表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あと3回、夢で逢えたその先の世界で  作者: 鈴虹色
第一章 
11/22

第11話 重なる手

第二章の始まりです。





 2022年5月23日

 夢の中で出逢うのは、これが2度目ーー。




 


 目を閉じていても今、私が心地良い場所に居ることが分かる。とてもあたたかい、柔らかな空気が辺りに漂っている。



 目を開けると、壁も天井もない優しい光のみが存在する空間に私はいるようだった。私はその空間で横たわっていた。



 伸ばした腕の先、右手に柔らかい感触があり、それは私の手に誰かの手が重ねられているようだった。



 重ねられたその手の先を辿ると、【彼】がこちらを見ていた。()()()()()()()()()優しい瞳を私に向け、私と同じように横になっていた。




 私たちは手を握り合っている。

 お互いに手に触れ、ただ握り合うだけ。

 指の触れ方、握り方を何度も変えては手を重ね、

 繋いでいる。




 彼の手は柔らかく、とても優しかった。

 懐かしく感じる体温が、私を安心させてくれる。

 そしてただただ、愛おしい。



 手のひら、触れる指先に私たちの愛が集中していると感じる。




 ふたりの手、その指だけに愛が存在していた。

 私はずっとその手を見つめていて、幸せだった。  




 繋いだ手のその先には優しく微笑む彼がいた。




 彼は愛おしいものを見つめるように

 その優しい瞳を細めながら私を見つめていた。

 その瞳からあたたかさを感じられた。



 今までそんな瞳で見られたことがないくらいに、

 深い愛を持つ瞳だった。

 彼はその空間にいる間中、ずっと私を見つめていた。

 彼の瞳の色は限りなく黒に近く、

 深い宇宙の色を表したように綺麗だった。

 その瞳の中には、キラキラと輝く小さな星たちが見えた。



 それが私はとても嬉しくて、何だか懐かしかった。



 私たちの間に言葉はなく、そして必要もなかった。

 ただ手を繋ぎ合って過ごす時間。



 私にとって彼の瞳が嬉しくてあたたかくて、

 これを幸せと言うのだろうと感じた。



 こんな幸せを感じて、私はまた彼を愛おしく感じた。

 私も彼と同じような瞳で彼を見つめていられたら嬉しい。



 私も同じようにあなたを愛していると、

 あなたに伝わっていたらとても嬉しい。





 ふと思った。

 この気持ちを、どこかで感じたことがある。

 同じような思いをした記憶が私の中にあるようだった。

 それより今は、この場所を感じていたい。





 この場所では私のすべてが、彼の愛で包まれていた。




 溢れ出す愛と喜びによって光度は増し、

 私たちの身体が輝き始める。



 お互いだけを映し出す瞳がここにある。

 見つめ合うだけの優しい空間に、私たちが存在している。





 この愛しさを懐かしく感じるのは何故だろう。





 私はこの手を知っている。

 目の前の【彼】を知っている。

 ずっと前から、知っている。





 愛だけが存在するその空間で私は、私たちは幸せだった。

 

 





__________


 




 夢から覚めてもその重ねた手、絡めた指の感触を憶えている。

 1年近く時が経った今も、はっきりと憶えている。



 身体の境界線などない位に、私の肌と同じような感触。

 皮膚は私と同じくらいに薄く、優しい肌触りがした。

 触れているというより、重ねた手が溶け合う感覚。



 あたたかくて、その肌に触れているとこの上ない安心感を感じた。



 その手と指から伝わってくる彼の愛と優しさ、安心感が私を笑顔にさせてくれた。



 かつてその手に触れたことを憶い出す。

 そして私に触れているその手が、

 【私】を知っていることにも気付いた。



 私たちはずっと、お互いを知っている。






 

 私がまた不安になっていたから、夢に出てきてくれたのかな。



 私を安心させにきてくれたのかな。

 次はどうか、声を聴かせて。




 ありがとう、本当にありがとう。

 あなたに追いつくまで、あと少し。

 もう少しだけ、待っていて。








 〜【知っている、ということ】〜




 あなたと離れて初めて

 私は孤独というものを知った

 それは私の記憶から

 あなたの温もりが消え去ってしまったから



 何度生まれ変わっても

 私はあなたを憶えていないのに

 この世界で

 私はいつも孤独だった

 この豊かな世界で

 私はいつも寂しかった



 物心ついた頃から

 ずっと感じていた孤独

 私はついに

 その理由に気付くことが出来た



 永遠にも感じられる時を過ごしてきた

 巡り逢えずにいた何千年もの間でさえ

 私の魂だけが

 その温もりを憶えていた

 

 

 私の魂だけが

 その孤独の理由を知っていた

 温もりの存在であるあなたに

 長い間出逢えなかったから

 


 あなたがこの世界にいること

 あなたが【私】を待っていること

 本当は全部分かってる



 あなたの居る場所へと

 向かう私を知っているでしょう

 私があなたを見つける

 私があなたを見つける時

 あなたも私を見つける



 全部分かっていても

 願わずにはいられない

 祈らずにはいられない



 あなたに逢いたい

 この世界でもう一度、あなたに逢いたい

 


 


 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