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運搬屋と仮説

「ありがとうございます」


 魔王の言葉に自分自身が救われた気がした。


「さて、そろそろこちらの問題を解決せんといかぬな」


 魔王は開かれたゲートに目をやる。

 その様子にヤマトも改めて顔を引き締める。


「ヤマト、お主が死んで身体に戻った時のことを出来る限り説明してもらえるか?

 仮説は試すべきじゃが、犬死するつもりは毛頭ない。

 

 出来る限りの対策を練るべきじゃろう」


「そうですね」


 ヤマトは自分の身体にゲートを繋いだ時のことを思い出す。


「ここに来た時、肉体ではないと気が付いたので、試しに自分にゲートを繋いだんです。

 それが出来たので、ダメ元でゲートを通過したら――」

「地上で自分の身体に入っていたというわけじゃな」


 魔王の言葉にヤマトは頷く。


 だが魔王は考え込んだ素振りを見せた。


「お主の身体に魂を直通させたのはわかった。

 では現在魂だけで、地上にも肉体の無いワシだとどうなるのか。

 そこが問題じゃな」

「あっ……」


 ヤマトは自分のミスに気づく。

 そうだ、魔王の身体は地上には無い。


 討伐した際に復活しないように燃やし尽くし、灰になっているのだ。


「すみません……」

「なに、お主が謝ることじゃない。

 出来ないことを探すのではなく、現状で出来ることを探すのじゃ」


 そういうと再度魔王は考え込む。


「けど案外、魂のままでも地上に居られるかもしれません。

 ゴーストだっているわけですし、もしそうならポルターガイストで物に触れたり、死体に入りこんだり」


 死者が魂のみとなった姿の魔物がこの世界にはいる。

 霊体だから物理攻撃は効かず、相手はポルターガイストを使って攻撃してくる

旅人や商人を泣かせる魔物だった。


 もし同じようになれるのだとしたらとヤマトは考えた。


「あり得る話で、そうであってもらいたいところじゃが、

 ゴーストは全ての種族がなれるわけでもないし、発生原因も未確定じゃ。

 あまり期待しすぎるのも良くないじゃろう」


「そうですよね……」


「じゃが、とても参考になった。

 この調子で考えてくれると助かるな」


 そう言ってまた頭を撫でる。

 もしかしたら癖なのだろうか。


 それからヤマトと魔王は様々な可能性考え、意見を出し合った。


「魂が外気に触れると消えてしまうなら  無空気化の魔法。

 魂の形を維持できなくなる可能性   凝固魔法。疑似外殻魔法。

 湿気に反応する可能性を考えて  防水・防湿魔法。

 日光や光に反応する可能性を   防光、闇纏魔法。

 ついでに紫外線対策       耐UV魔法と日焼け止め。


 こんなものじゃろうか」


 魔王はそれぞれの可能性と、それに対する魔法をかけ続けた。


 それらの魔法の多くは人間の国では聞いたことの無いものも多く、

 またそれら全てを使いこなす魔王という存在を改めて強大なものなのだと認識させられた。


「考えられる可能性は全て対策したが、一応もう一つだけ対策しておくか。

 ヤマト、ゲートは通らなくても、ゲートを通して風景が見えたり、音が聞こえたりするものなのか?」



「はい。ゲートから見えるものなら映り込みますし、音も多少でしたら外からでも聞こえます」


「ならヤマト、お主は地上に戻って仲間たちを集めて欲しい」


「えっと、わかりました」


 魔王がやろうとしていることはわからないが、これも対策の一つなのだろう。

 ヤマトは大人しく指示に従った。



 地上に戻ると赤髪のサキュバスに質問攻めされた。

 魔王が無事?だったことと、指示を受けたことを伝えると、速やかに仲間を集めてくれた。


 それほど時間が掛からない内に、魔王軍は中には全員集められた。

 再びヤマトはゲートをくぐり、天国へと向かう。


「集め終わりました」

「ご苦労だったな。ならば今度はワシの通れる大きさのゲートを作ってくれるか」


 魔王の指示通り、大きめのゲートを作る。

 一体何をするのだろうか。そう思っていると魔王は口を開いた。


 それはまるで演説の様だった。


「皆の者、よく聞け。これがワシの二度目の遺言じゃ」


 ヤマトはやっと、魔王のいう対策について理解した。

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