設定集 その1
本シリーズの背景となる設定です。
本編にはなんの関係もないので、興味のない方には素通り推奨です。
碧き花の伝承
遙か昔,光と影がともにあったとき,
世界は一つであった。
光と影が別れしとき,
世界は別れ,
古き杯は永き眠りについた。
たった一つの運命を待って。
たった一つの世界。
それを求める者,
碧き花を求めん。
水の乙女のため,碧き花は咲く。
定め重き者のため,碧き花は咲く。
古の定めを果たす者のため,碧き花は咲く。
水の乙女の伝説
遙かな昔,伝説の王に治められていたとき,王宮とは大陸の対極に,神々を祀る宮があったという。ここには,神々の巫女と呼ばれる巫女がおり,宮の奥深くで終生託宣を得ていたという。あるとき,能力の高い一人の娘がいた。神々の言葉をよく聴き,巫女の跡を継ぐと考えられていた。ところが,娘には将来を誓った男がいた。この男は身分は低いが,白き力の能力は高かったために,この能力で娘が巫女となる前に立派な男となって迎えに行こうと考えていた。しかし,能力を過信するがあまり,我が身をもって光の神馬を呼んでしまった。
ヒトの身で神馬を御することは不可能であり,男の心も神馬の中に消え去りそうになった。そこで男は,最後の力を用いて娘のもとに飛翔したそうだ。娘は,自分の前に現れた神馬の中に男の声を聴き,自らの身で男を助けようとしたが,その前に神馬の中の男は消滅したという。そのときに流した娘の涙と,神馬が流したという一滴の血が混じり,碧き雫ができたと伝えられている。そしてこのとき娘は,碧き水の乙女,すなわち時の乙女の声を聴き,永久の流れの中で男のために祈り続けているという。神馬がどうなったのかは,伝わっていない。
碧き花の詩
昔碧き水あり。
時の乙女,碧き宮にて,永久を見つめり。
悠久のなか,碧き流れの中に,そは生じん。
碧き流れに向かう光と,その対極にある影と。
互いの領域を広げんと争いしも,
いずれかだけで成り立つことはなく,
二人の長,中つ世を造り上げたり。
永き世の中,中つ世に王現れん。
好く統べ,地は潤い,光も影もともに栄う。
されど,光を使いし者,我が身を用いて神馬を召喚せり。
神馬御す者なく,王は倒れ,地は乱る。
光と影を使いし者,その血によりて神馬を還さんと欲す。
されど神馬は水の乙女の下に眠り,闇の巫女は碧き地に眠る。
地に眠りし光の神馬,碧き花の咲くとき目覚めん。
されど御す者なきとき,再び地は乱れん。
定め重き者なきとき,
白き血の王,古の杯により碧き流れの扉を開けん。
古の嵐を蘇らさんがために。
永き時の中で,
時の乙女は碧き流れを見る。
神馬と巫女を。
白き血の王を。
そして,定め大き者を。
古き呪いを解かんがために。
碧き流れの中で,時は廻る。
時至りて,碧き花の咲く時,
定め大き者の前に,碧き扉は開く。
定め大き者,自ら時を廻る。
中つ世の王とともに時を進めんがために。
碧き水の呪いを解き放たんがために。