表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/115

運搬屋と涙

「嘘だろ………」


 魔王の魂が消えた瞬間を、天国側からヤマトは見ていた。


 甘えた考えを持っていた。

 そう痛感させられた。


 こんなことになるなら、生き返らせるなんて言うべきでなかったのだ。

 天国から指示してもらうだけでも十分だったはずなのに……。


 自分の所為だ。

 魔王軍を助けたいなんて言う自己満足の為に、魔王を殺したのだ。

 

 ゲートの前の彼らにとって、大切な人の二度目の死を経験させてしまった。

 合わせる顔が無い。

 いっそ彼らのいない場所に飛んでしまうと思う程だった。


 だけど出来ない。どんなに合わせる顔が無かろうが、謝らなければならない。

 許してもらえるかはわからない。罪滅ぼしだ。


 ヤマトは無気力なままゲートをくぐろうとした。

 だがその前に何者かが立ちはだかる。


 赤い髪をしたサキュバス。セレスと呼ばれた女性だった。

 

 あぁ、追ってきたのか。責め立てる為に。

 殺してくれるかな。そうしたら許して―――


「辛い思いをさせてしまいましたね。

 ごめんなさい。そして――


 ありがとうございました」


 セレスは優しくヤマトを抱き寄せる。

 抱えられていたコアラに似た人形が、ヤマトの頭を受け止めた。


 そこに人形があってよかったと思えた。

 ヤマトの涙を全て受け止めてくれた。


「ごめんなさい。助けられなくて」

「いいのです。私たちは、再び魔王様に会えた、それだけで満足です」


 そういったセレスの声は少し震えていた。


 彼女の顔を見ようとした。

 だが顔を上げようとすると、より強く抱き寄せ顔を上げさせてはくれなかった。


「貴方は私たちの仲間です。

 魔王様が言ったのです。


 ですから誇ってください。

 夢に向かって進んでください。


 それが私たち魔王軍の存在意義なのですから」


 セレスの言葉に安堵した。


 一体何度同じことを繰り返すつもりだったのだろうか。

 罪滅ぼしではない。自分に自信を持たなければならない。

 存在意義を他人に預けれはならない。


 夢の為に、進まなければならない。


「わかりました。

 これからよろしくお願いします」


 だから涙を流すのはこれで最後にする。

 それはきっと彼女も、そして他の魔王軍のみんなのも同じだろう。


 ただ今だけは―――。


 その時、抱き寄せた人形が動いた気がした。

『面白かった』


『続きが気になる』


と思った方は、広告の下にある☆☆☆☆☆からの評価、


ブクマへの登録をよろしくお願いします!!

また感想や改善点も書いていただけたら、作者の励みになります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