運搬屋とゴブリンの国の侵略
「お主の魔法でゴブリンの国を落とす
イヴァンとフェーンはあくまでそのサポートをするだけじゃ」
魔王は宣言した。
ヤマトのユニークスキル『ゲート』の使い方を示すと。
そんなこと出来るのだろうか?
魔王の言葉にヤマトは半信半疑ではあった。
「ではまず、ゴブリンの国の近くまで近づいてみるかの」
イヴァンに乗り、先程とは違いゆっくりとゴブリンの領地に近づく。
その時――――。
「――ッ!!」
スパッと何か飛んでくる。そしてそれをフェーンが弾き落した。
「ご苦労。流石じゃな、フェーン」
「これくらいの速さなら不意打ちでも撃ち落とせますよ」
そういうと落ちたものを見せてくれた。
弓矢。進行方向から飛んできたようだ。
「どうやらゴブリンの領地に入ったようじゃな。
これは威嚇射撃のようなものじゃろう」
その証拠に足を止めている現在、追撃を受けるようなことはなかった。
相手としても無暗な戦闘を避けたいという意思を感じる。
「フェーン、確認じゃが
今の速度の矢ならば確実に全て止められるな?」
「はい、任せてください」
その言葉に魔王は不気味に笑う。
「よし、わかった。お主の言葉を信じよう」
そういうと魔王はイヴァンの手綱を引っ張る。
進行方向はゴブリンの国ではない。
迂回するように横へ移動する。
「正面戦闘を仕掛けるわけじゃないんですね」
「フェーンがおるから、正面戦闘でも十分ではあるが、
今回はお主の魔法の真価を見せる所じゃからな。
少々回りくどいが、一番相手にしたくなく、
一番嫌がり、一番回避できない戦闘方法にしようと思う」
魔王はそう言うと、およそ半日を掛けてぐるりと一周ゴブリンの領地を徘徊した。
既に太陽が落ち掛け、夕暮れになっていた。
「これで丁度一周じゃな」
魔王は地面に落ちている矢を見て、そう言った。
「これから攻め込むんですか?」
ヤマトの能力を使えば、これで領地の端から端まで瞬時に移動することが出来るようになった。
だがだからと言って、勝てるとは到底思えない。
「いいや、もう夕ご飯が出来る時間じゃ。
帰ってゆっくりするぞ」
そういうと魔王はヤマトの肩を叩き、ゲートを作るように催促をした。
拍子抜けではあった。
だがこのまま攻め込むにしてもお腹が減る。
明日にも攻め込むのだろうか、そう考えながらゲートを作り出す。
「今夜は眠れると思うなよ、ゴブリンどもよ」
魔王はいつもと同じように不気味な笑みを浮かべていた。
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