本当にあったかもしれない話
―それは私が小学生の頃に祖父の家で体験した話である―
小学4年の夏休み、よく私は祖父の家に泊まりに来ていた。
祖父の家は私の家からとても離れた片田舎で山々に囲まれ、田んぼが沢山あった。
私は祖父が連れて行ってくれる虫取りが大好きだった。
虫取りは私が祖父の家に泊まりに来た時の恒例行事だ。もちろん小学4年になった今年も楽しみにしていた。
ただいつもと違う事が一つ、いつもは祖父が一人で蜜を塗ったり、罠を仕掛けたり、私がしっかり楽しめるようにするための下準備を行ってくれていたのだが、今回は私もついていくことになった。
案外山を歩き回るのは体力がいるもので早々弱音を吐く私。
「もう疲れたけん帰ってよか?」
もう小学4年じゃろ?我慢せえ!いっぱい虫取れるけん
嫌々ではあるがあらかた仕掛けが終わった時、ゴミ拾いのボランティアの集団とばったり遭遇した。その人たちは祖父の知り合いだったらしく、少し手伝うことになった。
手伝ってくれてありがとな!坊主
「爺ちゃんがやれ言うきに嫌々じゃ!」
ハッハッハ!!そうかそうか!!
気のいいおじさんが思い出したかのように話し出す。
そうや坊主、もやもやさんって知りよるか?
「知らん。」
なら聞け、悪いものや無いんやが顔がちょっとばっかし怖いけん泣いたらあかんで。
「よう分からんが泣いたりせんわ!」
その時意味はよく理解していなかったが、子供扱いされている事が少し腹立たしかったのを覚えている。
大丈夫、大丈夫もやもやさんが来たら爺ちゃんの後ろに隠れてればよか。あんまり見るなや。
「よく分からんけど分かった。」
……ガサッ……スルッ
初めて聴いた音が違くから聞こえた。
爺ちゃんの後ろ隠れとき!!
爺ちゃんの焦りを感じ取り急いで後ろに隠れる。
ごみ…ごみ…もってかえっていい??
一瞬戸惑った。耳からでは無く頭に直接喋られているような体験したことの無い感覚。
ごみ…ごみ…もってかえっていい??
よかですよ!今日は熱いですね!
おじさんが答える
そっか…そっか…
おじさんが誰と話しているのか気になり、祖父の後ろからそっと覗き見る。
「ひっ!!」
声にならない声が出た。3メートルほどのヘビのような形のもやもやがおじさんの前にいた。
「お爺ちゃん!!何あれ!何あれ!」
もやもやさんや。大丈夫今までなんかしたことはない。守り神みたいなもんや。
「そうなんだ…」
害がないと聞いて少し安心したのも束の間
あした…あした…とりにいくね
そう言い残して「もやもやさん」はどこかに消えた。
坊主も怖か思いしたでしょう。もうそろそろお開きですんで、帰ってください。お手伝い助かりました。
ではお先に
「バイバイ!」
私は何故かもやもやさんの事が頭から離れないでいた。何か何かが喉元を過ぎずにいた。
「勘違いならいいけどさ。もやもやさんが言うゴミって人間のことじゃないよね。」
爺ちゃんに尋ねた。
「…」
その翌日おじさんが行方不明になった。
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