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魔導剣術学園物語  作者: 時塔トキヤ
1/12

プロローグ~始まりの予感~

どこにでも居そうな極々普通の少年ヨシュア・ウィークネス一人の少年の入学から世界は動き出す。


それでは本編をどうぞ!!

「ん? 入学許可証?」


いつも通り母さんからの買い物をすませて部屋に戻ると、僕の机には、見慣れない茶封筒が机のど真ん中にでかでかと置かれていた、当然買い物に行く前はこんな物は置いてなかった。


「母さん、何だよ、この封筒」


僕は、台所で夕食の仕度をしている母さんに聞こえるくらい大きな声で聞いた?


『あれ~あんた覚えてないの? あんた自分で学校の願書出してたじゃない』


トントンと食材を切る音と共に母さんの声が返ってきた。


が、いまいち思い出せないので再び母さんに聞き返した。


「学校の願書? そんなもん出してたっけ?」



再びの問いに母さんは、食材を切る手をとめて、さらに強いトーンで言い返した。


『ほら!! あの魔導剣術学園の願書よ!!』


その言葉を聞いてその全てを理解した。


「は-…?」


えええぇぇぇーーーーーーーーー!!!!





プロローグ~始まりの予感~




一通り絶叫した後、一大事を悟り、ドタドタと母さんの居る台所に駆け出した。


それもそのはず、魔導剣術学園といえば、名のある魔導師、剣士を数多く排出してきた名門中の名門、そんな学校の入学許可証が、今僕自身の手元にあるのだ。


「本当に!? 本当にあの学校から許可証が送られてきたの!!」



僕は早口ながら母さんに詰め寄った。


「こら!! 包丁扱ってるんだから近寄らないの!! 危ないでしょ」


母さんの注意など耳にも入らず更に詰め寄った。


「本当に!! あの学校からなんだよね!! 間違いないよね!?」


興奮が頂点に達し、見境なく吹き荒れる暴風のごとく暴れる僕だったがー…


「静かになさい!!!」


スパーン!!


母さんの空手チョップにより一撃で制され、黙らさられる結果となった。


「間違いないわよ、配達の人がヒドく興奮気味に渡してきたのよ。まあ、今のあんた程じゃ無いけどね」


母さんは、呆れたと言わんばかりにため息を出しながら言い聞かせた。


「入学式は来月の頭、持ち物は私服とローブに、その入学許可証と参考書数点、その他自分で必要と思う物も用意しておきなさい」


「うん!! わかった!! バッチリ用意するよ!!」


母さんの言葉に僕はガッツポーズを決めながら声を張り上げた。


「フフ、ローブは今度私と一緒に見に行きましょうね、せっかくあの魔導剣術学園に入学するんですもの、しっかりした物を買わないとね」


その僕の姿を見ながら、母さんは微笑みを浮かべて言ってくれた。


「わかった!! 後の参考書とかは僕が用意する!!」


「はいはい」


母さんは、笑みを絶やさずにあいづちを打ってくれた。


(来月か~くぅ~待ちきれないなぁ~なんたってあの魔導剣術学園だもんな!! ワクワクしてきた)


そんな事を考えながら僕は封筒の中の入学許可証を取り出して眺めていた。


「ヨシュア!! ヨシュア起きなさい!! 朝ですよ」


母さんの声がかすかに聞こえる……布団の上に許可証が転がっているところを見ると、昨夜の夕食後ベッド中で許可証を眺めてるうちに寝てしまったようだ。


「さあ、起きなさい。今日はローブを見に行くんでしょ?」


バッ!!


