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黒き乙女の鬼語  作者: 紅河崎アリス
食人鬼
16/79

説明中

あとは、死刑執行までの時間をいかに短くするか。

(国が執行に)動かなければ裁判に訴える

〜金川真大〜

『…と言うわけで、粉雪ちゃんを預かってきました』


場所は変わりここは都心にあるとあるマンション。


五階建てで部屋数が多いと言うのにあまり人の気配がしない都心にしては珍しい落ち着いた場所であった。


ちなみに、雪さんの実家。


篠宮家の所有マンションでもある。


雪さんは本家とは離縁しているのだがそれでも行き掛けの駄賃とばかりに貰えたそうだ。


まったくブルジョアめ。


都内とはかけ離れたおんぼろアパートで毎日四苦八苦しているボクにその財力を少し分けてほしいくらいだ。


雪さんはこのマンションを一人で使っているわけではなく雪さん個人が気に入った人に貸しているらしい。


ここに来てまだ金を稼ぐ気かと思わないこともないが。


まあ、それは心のうちにしまっておこう。


『おやおや。それで君はボクに押し付けようと思って来たわけかい?』


雪さんは仕事用の回転椅子の上でクルクルと独楽のように廻っている。


もはや遊び用になっている椅子のギシギシとした音を聞きつつ甘い飲み物を飲むのは彼女の趣味であり娯楽であるらしい。


今日も廻りながらホットミルクを飲んでいる。


人の痛い所を突きながら。


『いや…ボクは独り暮らしですし急にこの年の子を預かるのはまずいでしょう』


『なにがまずいんだい?』


雪さんはニヤニヤと笑っている。


この様子だとボクをからかっているらしい。


頭が痛くなった。


煙草が恋しくなりそうだ。


ちなみに、このマンションでは煙草を吸ってはならない。


家主である雪さんが決めたことであり絶対のルールである。


なので、ボクの煙草もこのマンションのエントランスにて七花さん(このマンションのあらゆる雑用をこなしてくれるスーパー有能ヤンキーお姉さん)に預けてあるのだ。


煙草吸われてたらどうしよう…


あれ結構高いのに…


『いや、だからですね…』


『あー、わかったよ』


雪はわざとらしく指を鳴らし納得したと言ったような表情をした。


やれやれ…


ようやくわかって貰え…


『君が家に幼女がいるとところ構わず発情してしまうクズ野郎だからボクに預かってほしいと』


『違います』


わかってなかった。


いや、一瞬でも彼女を信じたボクがバカだった。


『違うのかい?じゃあ他に思い当たらないなぁ』


頬をやや膨らませつつ思案顔をする雪さん。

本当は分かっているくせに。


一々、嫌な人である。


『まっ、考え事はやめよう。時間と知能の無駄だしね。いいよ、粉雪君ならいくらでも泊めていくといい。七花くんにはボクが話しといてあげよう』


考えるのが面倒くさくなったのか雪さんは隣で難しい話に頭を抱えていた粉雪の頭を撫でてやりそう言った。


粉雪は撫でられたからか嬉しそうにしている。


なんだかんだ言って面倒見はいい人である。


『じゃあ、お願いしますね。ボクはこの後、粉雪ちゃんについて霊華さんの部下と話さなくてはならないので』


ちなみに、霊華さんの部下はマンションの下まで着いてきてくれたのだが七花さんが入れなかった。


雪さんが霊華嫌いだからである。


さすが、姉御肌だけあって雪のためなら何でもするお姉さんだった。


『…そうかい。じゃあ、凜くん。今日はその霊華くんの部下と話が終わったらこのマンションに泊まっていきたまえ』


雪さんはそう言ってまたホットミルクを飲んだ。


思えば、この辺から嫌な予感はしていたのだ。


ボクが後悔するまで後二時間半と言ったところの話である。

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