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運搬屋 天国に行く

「俺が魔王を生き返らせるよ」

『えっ!!?』


 サキュバスと盲目のエルフ、フィアは驚いた声を上げる。

 それもそのはずだろう。

 この世界に死者を蘇らせる魔法は存在しない。


「それは……本当のことでしょうか?」


 サキュバスがたずねる。

 その疑問の言葉の裏には怒りの感情が滲み出ていた。

 それでも表情を崩さないのは、彼女の強い意志によるものなのだろう。


「正直な話、本当に生き返るかはやってみないとわからない。

 俺は天国から自分の身体へゲートを繋いだことはあるが、

 他人にやってみたことはないから」


 一度だけ俺は死んだことがあった。

 その時は魂だけを自分の体に戻し、体は治癒魔法で治すことで事なきを得た。

 

 だが他人に試したことは無い。

 何より人間と魔物が同じ場所に魂が還るかもわからない。


「だけどやらせて欲しい。そして俺を信用して欲しい。

 必ず君たちを助けるから」


 大事な仲間の仇に言われても嫌かもしれない。

 だけど自分自身のケジメとして試しておきたかった。


「―――っ」


 サキュバスは俺の前で初めて表情を崩した。

 苦虫を噛みしめたように、苛立ちと憎しみを込めた表情に。


 信じて貰えてないのだろう。

 もし出来なければ殺されるかもしれない。


「セレスさん、彼は心の綺麗な人―――のような気がします」

「……わかりました。貴方を信じることは出来ませんが、フィアの言葉なら信じることが出来ます」


「ありがとうございます」


 思わず頭を下げる。

 何故だかわからないが、認められたことが堪らなく嬉しく感じた。


 もちろん認められたから終わりではない。

 魔王を蘇らせてフィアの言葉を借りなくても、俺自身のことを信じてもらわなければならない。


『ゲート。目的地、天国』


 ゲートが出現し、情景が映し出される。

 そこは一度だけ来たことのある場所であり、

 自らの意思で行くことになるとは思わなかった場所。


 天国と形容したが、本当に俺たち人間が思っている場所と同じかはわからない。


「行ってきます」


 そう言ってヤマトはゲートをくぐった。


「無事に行くことが出来た…んだよな?」


 ゲートをくぐった先は間違いなく、一度死んで辿り着いた場所。

 かつて魂だがこの場所に着いたが、こうして肉体を持ったまま来るのは違和感があった。


(魔王を探さなければ)


 天国と呼ばれる場所は野花の咲く高原だった。

 見渡す限り建造物はない。

 

 しばらく歩いてみると声がした。


「だからもう一日だけ待ってくれと言っておるのじゃ」

「駄目です。ルールに従ってください。

 死んだ人は速やかに三途の川を渡っていただかなくては………」


「一日ぐらい変わらんじゃろ。明日になれば、他の者の3倍の速さで渡る。

 じゃからそれまで待ってくれぬか」

「駄目です。規則です。これ以上ダダをこねるなら、地獄に落としますよ」


「待ってくれるのなら、地獄でも落としてくれて構わぬ。

 じゃから、もう一日。奴らが無事に出発出来ただけここで確認させてくれぬか?」


 そう言って天国の管理をしているだろう天使と、クレームを入れる死者がいた。


 自分の3倍程は有ろう巨体。不気味に黒色の毛が渦巻く外殻。

 身の毛のよだつ声色で話をする姿は、紛れもなく魔王そのものだった。


「おう。お前もここに来よったか」


 魔王はヤマトの姿を見て不気味に笑う。

 

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