052 強く成った筈
戦闘はスグに終了した。
エウラリアが一匹を瞬殺。
王子は人形と一緒に戦って……殴り殺した。
「ウサギって弱いじゃない」
そして、これはエウラリアの感想だ。
「そんな筈無い」
それにはマルタが反論。
「速いし、すばしっこいし、俊敏だし」
マルタの言うそれは、全部が同じ意味だ……。
だが、確かに地上で見たウサギは素早かった。
「洞窟だからだろうか?」
アルミラージを前にしたリサが言っていたのを思い出す。
地上では厄介だ……と。
ウサギも同じなのだろうか?
狭い洞窟内では、その速さに制限が掛かる?
まあ、確かに横に逃げるにしても、その距離は短い。
前後は長いけど、攻撃をしようとすれば近付くしかない。
「それに、エウラリアの使ったマヒ毒は範囲も広いし有効みたいだ」
「マヒ毒?」
マルタは驚いていた。
「そんなの使ったの? でも王子は何でそれを知っているの?」
「そりゃあ……見ればわかるよ」
チラリと倒れているウサギを見る。
マヒ毒と鑑定出来るからだ。
「ヤッパリ、マルタも……」
エウラリア続けようとすると。
「トイレ掃除は絶対にしない!」
マルタも気付いたようだ。
ハッキリとキッパリと言い切った。
と、同時にウサギが消えた。
「あ! もしかして倒しきっていなかった?」
王子にはマルタのトイレ掃除はどうでも良い事でもあった。
本人が嫌だと言うなら、好きにすれば良いとも思ってる。
それよりもだ。
「光の玉は……残さないようだな」
お金のダンジョンでは無さそうだ。
もちろん、レアの小さなメダルも無い。
「経験値は?」
エウラリアは、言われて慌ててメイン・ボードを開ける。
だが、そこで固まった。
「以前の経験値を……覚えてない」
えー……と、声を出しそうになった王子は自分も覚えていない事に気が付いた。
危ない、自分の事を棚に上げてエウラリアを非難するところだったと少しの反省。
「でも、これで経験値と宝箱に絞られたな」
上手く誤魔化せただろうか?
「次で確定出来るだろう」
そして、その次の戦闘。
ウサギの魔物は一匹増えて三匹の集団だった。
狭い洞窟内での三匹。
エウラリアのマヒ毒はその内の二匹に掛かった。
ピクピクと足を痙攣させて、動きを止めるウサギ。
残った一匹は王子が引き付けている間に、その二匹をエウラリアとマルタで蹴りまくる。
「しかし、そのマヒ毒は強力だな」
王子は二体の人形が押さえ付けているウサギをシバキながら。
「いつの間にそんなのが造れる様に成ったんだ?」
「これの材料は風船イカなの、食べて腰を抜かした時にレシピが出てきた」
ウサギを蹴って、踏んづけながら。
そして、それを聞いた王子は成る程……と、納得。
そう言えば、マルタの躓くと言う呪いの札も、腰を抜かした後に出たモノだった……躓くも足腰だ。
やはりスキルは経験が必要なのか。
王子の目の前のウサギが消える。
以前のスライムも消えたが……それはスライムだからでは無いようだ。
この不思議なダンジョンでは、地上では体を残すウサギも消えてしまう。
それは残すモノ全てがナニかに変換されるのだろう。
良くはわからない現象だが……まあ、不思議なダンジョンだしなと納得するほか無い。
そして、ほぼ同時にエウラリアとマルタに袋叩きされていたウサギも消えた。
「あ、レベルが上がった」
声を上げたのはマルタだが。
その場の全員がそれには気付いた。
「経験値のダンジョンだったか」
王子は、メイン・ボードを開きながらに。
「今回は……当たりだな」
前回は、傀儡士って聞いて外れだと思ったのだけど……今にして思えば、凄い当たりだったって事だ。
「Lv9に成ったか……」
王子も傀儡士も人形達もだが……新しくスキルは無いようだ。
今までは毎回、何かが着いていたのにと、少しガッカリの王子はメイン・ボードをそのままの閉じた。
そして、エウラリアやマルタに目を向ける。
