表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/87

018 ケットシーはつまりは猫?


 「許さないニャ」

 ユラユラと体を揺らし。

 フラフラと王子に近付く猫。


 うん……このままだと猫に殺られる。

 そう感じた王子は猫に話し掛けた。

 「そう言えば……勝ってもこの状態では使役しても駄目じゃあ無いのか?」

 床に寝ているプペとアンはやはりボロボロの状態だ。


 「傀儡師の最初のスキルは修復ニャ……使役した人形にしか効かないけどニャ」

 声は低いが、それでも答えてくれる猫。

 「ここで倒して、そのスキルを使えば使役できるのニャ」


 「なら……早速」

 王子は猫に視線を残しながらにプペとアンに近付こうとしたが。


 「させないのニャ」

 間に入った猫は叫ぶ。

 「責任を取るまでは許さないのニャ」

 猫の目は本気だ。

 構えた剣を突き出して、一瞬で距離を詰めた猫。

 速い!

 キグルミを使った傀儡師の能力なのだろう。

 戦えない傀儡師が戦える様にする為の人形がキグルミか。


 だが、猫もダメージを負っている様だ。

 距離を詰めた先でグラグラと揺れている。

 然りとて、今のままでも王子には勝ち目は無いのは明白だ。

 その動きの速さだけでも、力の差は歴然なのだから。


 苦笑いの王子。

 「少し……休憩しない?」


 「休憩だ?」

 怒りを隠さない猫。


 「お腹が減ったからさ……」

 ドラゴンのぬいぐるみからイカ串を出して見せる。

 「これを食べたら、貴方と戦うのは約束するよ」

 そして、猫に差し出す仕草を見せて。

 「もちろん君にもあげるからさ……一緒に食べない?」

 

 「買収する積もりかニャ」

 声は相変わらずに怒ってはいるが、目線はイカ串で口許はヨダレが光る。


 「司法取引ってヤツかな? 殺すってのを半殺しに変えてくれると有難い」


 「どっちにしてもギッタンギッタンにするのは変わらないニャら……その取引に乗ってやっても良いニャ」


 「取引成立だ」

 王子はイカ串を猫に差し出して。

 「勝負は食べたスグ後で……かな?」


 頷いた猫は、貰ったイカ串にかぶり付く。

 ハグハグと音を立てて、夢中に成って食べた。

 王子もそれを見ながら、食べる。

 イカ串は出来立ての状態で温かく熱いくらいだ。

 ドラゴンのぬいぐるみの口ポケットは優秀なようだと王子も頷く。


 「早く食えなのニャ」

 王子が半分くらいを食べた頃には猫はもう食べ終わっていた。

 「急かすなよ」

 

 「時間を引き延ばす積もりニャら、それは失敗ニャ……段々イライラしてくるニャ」


 「さいですか……」

 王子は三本目のイカ串を出して、それも猫に差し出す。

 「じゃあこれで時間調整はどうだ?」

 

 王子の手からシュッパッとイカ串を奪った猫。

 「早く食えなのニャ」

 ハグハグ……ハグハグ……。

 

 「食べながらでいいから幾つか質問をしても良いかな?」

 王子は猫にたずねた。

 「どうせココでは人形を獲られ無いのだろう? それでも傀儡師の職は残るから、聞きたいんだよ」


 口一杯にイカを方張りながら。

 「なんニャ」


 「人形を自分で造る場合……何か特別なモノは必要? 材料とか」


 「材料はその時に成ればわかるニャ……Lv40でスキルも得られるニャ」


 「遠いな……もう少し手近な感じでは?」

 

 「魂の生成はLv20ニャ」

 モグモグと。

 「その時は、素材と成る人形が必要ニャ」

 ちらりとドラゴンのぬいぐるみを見る猫。


 「なるほど、これに魂を込めるわけか……」

 先に食べ終わった王子、指を舐めながら。

 「そう言えば、普通に倒す魔物の魂は利用出来ないのかな? 生成では無くてその方が簡単そうだけど……」

 ふとした疑問だ。


 「それは無茶苦茶に確率の低い運ニャ……倒した魔物の魂はすぐにエネルギー体に変わるニャ、だけど死にきっていない状態で倒せば魂が分離出来るニャ……そんなのはほぼ無理だけどニャ」


 「良くわからない状態だな」

 小首を傾げた王子。

 「魔物も倒せば死ぬよな?」


 「死に対する耐性が強い魔物に……希に起こる現象ニャ」

 猫も食べきって、肉球を舐めて顔を拭っている。


 「つまりはそんな特殊な耐性持ちは……高レベルな魔物って事か……」


 「当たり前だニャ、スライムとかで出来たら傀儡師は最強だニャ」

 

 「そうりゃあそうだか、簡単に魂が手に入るなら人形だけで軍隊もつくれそうだ」

 

