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運搬屋と買い物

『ゲート。指定、人間の国 裏路地』


 ヤマトは人通りの少ない場所にゲートを出した。


「うむ。問題なく使えるようじゃな」


 ヤマトの肩に乗ったヌイグルの姿をした魔王は、まじまじとゲートを見ていた。


「色々調べたいことはあるが、それは戦闘の訓練をするときにするかの。

 それで確認じゃが、この姿でワシは問題ないんじゃな?」


「はい。どこからどう見ても、普通のヌイグルミです」


 強いて問題を上げるとするならば、可愛いヌイグルミを男性が肩に乗せているということぐらいだろう。


 人間の国では、魔王であることは勿論のこと、魔物であることもバレたら大事になる。

 その為、人間の国ではあくまでヌイグルミとして過ごす予定になっていた。


「それでは入りますね」

「うむ」


 そう言うとゲートの中に足を踏み入れる。

 そこはヤマトが思い描いていた通りの裏路地。

 

 大通りから外れており人通りが少ない。

 人でも探していない限りはまず確認することはないだろう。


「では、まずは食料品の店から案内してくれ。

 金は渡した通りじゃが」


「………」


 渡されたお金は、財宝という言葉に当てはまるような貴重品だった。

 売れば並みの冒険者が一年働かなくても良いぐらいのものが、何十個も。


 勿論換金することは可能だろうが、どこから手に入れたのかと怪しまれる可能性があった。

 もしそれがユージのパーティに入った状態ならまだマシだったが…。


「今回は俺の持ち金を使いますよ。

 こういうのは他の国でも換金できますし」


「うむ、そうか?」


 これから先、様々な国を回ることになるのだ。

 人間の国の通貨が使えない可能性だってある。


 この貴重品が他国でどれほどの価値があるかはわからないものの、

 ただの紙切れよりかはマシだろう。


「それじゃあ、メモを渡しておくぞ」


 そう言うと魔王は縫い目の隙間から紙切れを出した。

 色々思う所はあるが、大分自分の身体を使いこなしているな、と先に思った。


 中には様々な食材が書いてあったものの、

 仮にも魔王を討伐した冒険者であるヤマトの貯金で十分足りそうな金額で合った。


 

 それからしばらく時間が経ち、夕方になった。


 荷物は普通ならば一人で抱えきれない程であったものの、

 ヤマトの場合ゲートを繋いでその都度魔王城に送れる為、

 一人で問題が起こることはなかった。


「これで最後かな?」


 ポーションや薬草などを売っているお店から出てくる。


「うむ、ご苦労だったな」


 ゲートでその都度送っているとは言え、流石に疲れは来ていた。

 あと、肩のヌイグルミが一日歩くには重たく感じた。


「まぁ、帰ったら美味しいご飯が食べれると思うとがんばれますよ」


 そう言って帰る用のゲートを出現させようとしたその時だった。


「やっと、見つけた。

 クソっ、手間を掛けさせやがって」


「……」


 ヤマトの目の前に現れたのは見慣れた相手だった。


「ユージ………」


 それはかつてのヤマトの仲間であり、

 ヤマトをパーティから追放した元凶であった。

 

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