ラブロマンスは世界を消す。
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四月六日 朝
高校の入学式を目前にして僕は死亡した…
まあ…お迎えが来るかどうかは解らないが
考える時間は有りそうだ。
二時間ほど前…
この後起きることなど微塵も感じずに、歯磨きと洗顔を済ませるとベーコンとトーストの焼ける匂いに誘われて食卓に足を運んだ。
座席に着くと挨拶をすませた…おはよう
座席から見えたのは、朝食を運ぶ姿の母さんと
カメラとムービーをセットしていた……姉二人だった。
折角の高校生活のスタート。
食事前に口に出してみた…
「髪切りたい。」
この一言と同時に大粒の涙と珈琲カップを落としたのは、美香子…母親だ。
「ミユキはミカちゃん虐めるの辞めろ!」面倒だから
朱里(あかり:長女)は本当に面倒くさそうに珈琲を流しこんだ。
「ミ・ユ・キじゃない!美雪!!」
「み~ちゃん?んなこと~ど~でも、い~から~スカート忘れてますよぅ~」
右手でヒラヒラとスカートを振るのは次女の日和だ。
「姉さん達は僕を弟って…」
『『みてない(ぜ)(わ)』』
こんなに可愛い容姿に高い声を持ってるのは弟じゃなくてミユキじゃないか!!と熱く語る長女がいた。
母さんが泣きながら移動したので、ひより姉のスカートは無視出来たのは僥幸だった。
ただ、仏間から鳴り響く鐘の音が恐かった。精神的にだ。
仏間を覗くと案の定
父さんの遺影に向かいハンカチ片手に語りかけている人物が垣間見えた…それは美香子…母親だった。
「美雪ちゃんが、悪い子…不良になって…意地悪するの…」
あぁまた髪切れないのかと思いつつも…ため息をつく。
「母さん…」
「ミカちゃん!」
「ミカちゃんに髪型セットして欲しいなって」
自分でも情けないと思うが…いつもなら機嫌がなおるはず…いつもなら、ね。
「なんで…髪…切る…の?今日の美雪ちゃんは我が儘だよ?ミカは何かした?」
そう、小首をかしげた。
普通の家庭なら年齢が上がるたびに老化するのだが…年数が上がるたびにミカちゃんの肌年齢は若返っていった。
昨日図ったら21才だったそうだ…恐ろしい。
「今日から高校生だし…髪型かえてイメージ変えたいからね。」
「なんだ…良かったよ~
ミカの持てる技術を使って全身コーデで盛り盛りするね」はーと
「盛りとかは遠慮しますから普通のセットして下さい」
「初日のインパクトは任せて。」
結果、ピンクのルージュに七色のエクステに、オレンジのチークを当てられて、ナチュラルメイクと言い切られた…
男子用のブレザーが少し違和感あるメークアップに潤っときたね…
そんな僕を置いてきぼりに女三人撮影を初めていた……