まあ、ごく一部だろうがなこんなバカがいるのは。


「えっと、すみません真先輩。そう言われても衣装がないから、あーたんにはなれない・・・」


葵ちゃんがすまなさそうに、俺に語りかけてくる。

・・・諦めて警察に連絡して、こいつらオタク共を引き渡すしかないか・・・

そう考えていると1人のオタクがアニメ絵の袋から、衣装を取り出してレジの前に満面の笑みで置きながら、


「ほら~、あーたん!!アイドルカフェ『猫ミミ』から借りてきたよ、あーたんの衣装。 これならやれるよね~!ドゥフフフ」


気持ち悪いくらいの行動力と笑い方に、俺と葵ちゃんはさすがに引いてしまった。


「!?ええ!?ちょっと、マジですか~。」


葵ちゃんがまた一歩後ろに引く。

おい!お前ら!すっごい葵ちゃんに嫌われているのに気がつかないのか?

仕事上では愛想よくしてるだけで、しかもここはアイドルカフェじゃない上に葵ちゃんも素がでているため、露骨なキモい目線を発している。


でもこれで、あーたんが見れるぞ!

今の段階では、こいつらオタク共と俺はなんら変わらない同類なのが、俺の心を刺してくる。


「よし!じゃあ葵ちゃん、着替えてきてくれるな!

…大丈夫、監視カメラにもばっちり移ってるから後々通報は可能だからさ、 まずは、安全なコンビニを取り戻すことを最優先に、ね!」


葵ちゃんは少し泣きそうになりながらも、


「ううっ、は、はい、了解しました~。」


そう言いながら、奥の部屋に移動した。

何度も思うが、すまない葵ちゃん。

高いケーキでも大丈夫だから奢ってあげるから、頑張って下さい!


「ふぅ、前のバイト先を止めた理由が少し分かった気がする。こいつらが原因だからかな。 おい!こっちはお前らの意見に答えるんだから、これやったらさっさと帰れよ!」


俺はもう一度オタク共に釘を刺した。


「ほぉ~い」


返事にイラッとしてしまう。

そもそも俺の判断って正しいのか?

自分自身の欲望も含めての今の結果だが、店長に絶対怒られるのは確実だ。結果時給アップの話はおろか、減給されてしまうかもしれない。

今更になって後悔の念が俺を襲い始める。


「全く気持ち悪い奴らだ!」


それは俺も同様に言えることだろうけど・・・。

オタク共が、準備に手間どっているのか、まだかまだかと喚きだした。

全く、図体だけデカイくせに、中身は小学生並みの奴らだな。我慢を覚えやがれってんだよ。


そこへようやく着替えが終わったのか、葵ちゃんが姿を現した。


「真せんぱーい!着替えてきましたよぉ。・・・う~ん、ちょっと大きくなったのかなぁ?

胸がきついなぁ、大丈夫ですか先輩?」


あああ、葵ちゃん凄くエロくないかその衣装は、目の毒では・・・。

オタク達もあーたんバージョンになった葵ちゃんの姿を見るなり変なテンションで叫びだした。


「おおぉおお、あーたんのおっぱいきたーー! カメラだカメラ!パシャパシャだぞぉ~!!」

「キタこれ!きましたぞ~!!エロエロあーたん、もえ~。」


葵ちゃんはその奇声と行動を目にするなり、「ひいぃぃぃ・・」脅えた声を出す。

俺もそのエロボディーを目の当たりにし、つい本音を口にしてしまった。


「葵ちゃんって・・・着やせするタイプなんだね!?こぼれそうなムチムチおっぱいと素肌・・・!

