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風にのって… 2

 「今はまだ、風に乗ってるからいいけど…」

 はふぅと息を吐き、そしておもむろに体が強張る。

 そうだよ、もしこの風の流れから外れてしまったら、…たら!

 ぎゅっと自分の体を抱きしめ、今しがたの想像を頭を振り追いやる。

 

 風にあおられ、あっという間に数百メートル上空に達したあとは、まるで何かの背に乗っているかのように体が安定し、肌寒いことを除けば、なかなか得がたい経験に、段々と落ち着きを取り戻していたんだけど。

 よくよく考えれば状況はまったく好転していないわけで。

「ああ、いやいや! 弱気になっちゃだめだ、なんとか助かる方法を考えよう…!」

 恐怖に囚われそうになる心を叱咤激励しつつ、何か掴まるものがないか、高いビルはないか~と、目を皿のようにして探す。


 ふと


 数100メートル先に、ぽつんと黒い影が見える。

 目を凝らして見ると、それはどうも人の姿をしていて

 「え、嘘、人? …え」

 こんな高い空の上。そこに立っている、人 …それって

 「う、わ あ、足! 足あるのっ!?」

 自分が置かれている状況も忘れ、別の恐怖が心を染める

 勘弁して欲しい、幽霊の類はまったく耐性がない!


 1人どうしようかと混乱していると、向こうもこちらの存在に気がついたらしく、危なげない足取りで私に向かって走ってくる。

 そう、走っているのだ。

 腰が抜けて立てない私は逃げることもできず、段々と近づいてくる相手の顔を見て驚いた。

 もう、恐怖なんて吹っ飛ぶほどに。

 「か、かっこいぃ…」

 さすがいくつになっても乙女。幽霊だろうとなんだろうと、イイ男には弱い

 ちょっと赤みがかかった茶色い髪を元気に跳ねさせながらこちらに駆けてきた男性は、私と同じくらいの年齢かな…

 意志が強そうな瞳を、今は驚きで一杯に染めて

 あと数メートルで私のところまでたどり着く、というところで

 急に私の体が持ち上げられた


 「え、ええぇっ!?」


 かと思ったら、今度は体が落下。

 いきなりの事態にすっかり私はパニック状態!

 戸惑った表情をしたものの、彼は咄嗟に私を受け止める体勢をとってくれたんだけど

 あまりにも一瞬の出来事過ぎて、彼の準備が整わないうちに、彼の胸にごすーん! と落下!

 うわ! 彼の胸にすごい大アザができていそう!

 あわてて身を起こした…ら

 こちらを覗き込もうと思っていたらしい彼と、おでこがごつんとぶつかり

 ついでに端正な彼の唇にも、ふにゃっと私の唇が激突してしまった


 うにゃああぁああ!???!


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