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013.勧誘

本日は2話投稿しています。

いいね、感想、誤字報告ありがとうございます。

いいね、感想はとても励みになりますし、誤字報告は助かります。

今後とも応援よろしくお願いいたします。

「話をまとめると、スキルポイントを増やせるスキルを発見して、それがサポーターのスキルだったと」

「しかもパーティ内に複数いると効果が重複するんだ」

「そして、これを下手に公開すると、トップ探索者の支援者に囲われて、独占されてしまう公算が高い、それは避けたい。そこでそのスキルを持つサポーターを増やすことで一部の探索者に独占させることを防ぎ、探索者全体に貢献しようと」

「ほぼ正しい」


 ふくよかな女子大生はなかなか鋭かった。

 男子高生ユウキと女子大生マリカがレベル10になった後。

 リュウイチは二人に『パーティ取得経験値増加』を10まで取らせ、新たに出現した『パーティ取得スキルポイント増加』を新規取得するよう指示した。

 もちろん二人はスキルポイントを獲得した時と同じかそれ以上に驚いていた。


 それから二人に自分たちの目論見を話したのだ。

 新しく有用なスキルを発見したのでこれを広めたいと。

 これだけで十分ビジネスとして成立するし、ダンジョン協会にも貢献できると考えていると。

 なお、ミイナはずっと、すました顔でリュウイチの言葉に頷いていた。

 ダンジョン協会からやってきたミイナが肯定しているというのはなかなかの説得力を付与してくれる。


 しかし、男子高生は鵜呑みにしてくれたのだが、女子大生には一枚裏まで読まれてしまった。

 ただ、根が善人でまじめなのだろう、最終目標が遊んで暮らすことだとまではわからなかったらしい。セーフ。


「と、いうわけなんだが、質問はあるかい?」

「はいはーい。つまり俺らはどうすればいいんですか?」

「いい質問だ」


 元仲間を見返したいといっていたユウキくん。

 今後の予定は未定だというマリカさんも口を開きかけていたが、彼の質問を聞いて呑み込みリュウイチの答えを待った。


「前提として、我々はこのスキルの存在が公に広まる前にスキルの持ち主を増やして広めたい。そうしなければ、私が身動き取れなくなる可能性が高いからだ」

「なんでですか?」

「お金や権力を持っている人が無理やり独占しようとするかもしれないってことよ」

「なるほど!」


 リュウイチは女子大生が男子高生にものを教えるのってなんかエロいよなと関係ないことを考えた。ミイナが静かにリュウイチを見つめた。


「その上で、こちらからのお願いが一つある。そして選択肢が二つ提供できる。まず、今回スキルポイントを1レベルで28ポイント取得できたことは秘密にしてほしい。これは君たちや今後広めるサポーターも努力とかける時間次第でたどり着けるものだ。その時間を稼いでスキルを広めるためだね」

「スキルの持ち主が限定されなければ独占することが難しくなって、広まってしまえば心配はなくなるということですね」

「そういうこと」


 ユウキがうんうんと頷いている。


「それで、選択肢の一つ。『R・ダンジョン支援』は、従業員を募集している。アルバイトでも構わない。条件はサポーターのクラスになれること」

「仲間になって直接的に協力するということですか」

「知り合いにサポーターがいれば誘ってくれてもいい。ただし、秘密についてはこちらで開示するから言及しないこと。今のように勧誘するから、レベル10まで上げてくれるという誘い方がいいかな」

「うーん」


 ユウキは乗り気ではなさそうだ。マリカは考え込むようなそぶりを見せている。


「もうひとつは、自分でこのスキルを活用して探索者として活動する道。ただ、その場合はしばらくは自分と仲間だけの秘密にしたほうがいい」

「え、どうして?」

「同じ理由だよ。今ユウキくんは自分と、自分のパーティが得るスキルポイントを2倍にできる。それだけでもこれまでからするとものすごいことだ。ばれてしまうと自由に冒険なんてできなくなる。我々はしばらくはサポーターの強化に努める予定だから、探索者としてはそう目立つ結果は残らない。どちらが目立つかはわかるよね」

「目をつけられたらほかの探索者のスキルポイントを増やすためだけに働かされそうですね」

「それは……」

「なに、そうだね1年間、秘密にしてくれたらいい。そのころにはある程度広まっていると思うから。こっそりスタートダッシュができると思えばいいかな」

「なるほど」


 リュウイチはなんだか悪いことをしているような気分になってきた。

 なのでそれをごまかすために口を開く。


「ほかに質問はないかな」

「はい、リュウイチさんは彼女さんとかいらっしゃ――」

「その質問はダメです」


 マリカの質問を、ミイナがインターセプトした。


「ダメですよ?」

「あ、はい」


 ミイナWIN。

 リュウイチとユウキは苦笑い。


「で、まあそういうわけなんだが、どうかな」






 この日のテストケースは、総じて好評だったという報告書が提出された。

 終了後アンケートは当たり障りのない質問がなされ、好意的な返答が返された。

 また、報酬については要検討とされた。

 アンケートの結果の一部を抜粋する。


 Q.成果についてどう思いますか?

 A.想定以上だった。すごかった。


 Q.費用についてどう思いますか?

 A1.安すぎると思う。だよね?

 A2.うん、でも高いと本当に困っているサポーターの方が受けられなくなりそう。


 Q.安全対策についてどう思いますか?

 A.毒除けのお守りとマヒ解除のポーションを配布されましたが、その効果を発揮したと思うタイミングも使用するタイミングもありませんでした。レベル上げ対象者に怪我人はいません。


 Q.気になる点はありますか?

 A1.5階と6階のモンスターが臭い。

 A2.あれは何とかしてほしいよね。


 Q.また受けたいですか?

 A1.はい。

 A2.できるなら何度でも。


 Q.今後の抱負を。

 A1.改めて探索者として1から出直します。

 A2.サポーター支援という活動に共感しました。就職先として考えています。






 翌日。


「あのちょっと今1レベルで115ポイント上がりましたけど!?」

「あ、うんそうなんだよ。2ポイントはマリカさんのスキルの効果だよ。昨日二人が11レベルになるまで頑張った成果だね」

「いや、はぁぁぁぁぁ!?」

面白かった、続きが気になると思ったら、いいねと評価をお願いします。

10日朝ジャンル別日刊3位、総合24位。昼ジャンル2位総合18位を確認しました。

本当にありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。

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