表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あと3回、夢で逢えたその先の世界で  作者: 鈴虹色
第一章 
3/22

第3話 瑠璃色の世界

【私】と【彼】が最初に生まれた世界のお話です。

 



 深い瑠璃色の宇宙(そら)に瞬く、ダイアモンドの光を放つ無数の星たち。

 銀色に光る柔らかな星雲の上で幼いふたりの子どもが、無邪気にはしゃぎ回っている。

 足下に咲き誇る紫色の花が歌う祝福の旋律が、虹色の風に乗って無限の宇宙へと広がってゆく。

 その煌びやかな音楽に合わせるように、エメラルドグリーンのオーロラがゆらゆらと美しく波を打つ光景。

 瞳に映るすべてがキラキラと輝く、あらゆる奇蹟の瞬間だけを集めた場所。

 

 永遠と一瞬、愛と喜びに溢れた世界。

 無限に廻り続けてゆく、美しい光の空間。




_______________




 私たちはこの宇宙にひとつの星として誕生した、ふたりでひとつの存在。

 この宇宙に誕生してからは、光り輝くこのお気に入りの星雲で過ごしていた。

 ここで暮らす私たちは、無限に広がる宇宙の仕組みを知っていたし、理解していた。

 何の制限もなく、望むものすべてが瞬時に叶う世界。

 別の場所へ行きたいと願えば、どんなに遠い場所でも瞬時にそこへ存在することが出来た。

 



 この世界に住む私たちは、【遊ぶ】ことが大好きだった。

 膨大な記憶の中で、私たちは遊ぶこと以外をしたことがない。楽しむことが存在するという概念だったからだ。すべてを楽しむこと。それだけだった。したいことをする、魂が喜ぶことをして過ごす。その意味を生まれた時から知っていた。この宇宙に生まれたすべての存在が、()()を知っていた。




 私たちは毎日遊んで過ごした。最高に楽しい世界が広がっていた。

 四方八方へと予測不能の動きをする滑り台。ピカピカと青白く発光するその滑り台は、とにかくスリル満点な乗り物だった。滑り台の角度や長さもその日の気まぐれで、急降下や急上昇をしたりする。滑り台が突然消えて、そのまま勢いよく宇宙に放り出されたこともあったりした。とてもスリリングで楽しい遊びだったけれど、この滑り台で星と星を行き来するのはあまり向いていないことを私たちは早々に理解したのだった。



 天井から垂れ下がる黄金色の鎖と光る(つた)を編んで作られたブランコ。

 その輝くブランコを漕ぐたびに、私たちの目の前に広がる景色が瞬く間に変わってゆく。

 無限に広がる宇宙や惑星、別次元の世界、無数の生命が私たちの目に映っては一瞬で消えてゆく。かつて見たことがあるような、もしかしたらこれから見るであろう景色が、私たちの魂に記憶される寸前の速さで移り変わってゆく。不思議な懐かしさと未知への期待が走馬灯のように私たちの心と身体を駆け抜けていくのを感じる。その中には生命の源を体現したかのような美しい青と緑の惑星も存在していたに違いない。



 目には見えない透明なエレベーターに乗り込み、私たちの足下に広がる美しい宇宙をスケッチをする。

 360度どこを見ても沢山の星たち(仲間)が自らを光り輝かせている。眩しすぎるほどの光を放つ彼らを誇りに感じながら、その一瞬の輝きを私たちの記憶に描き残す。星たち(仲間)に触れれば、この上ないあたたかさが小さな光となってこの指に伝わってくる。指先に分け与えられた彼らの優しい光が、私の身体にゆっくりと時間をかけて浸透してゆく。私が光を受け入れ、身に纏いながらただ光り輝く存在であることを堪能する。私たちが光の存在であることを魂に刻むことの出来る、愛だけの世界にいることを私は知る。



 天井に舞う光の結晶を手繰り寄せ、虹色の花とともに編んでは私たちを見守る星たちに花の首飾りをプレゼントする。星たちへと続く光の梯子(はしご)を登り、瞬く星に腰かけながら私たちは愛の歌を歌う。私たちが歌うと、彼らはとても喜んでくれて、お礼の拍手の代わりに、虹色の光のシャワーを降り注いでくれた。とても嬉しかった。色とりどりの光がとても美しかった。虹色の光を浴びて、私たちは更に輝きを増してゆく。

 愛から生まれる祝福の歌、光と喜びの振動が宇宙全体に響き渡る時、新しい星たちが小さな光を携えてこの世界に誕生する美しい法則。



 私たちはわざわざ宇宙船を手造りをして、宇宙旅行を楽しんだりもした。

 宇宙船の窓から見える星たちや惑星、銀河がそれぞれ色鮮やかに光り輝きながら存在していた。

 宇宙船を作った甲斐があったと思うほどに、その窓から見える私たちの存在する宇宙は神秘的で美しかった。

 滞在先の他の惑星では、素敵な友達が出来た。彼らは私たちとは外見は違うけれど、それもすべてとても愛らしい存在だ。彼らも私たちを無条件で受け入れてくれる。私たちに境界線は存在しない。ただ、受け入れる。私たちはすべてと()で通じ合っている。

 私たちは友達ともよく歌を歌った。すべての存在はきっと歌が大好きなんだろうと私は思っている。私たちの思いが美しい旋律となって広がっていくことが、堪らなく好きだった。歌は時空を超えて私たちを繋いでくれる存在であり、その愛のメロディーは永遠に私たちの魂に刻み込まれる。

 


 この宇宙には身体を持たない生命が多く存在するけれど、私たちには外見についてどうこう言う概念が存在しない。もちろん身体を持っていても、どんな存在もすべてがかけがえなく愛おしく尊いということだ。

