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トレジャー奮闘記  作者: 藤 時鳥
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獅子と問題とその格好


  === さあ、答えよ ===


リ「うー、分かんない。

  えっと、朝は4本、昼は2本、夜は3本 ・・・だっけ?え~、何かなぁ」


  獅子のレリーフが出した質問に対して頭を抱えモンモンと悩む。


ル「形があるものなの?無いものなの?

  そもそも生き物なの?あ~、何なの~・・・」


エ「コレ、どっかで・・・なぁ~」


  頭をガシガシとかきながら記憶の奥を探る。

 ふと横を見ると電撃を浴びてノビている物体と地面に寝転んで

 ゴロゴロしている人物が目に入った。

 はたから見ればこの上なく滑稽で、それとなく楽しそうだ。


ル「ちょっと何してるの」


ユ「んー・・・・・・考え事をする時はこーやってる方が色々と思いつくんだよ」


リ「本当?!私もやってみようかな~」


エ「地面にコロコロした物見ると、何か踏み潰したくなるよなぁ」


  ニヤリと笑い出すエル。

 どことなく黒さを感じるのは気のせいだろうか。


ル「よし、ならば私がっ」


  言うや否や楽しげに足を上げると、

 なんの迷いもなくユウェンを狙って勢い良く地面を突いた!


ユ「んにゃーっ!!!!」


  危機を察して迫り来る攻撃を紙一重で交わし、地面に片手を付いて息を整える。

 嫌な汗を流して元いた場所を見るとわずかだが地面に石が飛び散っているように

 見えた。


エ「おっしーなぁ~」


ユ「お、恐ろしい子。危なかったー」


ル「ちぇっ、避けたか」


リ「ネコ並の反射力だったね~。

  あ、ルナ、まだキリっていうチャンスがあるよ☆」


  地面に屈し、こんがり焼けから回復しかかっている人物を見ながらニヤリと笑う。

 その様子を見ていたユウェンが慌ててキリュウの方へ視線を移す。


ユ「きっキリ!早く起きないと強烈な攻撃を喰らうぞ!

  早く立てっ・・・立つんだジョーッ!!」


エ「人 変わってんじゃん」


  思わずツッコミを入れるエル。

 熱い声援(?)を受けたキリュウが何やらモゾモゾと動き出し、

 負傷した体を必死になって起こし始めた。


キ「ぐぬぬーっ!こんな痛み、どおって事ないやいっ!!」


ル「じゃぁ四つん這いになってないでちゃんと立ってみ?

  ホレホレどうした~?仁王立ちしてミルク飲んでみてよ」


リ「ミルクはエルの必需品だから取っちゃ可哀想だよ」


エ「何でミルクが私の必需品なんだよ。まぁ、好きだけどさ。

  おらおらキリュウ!さっさと立 ――― ・・・」


  ハッとして言葉を殺す。

 その様子が気になったのか、リフィーユがエルの肩を掴み容赦なく揺さぶり始めた。


リ「どうしたのエル!ねぇっ、ちょっと生きてる?!

  こんな所で死なれても棺桶無いんだから引きずって歩けないよ?

  ピラニーの餌にしちゃうよ?それでもイイかなー?!」


  高速ガクガクを繰り出しエルの回復を待つリフィーユ。

 エルの首やら腕やら胴体やらが面白いようにビッタンビッタンしている様子は

 水揚げされた魚のようだ。

 下手すると骨が危ないくらいである。


エ「ぐっ、ごっ、ばっ・・・い、イイ訳あるかぁっ!!

  それにコッチの(揺さぶりの)方が危険じゃぁッ!!」


ユ「おぉ、あの揺さぶりで生きているとは」


キ「流石っ!まさにバケモ~ンですねー・・・」


エ「シバくぞテメーら!! 」


ル「で、どうしたの?」


エ「分かったんだよ!・・・ってか、思い出したってゆーか。

  まっ、どっちでもイイや」


  ギッと獅子のレリーフを睨み付け、指を指す。


エ「オイ、初めに言っとくぞ。私達は5人で1つのチームだからな。

  答えられたら全員通してもらうぜ」


  === 答えよ・・・答えられるのは1度のみ ===


エ「答えは、〝 私達 〟だ」


 (( はぁっ?! ))


   ――― ガッ!!!!


ユ「ちょっ・・・エル、ほんっと~にそうなのか?

  何か獅子が無言なんですけど?!」


ル「間違ったら排除だかんね?!

  にゃぁと私達の運命がかかってんのよ?ホントにホントに大丈夫?」


  二人は青ざめた引きつりの表情でエルに掴みかかる。


エ「大丈夫だっての!!この答え、私達であってんの!

  私達〝人間〟なんだよ!!」


キ「えっ・・・それってどう言う ――― 」


 === 正解だ、招かれざる者達よ・・・・・・ 通るがよい ===


  ズズズッ・・・・・・ ――― ガァンッ


  扉が開き、中から緊迫した空気が流れ込んで来る。

 呆然と立ち尽くす4人にスタスタと歩き出すエル。

 彼女は門をくぐり、開かれた扉付近でなかなか来ない連中に気づくと

 大きく手を振って声を発する。


エ「おい、行くぞ~。どーしたよー?」


リ「あっ・・・あのさ、さっきの答え、よく分かんないんだけど。

  何で人間なの?」


エ「問題は朝は4本、昼は2本、夜は3本だったろ?

  あれは人間の生い立ち・・・つーか、状態を表してんだよ」


キ「あぁ、ナルホド!朝って赤ちゃんの時を言ってるんですね?

  昼は今の状態で、夜ってのが老いて杖とかにもたれている状態なんだ。

  杖とか使ってないご老体もいるけど、それは明後日の方向へ投げときますか」


ル「な~るほどね。ハイハイしてるから朝は4本かぁ・・・ってか分かりにくい!」


ユ「よし、エル良くやった!

  これでにゃぁを助ける蒼光草を見つけに行く事が出来るぞっ!」


エ「誰かさん2人はかな~り疑っていたみたいだったがなぁ~。

  ・・・この答えはたまたま知ってただけだよ。思い出せて良かったぜ。

  キリュウとユウェンの体勢見たらアハ体験出来た♪」


リ「何はともあれ、こうして中に入れて良かったね☆

  じゃぁ、蒼光草を探しに行きますか」


 (( おうよ!!))


  気合を入れて門をくぐって行く5人。

 光を失った獅子のレリーフを背に、ただひたすら都市内部へと駆けて行く。


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