 「もういいかニャ」

 立ち上がって剣を構える猫。


 王子も立ち上がるのだが。

 「もう少し聞きたい……もし借りに君に勝てたなら、そのキグルミは手に入る?」


 大笑いな猫。

 「勝っても無理だニャ……これはもう持ち主が決まっているからニャ」


 「なるほど……同じ傀儡師同士が争っても相手の人形は奪えないのか」

 王子は、フムと頷きプペとアンの方に歩みよろうとした。


 「動くニャだニャ……人形は触らせないのニャ」


 「いやいや、そうじゃあ無くて」

 指を指した王子。

 「武器の桧の棒を取ろうと思っただけだよ……さっき投げちゃったからね」

 信用をしていない顔の猫に。

 「流石に丸腰で決闘なんて言わないよね? それは逆に高貴なケットシー様には恥に成らない?」

 

 「腰の剣は?」

 猫が目を細めて。


 「これは飾り剣だよ……見た目だけ」

 笑った王子。


 少し考え始めた猫。

 「ソコで待ってろニャ……」

 フロアーの中心、プペとアンが倒れる所まで移動した猫が桧の棒を拾って王子に投げて寄越した。

 そして、もう一度構え直して。

 「拾えニャ……始めるのニャ」


 頷いた王子は桧の棒を拾う。

 「時間稼ぎは……ここまでか……」

 猫には聞こえない小声で呟いた。


 

 お互いに武器を構える。

 「始めるのニャ」

 宣言をした猫は、フッと消えた。


 王子は側を一歩も動かず、桧の棒を前に出す。

 ドンと衝撃が王子に襲う。

 

 猫の攻撃は、目にも止まらぬスピードで真っ直ぐに突く攻撃。 

 ならばと、王子はそこに桧の棒を差し出したのだ。

 猫の手足の長さとそれに合わせたレイピア、それよりも王子の持つ桧の棒の方が長いのだから、前に出すだけで猫は自分から当たりに来るであろう予測。

 それにシッカリと答える様に結果を出した猫。

 腹を押さえて片膝を付く。

 しかし、王子の方にダメージが来た。

 勢い良くぶつかった桧の棒に押される様に後ろに転がされたのだ。


 「やるニャ……」

 顔をしかめた猫。

 「でももうそれは通じないニャ……」

 ユックリと立ち上がりながらに。

 「歩いて近付いて……刺してやるニャ」


 猫は勝手に自己完結しているが……自分から飛び込んで来て、ダメージを受けただけの事なのだが……と、笑う王子も立ち上がった。

 「流石に……もうそろそろでないと、やられるか?」

 またもや聞こえない程の小声。


 一歩……二歩と近付く猫……。

 突然に片膝を着いた。

 いや続けて残りの膝もだ。

 「な、なんニャ……下半身がおかしいニャ」

 必死に腹を擦る猫。


 クスクスと笑いながらに王子が答える。

 「違うよ、今のダメージじゃあないから腹は関係が無い」

 いやっと少し考えて。

 「良く考えれば、腹は確かに関係が有るのか……」


 「何をしたニャ……呪いか何かニャ? でも、呪いや毒はこのキグルミを着ていれば効かない筈ニャ」


 「ほう、そんなに優れた能力なのか……」

 頷いた王子。

 「でもオシイ……君は猫だろう?」

 笑う王子。

 「猫がイカを喰えば腰が抜けるのさ」

 ケットシーにそれが通じるかはギャンブルだったが、上手くいったとホクソ笑む。

 しかし、実際に猫にイカで腰を抜かすは迷信なのだが……王子はそれを信じ切っていた。

 本物の猫にイカを食べさせても、大量に毎日喰えばの話だ……単純に食い過ぎて病気に成るだけの事。

 しかし王子は運が良かった。

 猫にはそうでもケットシーには効いたのだ。

 謎の多い妖精のケットシーと迷信……相性が良かっただけの事だった。


 腰から下をカクカクとさせて立ち上がれない猫に歩み寄った王子は容赦なくに踏みつける。

 「勝った」

 高笑いの王子だった。

 


 

『 

  ナード・ギーグ・ナッロッパ

       年齢16歳 男性

 

  第一職業  王子  Lv1

  第二職業  傀儡師 Lv1

    (使役人形 プペとアン)

  第三職業  …………


       登録発行元……王都 

                 』  

 

取り敢えずここまでで1日で3話は辞めようと思う。

次は1日、1話になると思う。


でも、少し話の方向転換か……テコ入れか、をしないと駄目だろうから、その準備に何日か下さい。

もう少し面白くを考えないと……作者だけが楽しんでも駄目みたいだと反省もしないとだし。

今居る二人の読者の為にも、出来るだけ早くに方針を考えるので少しだけ待ってて下さい。

何がいけなかったのかを考える時間です。

目処は今週末としますので、その時にはまた宜しくお願いします。

もっと面白く、みんなに読んで貰える様に頑張ります。


作者……喜右衛門よりでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