はっ違う!これは刺激が強すぎる。」


恥ずかしがって葵ちゃんは


「もぉ、先輩までー!さいてーですよ」


嫌われてしまったかも・・・。

でも改めて、前のアイドルカフェを辞めた理由を突っ込んで聞いてみた。


「そうか!!葵ちゃんはこの衣装が嫌で、前のバイトを辞めたのが本当の理由だったのかい?!」


確かにこんな奴らに仕事上の営業スマイルとはいえ、精神が耐えられなかったんだろう。

しかし、葵ちゃんが辞めた理由はそこではなったらしい。


「違いますよ!!真先輩!じつは、アイドルカフェの猫ミミが激務すぎて、目指していた声優の活動が全然できなかったので辞めたんですよ!」


理由は芸能活動に割く時間がなかったためで、生活のためとはいえ、時間の融通がきかなかったことで、折角きてた声優の仕事がパーになってしまったことが辞める原因だったらしい。

夢を叶えるのは難しいものなんだなぁ。


「成程、まあうちは結構融通も利くし、芸能界目指してるやつたくさんいるからな。そういうことか。 グラビア声優になれるなお前!そしてさすがNo.1だな!!」


理解した上での応援のつもりが、後半エロ目線っぽくなってしまい、顔を背けて反省する俺。


「そうですよ。そして変態だけど、葵のことを心配してくれる先輩にも会えましたし、ここもわるくはないかなっと。」


変態という称号をゲットしてしまった俺の心は少し複雑です。


「でも、今の先輩のやり方は許せません!葵の信頼を取り戻すためにも、プラスで高いケーキ奢ってもらいますからね!」


俺が反省すると、葵ちゃんは可愛い笑顔で「よしっ!!」と言ってくれた。

変態の称号が無くなるのならば、俺は涙を呑んで高い品物でも奢ってあげますよ、葵ちゃん。


そんな俺と葵ちゃんの会話が盛り上がってると勘違いしたオタク共は、声高らかに叫びだす。


「はじらってー、あーたーん!萌え萌え~」

「そんなバカより、我々をみてほしーよー、あーたーん!!」

「あーーたん!あーーたん!!」


バカはお前らだブタ共が!!

葵ちゃんはレジから飛び出して、オタク共の前に出るなりスイッチオン!

以前のアイドルカフェで接客していた「あーたん」に変身する。


「ご、ご主人様ぁ、ご主人様に見つめられるとあーたん、恥ずかしすぎて直視できないの!に、逃げ出したいですぅ~。」


オタク共は、依然買ったものだろうか、あーたんグッズなるものを掲げ、顔も赤らめながら悶絶寸前になっていた。


「ふぅぅおお、可愛いよあーたん!恥ずかしがらなくていいんだよ~。」

「僕たんが、なでなでしてあげるお~!」

「抱きしめたいぃ~!!あーたーん!!」


おい!クズのブタオタク奴郎!抱いたら即警察呼ぶからな!!!覚悟しておけ!!

俺の奴らへの呼び方が、どんどん乱暴になっていく!!

クズは言い過ぎだが、こいつらにはふさわしいと思うくらいだ!


しかし、ノリノリになり過ぎた葵ちゃんは、あーたんモードに完璧に入ったらしく、


「や、やさしいご主人様の為に、あーたん、う、うたをうたい・・・と思うのです。

はずかしーのですが、聞いていただけますかぁ!?」


クズのブタオタク共も、キモさ全開で騒いでいる。


「きたこれ!!あーたんのお歌聴けるぞ~!!」

「あーたん、久しぶりのお歌が聴けるのでござるぞーー!!」

「あーたん恥じらいのメモリーをリクエストですおん!」


そして、コンビニのレジ前は、ミニライブ会場状態になり、葵ちゃ・・・いや、あーたんは気持ちよさそうに熱唱している。盛り上がるブタ共。

・・・・俺だけ置いてけぼりな感じ。


「なんだこれ。葵キャラ変わり過ぎだし、ノリノリじゃねぇかよ。・・・・」


でも最後に一言いわせてくれ!!


「・・・・・・・・・葵エロかわ。」



ノリで書いた短編作品です。

なのでノリで読んでいただけたら嬉しいです!

そんな真と葵ちゃんで別の話も書いていきたいと・・・・・今考えましたwwww

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