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運搬屋と新たなる旅路

「それじゃあ、行きますか………」


 ヤマトは新大地に立っていた。

 イヴァン山脈を抜けた先、広がるは草原。


 だがありがたいように、山脈から大都市までは馬車での行き来があったのだろう。

 比較的舗装された地面と車輪の痕が残されていた。


「フェーンも大丈夫?」

「うん、いつでもいいよ!!」


 フェーンは俺に背中から抱き着く。

 フェーンの獣の匂いに慣れてきたせいか、どことなく安心する香りだと最近認識は認識している自分がいる。


 現在俺たちは自動二輪車に跨っている。

 元々二人で乗ることを想定していたらしく、二人で乗っても十分なスペースがある。


 そして二人を乗せても動く程の力もあるようだ。


「それじゃあ、行こうか」


 二輪車に着けれているボタンを押す。

 すると無機質な音声が指示を出す。


『―――発進しますか?』


 その音声に従い二輪車を進める――――。




――――――――――――――――



 自動二輪車を走らせて3日程経過した。

 その間に魔王城には何度も寝泊りに戻ったり、二輪車を休ませたりもした。


 比較的安全な旅だった。

 狂暴な魔物もヤマト達を襲う盗賊のいない。


 だが三日目にして世界は一変した。


「――――ヤマト、止めて」

「!?」


 フェーンの言われるがまま二輪車を止めた。

 この頃にはすっかり自分の意思の通りに乗りこなすことが出来た。


 フェーンが止めたのは小高い丘の登る途中だった。

 二人乗りとはいえ、この程度の坂ならば降りることなく走らせることが出来た。


 だがフェーンが止めたということはただ事ではないのだろう。


「ゲート」


 ヤマトはゲートを出し、自動二輪車を格納する。

 もし急いでゲートで逃げる場合、二輪車で入るのは効率が悪い。


 ついで人間の入れる大きさのゲートを後ろ側に出す。

 緊急避難と、背後からの奇襲を防ぐ目的だ。


 息を飲む。フェーンは耳を小刻みに動かしている。

 ヤマトには聞こえない何かを聞いているのだろう。


 気のせいというわけではなさそうだ。

 一層警戒心を強める。


 だが一向に動きはない。達人の間合いという奴なのだろうか。

 先に動いた方が負ける、そんな勝負。


「フェーン、一度出直そう。

 ゲートがある分、こちらの方が有利だ」


 相手がヤマトのゲート生成範囲内に入れば、一方的な攻撃が仕掛けることが出来る。

 そうでなくても、小窓で監視することも可能だ。


 戦略的撤退というと負け惜しみに聞こえるが、実際戦略的にはそちらの方がよい。


 だがフェーンは手のサインでそれを拒否する。

 何か事情があるのだろう。


 どうするべきか。ヤマトは見守った。

 だがその時フェーンが動いた。


「丘を登ろう、急いで!!」

「えっ、うん?」


 何がなんだかわからない。

 だがフェーンの指示に従う。


 丘はそれほど高くはなく、登るのに時間は掛からなかった。

 先程までと違い、フェーンもヤマトを護衛するけれど奇襲に備えている風でもない。


 そして登り切った所でヤマトは息が詰まった。


「燃えている………」


 森が燃えていた。

 そしてそこは―――本来エルフの国がある予定の場所だった。

 

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