Episode. 1『愛×と結愛』
私は急いでルーズリーフとペンを持ち
日頃から愛用しているドレッサー兼勉強机に腰をおろした
毎日使っているはずなのに何故だか
慣れない不思議な感覚にソワソワしてしまう
(前世の記憶を思い出したから、かな)
まず、まとめてみよう
私こと華之結愛は現在小学校2年生
5つ上の兄…長男がいるにも関わらずロサグループの次期代表
(そして、確か…兄とは異母兄妹)
思いつく限りのことをスラスラと書いてく
兄の母が父と離婚した理由は知らないが、海外出張先で出会い一目惚れしたの女が私の母であり、結婚し私が生まれたそうだ
前世の人生は24歳でおわった
思い出したくもない過去の記憶がなぜ突然蘇ったのか
私はまとめた今世と前世の内容を見比べてみも答えは出なかった
(宗教的な話になってしまうが、生まれ変わっても記憶はちゃんと心に残っており何か強い刺激が起きたからこそ思い出したのかーー)
結愛「今さらなんで思い出しちゃうのよ…本当に」
最後まで愛にもがいた愚かな過去の自分
可哀想だなんて思わないし幸せな事もちゃんとあった
何より彼の事を思い出せたのは幸いかもしれない
一旦、私は考えることを辞めルーズリーフを
鍵付きの引き出しにそーっとしまう
気にしたところで過去は過去なのだ
だからこそ私は同じ失敗はしたくない
その為にはできる限り最善を尽くさなければ
(それに、今の家庭環境もあまり変わらない気がするし…)
今回こそ愛なんていらない
求めない 知らなくてもいい
私は強い女になるのだ、自分を偽ってても
結愛「そうよ…はぁ、それにしても皮肉ったらあらゃしない
”前は【愛】が先にきて
ーー今は【愛】が後に来てる」
(愛×と結愛、ね)
変な繋がりに妙な気持ちを感じながら
じーっと目の前の鏡にうつる自分の姿を見てみる
私は純日本人ではない
ハーフらしく髪の色はまるでコーラの色だ
パッと見ダークブラウンだが照明の明るい部屋や外の光にあたるとまるで飲みかけのコーラのようなブラウンとは違う
明るめの茶色になるのだ
毛が細い為ふわふわしている
ただし、Theウェーブやパーマ程ではない
瞳の色は蜂蜜を溶かして濃密に固めたような色だ
どちらかと言えば日本顔寄りだが
鼻筋が通っており顔全体が掘り深いところはハーフっぽい
あまりにも突然に記憶が経験した時間だけ戻ってきた為に
私は落ち着いてはいるが少し目眩がする
記憶を思い出す前は1週間程ずっと高熱で寝込んでいた事も原因かもしれないが今は目の前のことだけ考えたい
(いや、考えよう。縁があるのならばきっとーー)
” 「考えざるを得ないから」 ”
〜〜〜〜
そろそろ、ベットに戻ろうと思ったその時
廊下の方から《バタバタ》と複数人の足音が聞こえる
この屋敷は本邸な為いわゆる豪邸で広いので廊下などで走ると距離的に響く範囲はある
私の部屋の位置やベットがドアから近いためすぐ気づいてしまう
私は急ぎベットに潜り毛布をかぶった直後
「結愛ー!!」と叫んで入ってきた人達
「結愛!意識が戻ったのかっ」
「あぁ、私の結愛…ママの事が分かる?」
「結愛…っ」
今の私は結愛だ、そう、いつもの自分を思い出してーー
結愛「みんなどうしたの、おはよ」
となんて事ない普段の笑みを浮かべる
結愛「パパ、ママ…優」
そこには、今世生きた中で見たことのない家族の表情だった
ガタイが良く高身長の為、圧を感じるはずなのだが父はただ存在感が凄いだけで人柄自体そのような事はなかった
勿論、周りからの評価もそう
そんな父はくせっ毛の紫かかった黒い髪に
同様の色をした瞳はタレ目で難しい表情をしているが声色がとても優しい私の父
ロサグループの現代表であり華之家の当主ーー
華之信哉
よほど心配をして食事も喉を通らなかったであろう
母かなり女ということにこだわっており
美容もに関しても厳しい、だがその容姿は子を持った今も衰えることなく人気はあるままの美しい綺麗な人だ
記憶を取り戻す前に見た姿よりやせ細ったが綺麗なストレートのヘーゼルブラウン色の髪と白い肌
タレ目の細めの瞳から涙を流している
私の母ーー華之ヨゼア
両親2人揃って何故か前世の2人に似ているのだ
見た目は少し違えと”雰囲気や性格”は
そっくりと言っても良い程に
(あぁ、神様のいじわる
ーー そして)
とても心配そうな目線で私を見つめる
父に似た紫かかった少しふわふわしたくせっ毛の黒髪に
優しげなダークブラウンの瞳をもつ儚い美少年ーー
華之優
私が ”未だに” 兄と呼べない
初めて今世で素敵だと感じた
義理の兄も隣にいたーー
ご拝読頂きありがとうございます
ようやく、他のキャラ
そして重要な立場にもなってきそうなお兄様?が登場しました
今後、結愛ちゃんがどう動いて行くのか楽しみにしていただけると幸いです!
そして、話が進むにつれ恋愛・逆ハーレム要素やほのぼの回を増やしていく予定です。