二人ともに押し黙る様に静だ。
「スキルは着かなかったのか?」
王子の言葉にピクリとさせた二人。
それを見れて、あああっと声を小さく上げた。
「気にするな、次は何か着くさ」
スキルが無くても、力は上がっている筈だしそれで良いとしないとな……と、慰め半分で続けようとした時に、エウラリアが呟いた。
「ヒール……が」
「ヒール?」
王子はエウラリアの足元を見る。
「壊れた様には見えないが」
ジイッとメイン・ボードを見続けているエウラリア。
「ヒールの踏み付け攻撃で、格闘でも着いたか?」
少し早すぎるとも思うが、行動由来ならそれも有り得る。
それでも、返事もせずに熱心にメイン・ボードを読むエウラリア。
少ししても、納得したのか目線を王子に向けて、小さく呪文を呟いた。
「……ヒール」
すると、掌に米粒サイズの光の玉が出て……。
それを王子の体に押し付けた。
+10
と、出る。
「ヒールを覚えた」
エウラリアがとても嬉しそうに、王子にそう告げた。
「おお! 凄いじゃあないか」
覚えたてのそのヒールは回復力もだし、対象に触れないと駄目な様だが……それでも白魔法で一番にメジャーな魔法だ。
今はレベルが低いからそれだが、もっと上がれば……と期待も持てる。
何より本人が喜んでいる。
「良かったな」
「ありがとう」
王子が今まで見た中でも一番に可愛く笑って見せたエウラリアだった。
そして、マルタはと見ると。
こちらは少し暗い感じだ。
マルタは駄目だったのか?
が、そのマルタも呟いた。
「自爆が着いた」
明らかに困惑しているような感じで。
「自爆?」
王子はスグに思い出す。
「ガスラの持っている必殺技か」
「……そうだけど」
マルタは王子を見詰めて。
「私……あんな事できない」
できないとは、魔物に突っ込む事か……。
確かにアレは近接戦闘ありきだ。
マルタに出来る筈もないか。
悩む気持ちもわかる気がする。
それでも着いて間なしのスキルだ。
大した威力も無い筈だと、チラリとエウラリアを見た。
同じ様なモノの筈だと、だ。
少し考えた王子は、重く成る口を開く。
「一度……試して見ればどうだ?」
そうマルタに告げて、側に居たエウラリアの手を引っ張った。
ガスラの時の記憶を思い出して、距離を開ける為だ。
暗い影にマルタが消えて、それでもまだ離れる。
「チョッと……一人にしないで」
ずいぶんと情けないマルタの声は聞こえてくる距離だが。
そこで王子が叫んだ。
「試しだ、やってみろ」
「わかった」
心細く成ったのだろう、その叫びは早口だ。
ポン……。
軽い音が洞窟に響く。
「やったのか?」
音だけで、爆風どころかそよ風すら届かない王子は首を捻った。
「やったよー」
マルタの声が近付いて来る。
声の感じからして走って居るようだ。
「はあはあ……」
そんなに寂しかったのか?
王子の側に来た時には息を切らしていた。
「自爆は?」
「全然、大した事なかった」
息を整えて、笑うマルタ。
「ここでやっても大丈夫な感じ」
と、マルタの足元に魔方陣が浮き上がる。
マルタを中心に30m程のサイズだ。
それが弾けて……。
ポンと音を立てた。
今度は少しの風が王子の頬を撫でる。
「まだ、全然でしょう?」
「成る程……」
低レベルなら、やはりそんなものか。
「でも、敵に抱き付かれた時には有効か……」
「魔法の詠唱も無いから発動も早いし、いいと思う」
ガスラみたいな事をしなくても良いわかったのが、ホッとしたらしい。
しかし、将来的にはそう成るのだろうけど……その時は自爆は封印か。
それはまたその時に考えれば良い事だ。
「まあ、レベルが上がれば威力も上がるのだろうし……使う時は言ってくれ」
突然に巻き込まれるのは堪らないからな。
「わかった」
マルタもシッカリと頷いていた。
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