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049 王子の棒術の……その意味


 結局、帽子を買った王子。

 それを被って、今度は隣の店。

 防具屋に横並びに有るのはヤッパリ武器屋。


 剣や槍が飾ってある。

 弓も有るが……フィールドでは役に立ちそうだが、ダンジョンとかの洞窟ではどうなのだろうか?

 そんな疑問も浮かぶのだが、弓使いはそれでも対応できるのだろうな。

 と、適当に納得しておく。


 それよりもだ。

 問題なのは王子の武器だ。

 腰には剣もぶら下げているのだが。

 王子が持っているスキルは ”棒術” なのだし……それに対応した武器も必要だろうと思う。

 それに、いつまでも桧の棒では、それは駄目だろうと買い換えを考えたのだ。

 いまいちシックリこないというのも有るしだ。

 

 ただ、店の中を物色しても、確かに棒は有るのだが……どれが良いのかがわからない。

 長い棒?

 短い棒?

 短くて太いのも有る……これは棍棒か?


 あれやこれやと見ていると、店の親父がやって来た。

 背は低いが、やたらとゴツイ親父だった。

 もしかするとドワーフ?


 「さっきから棒ばかり見ているが……もしかして棒術か?」

 低い声で……しかも酒臭い。

 ヤッパリ、ドワーフじゃあないか?


 「スキルに棒術しか無いんだ」

 王子は素直にそう告げる。

 命を預ける武器なのだから、見栄を張っても仕方がない。


 「それは、珍しいな」

 ガハハと笑った親父。

 「棒を使っていると、普通は槍とかのスキルが付くんだがな」


 成る程、そうかも知れない。

 棒で突く動作は槍に通じるものが有る。


 「後は打撃系とかも可能性が有るな」


 「どっちも付かなかったな」

 そうなのかと、頷いて。

 「棒術だけってのは珍しいのか?」


 「普通は付かない」

 キッパリと言い切られた。

 「棒は初心者向けだが、使っていると先に槍か打撃武器が出るからそっちに切り替えるもんだ……だから、棒術を持っている者はあんまり見ないな」


 ふーんと、答えるしかない王子だ。

 それしか出ないのだから、仕方無いじゃあないか?

 少し、馬鹿にされた気分にも成る。

 それを誤魔化す為に、棍棒を指して。

 「これは打撃武器?」


 「そうだな、棒術でも使えるが打撃系のスキルが有った方が有効に使えるな」


 「打撃系か……」


 「他にも斧とかハンマーとかも打撃系だ」


 「両手大剣は?」

 リサが振り回しているのを見ていると、打撃系にも見える。


 「それは中級職だな、初級の剣士と初級の打撃系の職を二つ中級迄に育てれば、両手大剣の職に就ける」


 「職なのか? スキルでは無くて」


 「スキルを上げると職に成る、もちろん職の枠に空きが有ればだが」


 「無ければ?」


 「それは、スキルとしてレベルを上げるしかないな……中級職や上級職には出来ないだけだ」

 

 成る程……リサはその二つを育てて、今の両手大剣に成ったのか。


 「まあ、無いモノをグダグダ言ってても仕方が無いだろう?」

 親父は王子に笑いかけて。

 「先の事は、スキルが出てから考えるんだな」


 「そうだな」

 全くその通りの事だった。

 「で、棒だが……どれが良いんだろうか?」


 「武器としては、ここに有る棒はどれも良く出来ているのだが……問題はお前さんの棒術がどのタイプかだな?」

 

 「タイプって有るのか?」


 「そりゃあ有るさ、幾つかの系統に別れている」

 フンと鼻を鳴らした親父は、店の外を指し。

 「一度、見せてくれ」


 ……?

 良くわからない王子。


 「スキルを意識して、今使っている棒を振り回してくれ」

 そう言われて、店の外に引っ張り出された王子。


 武器屋の親父が、言うのだからそれで何かがわかるのだろうと、桧の棒を出した。


 スキルを意識する。

 と、自然と体が動く。

 ……。

 棒を片手で持ち。

 地面に円を描くように引き摺り。

 そして、振り回した。


 「成る程……シチリア棒術か?」


 そんな棒術が有るのかと、思いながらも続ける。

 回転させた棒で突く。

 そして、叩く。

 そして、棒の前後を入れ換えて回す。


 「ラ・キャンっぽくも有るな……」

 唸り出した親父は、何かを考え始めた。

 

 そんなにヤヤコシイモノなのか?

