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黒き乙女の鬼語  作者: 紅河崎アリス
食人鬼
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会合

悪いと思って行われる犯罪はないのです。

〜永山則夫〜

殺人鬼、東雲凜は少なからず驚いていた。


自分のナイフが意図も簡単に刺さったからではない。


男達二人組があまりに人間らしかったからだ。


今まで何人も殺してきたようには到底見えない。


『誰だ?お前は…』


髭の男が虚ろな目で凜を睨む。


先程とは打って変わった感情のないまるで麻薬患者のような目だ。


凜は男の質問を無言で返し少女に向け歩いていく。


『立てるか?』


少女は齢十を越えるか越えないかという位の年齢に見える。


紫陽花色の薄紫の髪に同じ色の瞳、薄手の白いワンピースを着ている可愛げな少女だった。


恐怖で口が利けないのか少女はあぅあぅと口を震わせながら凜を見つめている。


凛は、そんな放心状態の少女を抱き起こしてやりそのまま連れていこうとした。


『誰だって聞いてるだろうが!』


だがしかし、男は自らの獲物を横取りされたと勘違いし激昂する。


しかし、凜は反応すらしない。


まるで、なにも聞こえなかったかのように。


それどころか少女をこの場から離そうと少しずつ歩いている。


一歩一歩少女に不安を与えないように微笑みかけながら。


『おい、俺達の餌を勝手に持ってかれちゃ困るんだよ。お前から先に死ぬか?』


『…黙れよ』


髭の男がそう呼び止めた瞬間少女を安全な場所へと避難させた凜から殺気が溢れだす。


その場を凍て尽くさんばかりの鋭い殺気が辺り一体に充満した。


『離れてな』


少女にそう言って頭を撫でてやった凜は立ち上がった。


感情を制御するのは最早不可能。


人の命を笑いながら餌と笑った相手を生かす意味がない。


殺して殺して殺し尽くす。


どこから、壊そうか。


そう、考えながら凛は男達に近寄りながら懐から薄手のメスのようなナイフと武骨な分厚いナイフを取り出した。


『は、人間風情が…鬼を殺そうだと?面白い!やってみろ!一葉、お前は下がって見ていろ』


そう言って髭の男が前に出る。


それに合わせて細い方の一葉と呼ばれた男は下がる。


髭の男の手にあるのはその見た目には似合わない長い長い槍。


それを見ても凛の表情は変わらない。


いや、少なからず驚いていたのだが表情を変えることは出来なかった。


それくらい怒りが、臨界点を越えていたのだ。


殺したい。


その欲望だけを武器に今まで人を殺してきた携愛するナイフを構える。


それを開戦と見たのか男は凛に向かい駆け出す。


『誰だか知らないが、安らかに死ね!』


『お前が死ねよ。』


そうして、ナイフと槍がぶつかり合い交差し火花をたてたのを合図に殺人鬼と食人鬼の殺しあいが…


始まった。


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