「わかった!! 今行くよ!!」


それを聞いた僕は、ベッドから飛び起き、寝間着から白いシャツに黒いズボンに着替え、階段を駆け下りた。


「まったく……朝に弱いあんたがこんなにあっさり起きるなんて……入学式に吹雪でも降らなきゃいいけど」


母さんが呆れ顔の溜め息混じりに微笑みながら僕に言った。


実際ローブは、剣士、魔導師双方の学生が一種の制服として着用する物であり、母さんの提案で、しっかりしたローブを購入する事に昨夜の夕食の時に決まった。


「ねえ、早く行こう!!」


僕は大手を降って家の扉を開け放った。


「はいはい」


それを見ていた母さんは呆れ顔のまま僕の後ろを歩いていた。


今日は、いつもの村ではなく、

少し離れたとなり町に行くことになっていた。


「どんなのが売ってるかな~なんかすごくたのしみだ」


僕は、ワクワクしながら呆れ顔の母さんと一緒にとなり町に向けて歩きだした。


****


『この少年は一体何者だろうか……』


ここは魔導剣術学園の校長室兼幹部会議室、ここでは今ある一人の少年について討論されていた。


『この願書がこのような反応を示すなどいままで類を見ない』


学園の最高権力者である学園長が願書を見ながらゆっくりした口調で語りだした。


『………』


それを学園の幹部達は黙ったまま耳を傾けていた。



『皆も知っての通り、この願書は私の魔法により創られた特殊な願書だ、魔導師に適性が有るのなら赤く文字が変化し、剣士に適性が有るのなら青く文字が変化する、しかしこの色は……』


学園長は、幹部の者達全員に見えるように映像魔法として願書を巨大化させた。


その色はー…


『紫……』


その映像を見た幹部達は、ざわめきだした。


『紫? 馬鹿な、剣と魔法の双方に適正があるというのか?』


『だが、これも大賢者と名高い学園長の魔法の一、もしかしたら……』


『いかに学園長と言えど完璧ではあるまい、何かの間違いではー…』



幹部達は口々に討論を続けていたがー…


『いずれにせよ、この少年が我が校に来ればはっきりする。それまでしばしまとう……』


『………』


学園長のその言葉に今まで討論していた幹部達も静寂を取り戻した。


『では、解散としよう、入学式を間近に控えたこの忙しい時期に申し訳ない』


学園長が解散を告げると幹部達は、一斉に退室しようとした

その時-…


『……腹が減ったな、皆でカツ丼でも食べにいかないか?』


ドテッ!!


学園長の突拍子の無い提供に幹部達は、皆その場にこけてしまった。


『サァ行こう!! 最後に店に入った奴のおごりでな!!』


ダッ!!


それを聞いた幹部達は、入学式前の多忙期にそんな物に巻き込まれまいと我先に脱兎如く校長室を後にしようとした


が-…


ビュウォン!!


遅かった……皆、学園長の放った魔力の網に捕らわた。


『サァ、みんなでカツ丼屋に向けて出発だ!!』


幹部達は皆、学園長にズルズルと引きずられ、そのままカツ丼屋に強制連行された。


『ワァ-ーハッハッハァ-ー!!』


後には、ドップラー効果で徐々に遠のいて行く学園長の声だけが、校長室に残った。


(ヨシュア・ウィークネス ……君の入学を心待ちにしているよ)


『ま、今はカツ丼が最優先だけどね~』



学園長の足取りは軽く、数名の大人を引きずって居るにもかかわらず、飛び跳ねながらカツ丼屋に向かっていた。


****


『ヨシュア様~ヨシュア・ウィークネス様~』


僕の名前が呼ばれた、どうやら母さんと二人で選んだローブの寸法直しが出来たようだ。


「はい!!」


僕は、色々なローブを見ていた手を止めて、店員さんの方へ向けて店内を移動した。


『お待たせしました、こちらが先ほどのローブでございます、袖をお通し下さい』


言われるがまま僕はローブに袖を通した、先ほどまでやや大きかったローブは、僕の体にふわりとなじんだ。


「まあ!? いいじゃないヨシュア。この大きさでピッタリじゃない」



「そうだね、僕も気に入ったし、このローブでお願いします」


そう告げると店員さんは『かしこまりました』と一言頭を下げ、僕のローブを脱がせて店のカウンターに持って行き、綺麗にたたんで包装してくれた。


『お待たせしました。どうぞお持ちください』


「ありがとうございます」


それを受け取った僕と母さんは、軽く頭を下げてその店を後にした。


「良い物を買えたわね」


「うん」


母さんの声に僕は素直に頷いた。


母さんが買ってくれたのは普通の魔導師が身に付けるような素肌にそのまま着るタイプのローブではなく、魔導師課程でも剣士課程でも対応出来るように服の上から羽織るマント型のローブを購入した。



「さあ、帰りましょう。まだまだ準備しなきゃいけない物は沢山残ってるのだからね」


「わかってるよ、母さん」


僕は、足取りも軽く家に向かって歩き出した。


まだ見ぬ学園生活に思いを馳せながら、不安は幾つもあるけど、すごくたのしみだ。




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