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1~プロローグ~

初めての小説になります。よろしくお願いいたします。


頭が痛い。

ものすごく頭が痛い。

クーラーの中、薄着でゲームしてたからいけなかったのかなぁ。

ついでに寝不足だったし・・・。

うん、これは風邪だ、風邪に違いない。

社会人的には一番厄介な風邪だ。


身体は辛いのに風邪ぐらいで休むなよ、という無言のプレッシャーを感じる休むに休めない病気。それが風邪。風邪で休みますって何故か言いにくいよね~。


まぁ、薬さえ飲めば、どうにかなる!

だって、明日は朝から会議が入っていて、この日の為に毎日残業して資料を作成したんだから。ここで休むなんて、迷惑がかかっちゃうからね。


だから、薬を。

うん、まずは薬を飲もう。




「くすり・・・・を・・・。」

口からでたのは、自分の記憶とは違う澄んだ品のある綺麗な声。

なにこれなにこれ、なんなの?と、頭の中はパニックだけど差し出された水と紙に包まれた薬をどなたか存じ上げないメイド服をきた綺麗なお姉さんに支えられながら飲む。


いや、なんでメイド服?え、どういうこと?この薬も見たことないんですけど・・・。パッケージもないし、やたら苦いし・・・。飲んだはいいけど、変な薬だったらどうしよう・・・。



次から次へでてくる疑問にパニックになりながらも、薬のおかげかだんだんと意識がはっきりしてくる。


あーこれは・・・ものすごく見覚えあるぞ?

うーむ、とにかく状況を整理させて!


--------------------------






私は、安藤董あんどうすみれ

29歳OL。経理部所属で毎日毎日、提出される領収書や請求書をひたすら処理する毎日。更に1ヶ月ごとに資料を作成し、現状や予算について社内会議で報告する。


そう、まさに昨日、その資料が出来上がって後は部長達と一緒に報告するだけだった。経理部は少数精鋭で営業部には毛嫌いされ、人事部総務部からは無茶ぶりされ、経理部はいつも人材不足。地味なのにある程度の知識が必要なせいか希望者も少ない。悲しいかな、ついでに給料も少ない・・・。


そんな安月給の私の楽しみは、乙女ゲームをすること!

昨日は、間近に迫ったお盆休みに向けてゲットした乙女ゲーム『向日葵の花束を君に。』を絶賛攻略中だったのだ。本当はお盆休みまでやらないつもりだったのに、我慢できなくて我慢できなくてこのクソ忙しい時期にやり始めてしまい、ここ1週間ほどいつもにまして寝不足だった。



なんで、この時期にゲームなんてやってしまったんだYO!

過去の自分をぶん殴ってやりたい。

恐らく、疲れていたのにゲームで寝不足だったのが原因だったんだと思う。ゲーム中に今までに経験したことのない胸の痛みを感じた瞬間に私は意識を失った。



そして





気がづいたら、目の前には、なんとなく見覚えのある美少年と美青年。


頭痛の中、目を開けた瞬間、あ、これ、夢だわ。と思ったね。

だって、目の前にいるシルバーブロンドの髪と深い藍色の瞳の美青年は何を隠そう『向日葵の花束を君に。』のお助けキャラ、オスカーにそっくりだったんだから!




きゃー!生のオスカーよ!麗しい!!と、テンションが爆上がり!と、思ったらひどい頭痛。

ガンガンと頭を殴られているような頭痛に耐えられず、口から出たのが先ほどの『くすり・・・・を・・・。』という言葉だったってわけ。


思考的には『薬プリーズ!!!』って感じだったのに、やたら弱弱しい感じになってたわ。



とりあえず、目の前のオスカーを確かめよう。



「お、お兄様・・・?」


お兄様って私!おい、何言っちゃってんだー!!

こんなアラサーが美少年相手にお兄様って変態だよ!!

なんかさっきから思考とは別の言葉に変換されてる気がするんですけど!なんでよ!?


だけど、頭の中でわーわー騒いでる自分とは別に妙に落ち着いている自分もいる。


「!!」

目の前のオスカーが私の手を慌てて握ってくる。


そして、気づいた。

ううん、記憶がある。

安藤董の記憶ともう一つの記憶。





お兄様は『オスカー・ファイルヒェン』

そして、私は『ルードヴィッヒ・ファイルヒェン侯爵』の2番目の子で、あの乙女ゲームの貧乏くじ兄妹の妹、『エルフリーデ・ファイルヒェン』。



別名『都合のいい女』




『向日葵の花束を君に。』のファンから、そう呼ばれる侯爵令嬢に私は転生したらしい・・・?







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