エピローグ
あの一日が嘘だったかのように僕の日常も戻ってきた。
未だに僕の胸からは糸は出たままだった。
しかし糸と言うが、実際太さは髪の毛位だし、よく見れば金色の鎖なのだ。
不思議なことに、糸はずっと遠く一点に向かって延びている。
それは衣服だろうが、建物だろうが関係無く僕の胸からでている。
胸の糸を皐月がなんで嬉しそうにしたのか、今なら僕でもわかる。
「週末花見に行こう。」ス~はそう言った。
あちこちに、桜の花びらが降り積もっていたが週末まではもってくれるだろうと何と無く思った。
ただ週末に近づくたびに僕の体調に変化が出てきた…
最近、糸が見える時が少なくなってきたのだ。
それは、僕を不安にするには十分だった。
糸が見えないって皐月に何かあったって事だと、つい嫌な方に考えてしまう。
そんな僕を心配して姉達は放課後に生徒会や風紀の仕事を休んで僕の買い物に付き合ってくれた。
「しかしそんなに沢山のラムネや駄菓子をどうするんだ?」朱里姉は深くは聞いて来なかった。
「でも、ラムネって沢山種類があるのですねぇ~」日和姉は、たこやき味とキムチ味に興味あるみたいだった。
「日和姉、気になる?」
手伝ってくれたお礼に気になってる味を一本づつ渡した。
朱里はカレー味、日和は、たこ焼きだった。
一口飲んで悲しそうな顔をする二人を失笑する僕に飲みかけのラムネを押し付けてきた。唇に人差し指をつけて僕に熱い視線を送っている朱里姉は、
「やっぱり回し飲みにしよう!」と、僕の飲んでるのを取り上げて朱理姉は飲み始めた。
日和姉も同様に僕の飲んでるのを取り上げて飲む。
明後日はお花見だ。
◇◇◇◇
花見当日。天気は快晴。
家から15分くらい歩いて、この辺では大きめな公園にリュックとボストンバックを持って出掛ける。
中身はラムネと駄菓子だ。
予定の時間より早いけど場所取りは必須だよね。
土曜日の朝ってこともあり人が少ないとは言わないが場所が取れない訳ではなかった。
シートを広げて準備を始めたら、シートに三姉妹が座っていた。
「「「おはよう♪」」」
多分どこの国王も司祭も、女神を駄菓子とラムネで接待をしないだろう!
「気が利くじゃね!ラムネじゃん」嬉々として一本手に取るウ~さん。
「よく見たら色々種類があるのですね~♪」色とりどりのラムネに迷いをみせるベルさん。
「…」ウ~だけは覚悟を決めた様に落ち着いていた。
とりあえず乾杯と、ラムネでする。
「今回は、済まない事をした。美雪」ス~は頭を下げる。
ウ~さんもベルさん突然の妹の行動に少し驚いているようだ。
「今回の一件は、美雪の為ではない…全ては皐月を生かす為に必要だったんだ!」頭を下げたままス~は言った。
「皐月の為ならどうして僕を巻き込んだのですか?」
「彼女の唯一顔と名前が一致する血族以外の人間だからさ」今度はウ~さんが答える。
「余計分からないですよ。」
「でもね。植物状態の彼女の両親に娘を助けて頼まれたのよ」とベル
「普通は、神頼みって日本なら日本の神様じゃないの?何故運命の女神なんだ?」
「業務提携で本来は日本の神が受け持つところ、過去改変が必要だったけどね」
「肉体は問題無くても精神が弱くて過去改変に耐えられないそう判断して…」
「彼女の記憶の中でも血縁以外に好意を持ってる存在が美雪だけだったんだよ」
「有り難う。意識が無いなら何故僕だけ知ってるのだろう?」
「美雪も子供の時に何度か入院してただろ?」
「確かに何度かは入院をしていた。」
「その時一度だけ遊んだんだ。しかも次の日も遊ぶと約束して」
「???」
「でも約束は果たせなかった…楽しみで仕方がなかった皐月はその日の夜に急変して意識が戻らなかった。」
それで毎日お参りを続ける両親の声が神様にたどり着いた時は遅かったって話。
でも疑問はまだある。
「儀式に何故、都こんぶ。とガムなんですか?」
「都こんぶ。の箱は心臓のイメージ。中身は肉体のミネラルを意味していて、皐月の魂と肉体の定着に必要なバランスが取れてる…ホーリーアイテムなんだよ」今まで凄い面倒な調合が必要だったのに日本は凄いよ。
「偶然もあるが…10円ガムは?」
「ただス~のやる気を出す為だよ。」
確かにウ~さんは味は指定してないな…
「胸の糸はまだ見えるか?」
「最近はほとんど見えない。」
「なら、大丈夫。皐月は無事だ。」
それで、落ち着いた。
「皐月は何処にいるのですか?」
「胸の糸が完全に見えなくなったら総合病院に行な、皐月 めいは本名だ」
皐月に逢いたい気持ちが膨らむ。
今は糸が見える…だから見えなくなったら逢いに行こう。
今度は僕から告白しよう!
[皐月 めい]と恋人になるために。
桜舞い、空高く夏は近い。
初投稿。
設定無し
プロット無し
で、完結だけを目標に出来た。
ただ、自分の予想を大きく裏切る形で良い結果を頂きました。
最後まで読んで下さって有難うございます。
続編または、新作でお会い出来たら幸いです。
本当に有難うございました。