 周りにいる光の存在たちとは、テレパシーで会話をする。彼らはかなり進化している存在であり、いつも私たちを導いてくれた。すべてを知っているはずの私たちも知らないあらゆる世界のことを彼らは丁寧に分かりやすく、魂が理解するまで教えてくれる叡智(えいち)の存在。


 

 私たちはこの世界でただ遊んで暮らす。

 この宇宙に現代で言う仕事があるのなら、私たちの仕事は紛れもなく遊ぶことだ。やがて遊び疲れたら、愛と光を編み込んだふかふかの毛布に包まれて深い眠りにつく。



 

 

【私たち】の身体は人間の姿形に少し似ていた。けれど現代とは肌色も肌質も身体の仕組みさえも全く違う。現代の私の肉体とはかけ離れているその世界での私を憶い出すと、何だか不思議な感じがする。透け感のある薄い水色をした、私の右手が今も見え隠れすると少しだけ懐かしい気持ちになる。




【私】にとってのただひとりの存在の【彼】は、穏やかで優しい男の子だ。

彼についての記憶の中で、私にとって特に彼の瞳が印象的だった。透明度の高いサルビアブルーの青とオーロラのエメラルドグリーンが混ざり合う瞬間を映したような、美しく輝く瞳をしていた。宇宙に存在するどこかの惑星を映したような深い瞳。その瞳の奥には幾つもの星が瞬いていた。彼は瞳の中に星を持つ人。

 私はその瞳が大好きだった。彼の瞳を覗き込むと、その深く深く透き通った瞳に私がはっきりと映って見えたからだ。限りなく透き通った瞳の奥に、私のすべてを知っているような感覚を感じさせるその瞳がとても愛おしかった。



 彼の穏やかな性格とは反対に、私は活発な性格だった。いつも私が先立って彼を遊びに連れ出していた。先に走り出す私に、彼はいつも笑ってついて来てくれていた。私が遊び疲れ、金色に光る草原で眠ってしまうこともあった。そんな時も彼は静かに私のそばにいてくれた。寒くないように空中に漂う星屑を集めた光のヴェールを作り、私の身体を包んでくれた。私が夢を見ている間に光る花を編んでは寝起きの私に出来上がった花冠を被せ、満面の笑顔を私に向けてくれるような心優しく純粋な男の子。





_______________





 今こうして振り返ってみると、私は彼に何をしてあげられただろうと考えてしまう。私が率先して遊びに連れて行ったり、楽しいことをただ一緒にしたいだけの気持ちで過ごしていた。一緒にいるのが楽しくて嬉しくて、ずっと手を繋いでいたかった。彼の柔らかくてあたたかいその手が心地よくて、私が安心して繋いでいられたたったひとりの優しい手。ただ一緒にいることだけが、幸せだった。

 そばにいて当たり前の存在、唯一の存在がいつも私の隣に居てくれたことの奇跡を今になって気づくなんて。




 私たちはふたりでひとつであり、いつも一緒にいた。離れることがなかった。

 私たちがいた世界では「生きる」という意味を理解し、すべてを信じていた。

 何かを、また誰かを疑うという概念などなく、魂は永遠に自由だった。

 現代の言語では到底言い表すことのできない世界が、そこにはあった。 

 その世界では何かを言葉で言い表す必要はなかったけれど、現代の地球ではどうしても言葉で伝えることが必要になってくる。


 真実も嘘も「言葉」 によって伝わる。

 決して重くもない「言葉」 

 決して軽くもない「言葉」


 魂の感動を、喜びを、愛を、真実を心を超えて誰かの魂に届けたいと願う。

 今を生きる私がうまく言葉に出来ないだけなのかもしれないけれど、あともう少しだけもがいてみてもいいかもしれない。


 記憶(過去)現在()へと溶け合いつつある。

 ひとつになったらきっと、魂に届く「言葉」が生まれる。 

  



 ひとつの星として生まれた【私たち】も例外なく、自らの魂を磨くための旅立ちを選択する。

 誰もが望んで長い旅を始めてゆく。

 そしてほとんどの人たちが自ら望んだことを忘れて人生を繰り返してゆく。

 あらゆる次元、あらゆる世界、あらゆる時代を経験し自らを光り輝く星としてその魂を生きたなら、離れ離れになったもうひとつの星に再会する時が必ず訪れる。

 無限に続く生まれ変わり、ほんの一瞬のすれ違い、憶い出した記憶、繰り返されるシンクロシニティ。

 私たちを包む宇宙がふたりを同じタイムラインにのせるその時まで。






【 At the end of the Circle 】



 完全なる美しい曲線

 青と緑の輪が廻り始める

 この完璧な世界()の途中で

 最後と決めて出逢えたなら

 どうかずっとそばにいて



 閉じた瞼の裏に感じる (かす)かな光が

 新しい一日の始まりを教えてくれる

 午後の穏やかな光が

 あなたの柔らかい髪を包み込んでゆく

 沈みゆく夕陽も

 ふたり一緒なら明日への希望に変わる

 夜空に輝く 月と星が佇む静かな夜には

 明日のことをたくさん話そう

 そんな毎日を ただあなたと二人で過ごしたい



 光溶け合うこの優しい世界で

 私の世界()とあなたの世界()が繋がってゆく

 私たちの世界()が完成したら

 今度こそ一緒に帰ろう

 私たちだけの 瑠璃色の世界へ





「あと3回、夢で逢えたその先の世界で」第3話をお読みいただきありがとうございます。

次回の第4話も楽しみにしていただけたら嬉しいです。

更新は毎週金曜日21時です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