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Sil-ENT 静かなる玉座  作者: 寺田卍丸
第一ノ章 サンビタリア王国編
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第六ノ話 お面と王と。

小さい頃、夏祭りの屋台とかで見かけるお面になぜか心惹かれましたよね。

今でも心惹かれますが、どう考えてもこの時代でも今もなおたまに見かける宇宙刑事ギャバンの仮面の謎はまだ解けません。


俺はあの街での一件の後、マコトの白馬の後ろに乗せられて王城へと向かった。

王城へと向かう途中は彼女の優しさに安堵したのか、それとも今日一日で起きたことが余りにも多すぎての疲労なのか、俺はいつの間にか眠りについてしまっていた。


ゲート解放。」


彼女の言葉と同時に城門が開く物音で俺は目を覚ました。


「おや、起きたのか創士殿。長旅ご苦労であった。暫くこの城で休むといい。」


彼女と共に馬から降り、城内へと足を進めた。

城内に入るや否や真ん中の赤いカーペットを両側から挟み込むようにたくさんのメイド達と兵隊達が一同に規律正しく背筋を伸ばし姿勢良く立っている。


「おかえりなさいませ、陛下。そして創士様。」


「はん…にゃ?」


俺たちを一番最初に出迎えの言葉をくれたのは、般若の仮面を被った男だった。

白髪の髪にタキシード。声と佇まいから想定すると歳をだいぶとっている老人のようだ。

いやいや、そんなことどうだっていい。

般若の仮面?なんでそんなもの被ってるんだ。

このメイド達や兵達が並ぶ中で一人だけ異次元すぎない?

それに怖いし、子どもがみても大人が見ても泣いちゃうよこれ。夜だと怖さ増し増しだよこれ。


「シャル爺の仮面のことには気を遣わないでくれ。彼の顔は優しすぎて相手に舐められてしまうが故に迫力を出すためこの仮面を被っているだけなのだ。」


気を遣うもなにも、迫力出しすぎて私生活に支障をきたしてるでしょうにこの仮面。

頼むから誰か突っ込んであげてください。

もしかして若い時からずっとこの仮面被ってるんですか?だとすれば相当周りの人に恵まれなかったんだな。常識ある人に出会ってたらこんな仮面今までつけてられないって。


「ほっほっほ。創士様はお元気そうで何よりですな。記憶を無くしたと聞いておられましたが、ご存命で何よりです。」

「私、ここの王宮で陛下のお父様よりお仕えさせていただいております。シャルロ・マンソンと申します。昔は貴方様にこの仮面のことをよく注意されたものです。」


やっぱり昔の俺でもこの仮面のことは気にしていたのか。無理があるだろう般若仮面生活には。


「ちなみに、私が貴方様に注意されていた頃は能面たるものをつけていましたが、妻の助言にて今の仮面になったものです。」


奥さん…。奥さんも結構変わり者なのね。

能面と般若ってさほど違いなくないですか。

強いて言うならまだ能面の方が百歩譲って可愛らしいのに般若になんか変えちゃったらさらに酷い有様だよ。そんなにこの爺さんは自分の顔にでもコンプレックスがあるのか?

俺ならどれだけ自分の顔がブサイクでも般若つけて生活なんてそっちの方がハードモードだけどな。


「私がまだ幼い時のシャル爺は、可愛い兎のお面だったがな。」


「それは陛下に怖がられないようにあの時期だけ被っていたものでして。」


どれだけ仮面のレパートリーがあるんだかこの爺さん。

兎のお面まで手を出してしまったら、怖さ求めてんのか可愛さ求めてんのかわかんなくなっちゃうよ。


「ちなみに、私が妻と出会った時は白い虎の仮面を被っておりまして。その仮面の姿を見て私の妻は」


「もういいよ、仮面の話は!!」


この調子だとこの爺さん永遠と自分の仮面トークで盛りがちゃいそうな勢いだよ。

お願いだから、誰かこの方を止めてあげてください。助けてあげてください。


「まぁ、立ち話も疲れるだろう。私の茶室に案内しよう。」


マコトは腰に下げていた大きな剣を爺さんに渡した。血塗れた服は脱がずにそのまま俺を茶室にへと案内し始めた。

俺たちが歩き始めると共に兵隊達は解散し、メイド達は俺たちの後ろからついてきている。


「茶室にシャル爺以外の男性を招くのは久しぶりだな。」


マコトはなんだか嬉しそうな笑みを浮かべている。

一国の王となれば国のことに務めたり、それこそ玉座争奪戦とやらで大忙しなんだろう。

それなのに、我が国の国民ときたら王に対してあんな態度をとっていちゃあ友達なんて呼べる人は一切いないんだろうな。

だから、こんな俺でも茶室で他愛もない話をしたり話し相手になってくれるのが彼女にとってはとても嬉しいことなんだろうな。


よく見ると普通の女の子って感じだし。

赤い髪のポニーテールで優しくて美人で胸もボインちゃんでモテ要素ありまくりなんだけどな。俺だったらこんな子に口説かれたら惚れちまうよ。


「あまり変なことは考えない方がいいですよ、創士様。」


「びっくりしたな!そして顔近いな爺さん!」


この爺さん人の心でも読めんのかよ。

まぁこの爺さんからすりゃ自分の孫みたいに可愛い王だろうよ。それにしても顔面と俺の顔面至近距離すぎて今すぐにでもキスして恋が始まりそうなこの距離はどうにかしてくれよ爺さん。


「二人とも、馬鹿なことしてないで。ほらここが茶室だ。」

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