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運搬屋とエルフの国④

「あんまり僕らのことを信用してなさそうだし、先に僕らの要望でも聞いて貰おうかな」


 エルフの青年はニヤリと笑みを浮かべた。

 青年に見えても年齢はヤマトよりもずっと上。


 それどころかエルフの知識と知能は人間のそれよりも数倍だと聞く。

 決して侮ることの出来ない相手だ。


「それで、そちらの思惑とは?」


「端的に言うなら、君たちの乗っていた機械の作り方。

 後は、それを作った技術者を紹介してほしい。そんなところかな?」


「!!」


 ヤマト達が機械に乗ってここまで来ていたことがバレていた。

 一体いつから見張られていた。いや、これも魔法の力………。


 が、ヤマトはしまった、と唇を噛みしめた。

 表情に出してしまっていた。麓の村で学んだことだ。


 交渉において相手に情報を与えることは愚かなこと。

 今回で言えば相手がカマを掛けている可能性だって大いにあるのだから。


「先に手の内を晒しておくと、君たちが僕らの国の敷地………そうだね。

 君が二輪の乗り物を仕舞った、十数㎞前から魔法で監視させてもらっていたんだ。


 こんな風にね」


 エルフの青年はそう言うと、指先で四角い形をなぞった。

 すると指先は緑色に発光すると共に、なぞった部分が光、滞留する。


 そして緑色の四角を作り出すと、もう一言告げる。

 瞬間、緑色で枠取られた四角形の中が、ヤマトのゲートのように繋がっているように鮮明に見え始めた。


「今、丁度君たちが止まった場所に繋いで見ている所だね。

 僕一人の力だと、これぐらいの大きさが限界だけど、監視所に行けば、この部屋一杯にエルフの国の敷地を監視出来るんだ」


「………」


 青年の言っていることは本当だろう。

 たった一人の力ではこの程度の大きさだが、このエルフの国には何千、何万とエルフが暮らしている。

 彼ら全員、いや何十人かの力を借りるだけで、国全体を見渡す程の監視が可能だろう。


 だとしたら、ヤマト達を敵だと認識していない理由も頷ける。

 初めから見られていたのだとしたら、エルフの国の攻撃に関与していなかったことも知っているだろう。


 だが話はどういうわけではない。


「その機械を見せて、技術者を紹介してどうするつもりですか?」


 それこそが問題だ。

 一体何のために。


 侵略か、機械の敵に対する対抗処置か。

 それどころかヤマト達に手の内を見せて相手の国の技量を測っている可能性だってある。


 が、ヤマトの言葉に考えすぎか、と思わせるほど青年は当たり前のように答えた。


「単純だよ。僕たちは新たな知識を欲している。それだけさ」

「知識………?」


「そう知識。僕らはおおよそ自分たちで出来る知識は全て得てしまった。

 だけどこのままだと、これ以上発展できなくてね。

 新しいことにチャレンジしようと思っている所なんだ」


「………」


 考えもよらない答えだった。

 自分たちにが得られる知識を全て手に入れた?


 そんなもの人間の国、いや人間という種族では絶対に到達の出来ない考えだ。

 だが青年は至極当たり前のように言っていた。

 

 そのことから―――

 この国のエルフは本当に全ての知識を手に入れた。


 そのことをヤマトは理解せざる得なかった。

 

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