いざ、海底都市へ
聖域の主・クロキの病を治すべく守護神 シロカの力を借りて
海底都市へ向かう事となった5人。
崖から飛び込み、沖より数キロ離れた所で海底へ沈んでいく。
キ「スゴッ!!息が全然苦しく無いぞ!今ならサメとでも格闘出来る気がする」
リ「よし、じゃぁまず正面から行ってみようか。避けるの無しだからね」
ユ「リフ、そんなの序の口だよ。咄嗟にアゴに一発喰らわせれば
攻略出来ると思うよ♪」
ル「ほぉ~、じゃぁ早速やってみせてよ。ほらほら、サメは呼んであげるから。
早く早く」
急き立てるルナディに恐れる男2人。
『出来るもんならやってみやがれ』的な眼の輝きに冷や汗を流し、
ルナディから眼を反らして深々と頭を下げた。
ユ「スイマセン、俺が悪うござんした・・・」
キ「調子こきました、勘弁して下さい!」
ル「え~、やらないの~?」
リ「遠慮してる?遠慮なんかいらないよ、おびき出す餌はエルだからさ☆」
隣にいたエルの肩に手を置き親指を立てるリフィーユ。
エ「ワシかいっ!!生贄にするつもりかッ」
ル「イケニエじゃない、エサだって」
リ「そぅそぅ、こうギュゥッ・・・と絞めてね」
エ「なお悪いわ!タチ悪いわ!」
キ「鬼だなぁ」
本気でツッコミを入れるエルに対して同情の眼差しを向けるキリュウ。
ユ「でもエルなら喰われても大丈夫そうだね。しぶとそうだし・・・・・・
逆にサメ倒すかも」
エ「どんだけメチャクチャな人類だよ」
リ「あれ? もしかして・・・・・・皆っ、ちょっと」
何かに気づき声を上げる。
悪ふざけを止め一斉にある一点に注目した。
視線の先に見えたのは何やら大きい遺跡のような建物で、
その周りには木や鉄、船などの残骸が物静かに沈んでいる。
ル「おっ、おっ、あれがそうなのかな?」
キ「いかにも都市って感じだなー。結構でかっ!!」
ユ「あそこににゃぁを助ける蒼光草が・・・・・・。
よし、あの都市は俺が制覇する!そして必ずにゃぁを・・・っ」
エ「じゃぁ早速近付いてみようぜ」
泳ぐスピードを上げて海底に佇む都市へと近付いて行く。
建物の周辺は何やら不気味でいかにも化け物が這い出てきそうな
雰囲気を醸し出している。一同が建物の周辺を警戒しつつ入れそうな
場所を探していくと外壁に扉が付いている場所を発見した。
ゆっくりと近づき荒れ果てた土壌の足場エリアへと踏み込む。
――― 海底都市・正門 ―――
エ「着いたーっ!結構すげぇ外壁だな~♪」
キ「この都市、何か特殊なシールドで護られているみたいッスね。
ちょうどこの足場から・・・・・・こっちに入ると動きが地上と同じになるよ」
ユ「こっち側には酸素があるんだ。だから浮力がなくなって
動きが活発になるんだね。白いにゃぁのお陰で海を難なく
越えられたから感覚がちょっと分かんなかった」
それぞれ歩きだし門へと進んで行く。
そびえ立つ門は青く、門の上部には獅子のレリーフが装飾されている。
なかなか見事な作りで少々圧倒される感じもするが、
マジマジ見るとだんだん可愛く見えてくる。
エ「へぇ~、なかなかイイ感じのレリーフじゃんっ」
ル「エルってば落書きしたくてウズウズしてるでしょ?
顔がハンパなく二ヤけてるぞ~」
エ「えっ?そんな事なくってよっ」
リ「もし書くとしたら・・・どうしたいの?」
エ「まずは眉毛だね!そんでもって頬に毛が生えたホクロ(大きめ)を書いて、
額にはアレだよな」
ル「何がいいの?」
エ「肉か犬。正統派っしょ~?」
キ「獅子なのに犬なのかっ!落書きしたい願望丸出しじゃないッスか」
レリーフを見ながら落書き案をツラツラ話し出すエル。
今この場所に太めのマジックがあったら獅子の顔が
とてつもなく無残で笑える顔に仕上がっていた事だろう。
ユ「でー・・・・・・と、どうやって開けるんだろ」
キ「えー、殴る?」
リ「よし、行くんだっ」
キ「っす! うおおォッ!!」
勢い任せに握り拳を作り門の奥にある扉へと向かって行く。
――― 刹那
バチバチバチッ!!!
キ「ぎょぎゃああぁっ!!!!」
リ「ちょっ、キリッ!」
電撃を浴びてその場に撃沈する。何とも見事な焦げっぷりだ。
エ「こっ・・・こんがりになっちった。上手に焼けました~てか (´Д`;)」
ル「このレベルは、もっと上手に~って感じだよ」
恐る恐る焦げノビている人物を覗き込みながら呟く2人。
ピクピク痙攣しながら白眼を向く様は何とも哀れでならない。
ルナディは落ちていた木の棒でつつき出しキリュウの意識回復を試みた。
=== 招かれざる者達よ ===
((!?))
突如響く声に警戒し咄嗟に戦闘態勢をとる。
慌てて周囲を見回すが特に何かが動く気配もないし現れた形跡もない。
互いに顔を見合せ不思議に思う一同。
ユ「・・・・・・今のは・・・?」
エ「声、したよな?どっからだ?」
リ「あ、あれ見て。獅子のレリーフが青く光ってる」
リフィーユの言葉にハッとしてすかさず獅子の方に視線を向けた。
するとそこには、先程まで見られなかった青い光がぼんやりと
獅子を包んでいた。様子を伺っていると再度声が響く。
どうやらこの声は、この獅子のレリーフから出ているようだ。
=== 朝は4本、昼は2本、夜は3本 これは何か?
解けし者、此処を通すべし。
解けざる者、この領域より排除するべし ===
何の前触れもなくいきなり問題を出されてポカンとする一同。
同じ質問が二度繰り返されてようやく今の状況が分かり始めてきたようだ。
ル「なっ、何だ何だ?コレってクイズなの?
解けなきゃ排除って・・・・・・ヤバくない?」
ユ「排除かぁ・・・にゃぁの為にもこんな都市の最先端で
ゲームオーバーになるワケにはいかんよね。
それにしても・・・・・・何なんだ、この問題」
両腕を組み問題の内容を考えてはため息をつくユウェン。
色々な分析を試みているその隣で何やらクスクス笑う声が
耳に飛び込んできた。
エ「いっ、いやぁ~良かったなぁー・・・あの獅子に落書きしなくて。
してたら今頃爆笑でまともに顔見れんかったもん。
まさかこんな仕掛けがあったとは驚きだぜ」
ユ「たっ、確かになぁ。こんなにも緊迫した状況なのに
もし落書きなんてあったらコメディもいいところだ。
違う意味で怖くなっていたな、絶対」
考えるのを一時中断して獅子のレリーフを見る。
さっきのエルの落書き案を思い出し、自分だったらこうするという考えが
頭の中を支配して不本意にも笑い出していた。
リ「落書きなんてしてたら問題どころか、もしかしたら獅子の怒りを買って
問答無用で排除されてたかもしれないね・・・・・・危ない危ない」
ル「でもさ、どぅする~?全然分かんないんだけど。
なんかこうヒントとか無いワケ?」
突然の事で扉の前に立ち尽くす。
獅子が様子を伺う中、いきなり投げ掛けられた問いに
笑いをこらえながらも困惑する一同であった。