 王子は棒を納めて、右手に杖の様に持った。

 そう言えば、何時もこういう感じで持っていた。

 

 「打撃も少し入っている様な……でも、打撃のスキルは無いんだろう?」

 首を捻り始める親父。

 「その棒が、合ってるんじゃあ無いのか?」

 諦めたのか、思い付かないのかそう告げてくる。

 

 しかし、王子にはこの桧の棒には、少し不満が有った。

 「いや、少し軽い感じがするんだ……なんと言うか、先に重さが足りない?」

 王子は、右手で持った桧の棒の上の先を左手で指差す。


 「なんか……何処かで見た事が有る気がする」

 横で見ていたマルタが王子をジッと見る。

 

 そして、おもむろに近付いて……。

 王子の桧の棒の先に、さっき買ったリンゴを突き刺した。

 「どおお?」

 

 イキナリで驚いたが、そのリンゴの刺さった桧の棒を横に向けると……もっと驚いた。

 「あああ! この感じだ」


 「なんだ?」

 武器屋の親父も驚いてマルタを見た。

 「何か知っているのか?」


 頷いたマルタ。

 「それって……王様が式典か何かの時に持っている棒?」


 「王笏か!」

 王子と店の親父が同時に叫んだ。


 そして、王子は初めて納得した。

 そうか、この棒術は王子の職に由来するものだったのだ。

 将来は確実に王に成る、その時の為の棒術だったのだ。

 今までは、人形使い由来だと勝手に思い込んでいた……羊飼いの棒の様に人形もそれで指示を出すとかそんな感じたと勝手にだ。


 「親父! 王笏は置いているか?」


 「無いよそんなもん」

 苦笑いの親父。

 「それが欲しけりゃあ、城の宝物庫でも探しな」


 ああ……しまった。

 宝物庫には一度忍び込んだのに。

 ガックリと項垂れる王子。


 「まあ……面白い棒術を見せて貰った礼だ」

 店の親父は、王子の落胆に武器屋の親父として申し訳なく感じたのだろう。

 「それっぽいモノを造ってやるよ」


 「本当か?」

 勢い込んだ王子は。

 マルタに。

 「金をくれ」


 マルタは金貨の入った袋を出して王子に渡した。


 そこから大金貨を数枚出した王子は、それを親父に握らせた。

 「それで作れる最高のモノを頼む」


 手の中の金貨を見た親父は飛び上がる。

 「これは幾ら何でも大過ぎる」

 

 「いやいい、それで余る様なら後で返してくれれば問題ない」

 渋る親父の目の前に掌を向けて制止して。

 「明日、また来るからその時に出来る期日を教えてくれ」


 なんだろうか、頭の中が梅雨の後の晴れ間の様なスッキリとした気分だ。

 モヤモヤしていたモノが吹き飛んだ感じだ。

 そうだ、王子なのだから棒術でいいのだ!

 兎に角、武器屋の親父にはそれで、頼み込んで。

 意気揚々と宿屋に帰った。




 ニコニコと部屋に入って来た王子にエウラリアは驚いた。

 「何か良い事でも有ったの?」


 「ああ、いい感じの武器を見付けた」

 そう告げて。

 「それと、エウラリアの欲しがっていたモノも見付けたぞ」

 王子はマルタを即して、ヒールの入った箱を出させる。


 「これ……私にくれるの?」

 なんだろうかと興味深げに見詰めるエウラリア。

 ソッと箱を開ける。

 ……。

 「何で……ハイヒール?」

 疑問に思うエウラリア……こんなモノを欲しいと言った事は無い筈。

 

 微妙な表情のエウラリアを見た王子は。

 「前にヒールが欲しいと……言ってたよね?」

 何故か、不安が走る。


 「ヒール?」

 エウラリアはその言葉を繰り返す。

 「ヒール……」


 「そうヒール……」

 王子ももう一度。


 ……。

 「あの……」

 困惑したエウラリアは。

 「私が欲しいと言ったヒールはスキルのヒール」


 「ほら! ヤッパリ」

 横で見ていたマルタが声を上げた。

 ウンウンと頷いている。

 「おかしいと思たんだ」


 「ん?」


 「だから……回復魔法のヒールだよ」

 上から目線のマルタに教えられる王子だった。

いかがでしたでしょうか?


面白そう。

楽しみだ。

続きは?


そう感じて頂けるのなら、是非に応援を宜しくお願いします。

ブックマークや★はとても励みになります。

改めて宜しくです。

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