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【コミカライズ企画進行中】召喚世界のアリス  作者: 天野ハザマ
混迷世界のアリス

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目的不明3

 それから、数日が過ぎた。というか、数日間寝て起きてを繰り返した。

 だって、守れって言われたし。外に出ないのが一番の安全策なのよね。

 だから今もリビングでクッキーを齧ってるんだけど。


「アリスさまから離れてくださいますか」

「そっちこそアリスさんから離れてくださいませ」


 なんか両側からリーゼロッテとお姫様がくっついてる。なんだこれ。

 お姫様が起きてからひな鳥みたいに私にくっついてくるのはまあ、分かる。

 一応命の恩人だし? 他に頼れる人もいないし? まあ、そうなるわよねっていうのはある。

 リーゼロッテはなんだこれ。何してんのこいつ。


「一応聞くけど、2人とも何してんの?」

「アリスさまから離れまいとしております!」

「アリスさんを取られまいとしてますわ!」

「よし、リーゼロッテは離れて」

「何故ですの!?」

「私はリーゼロッテのじゃないから」

「親友ですのに!」

「リーゼロッテの親友はなんか違うのよねえ……」


 そもそも親友って何したら親友なのかしらね? その辺の定義がよく分からない。


「アルヴァは知ってる? 親友の定義とか」

「哲学の話か? やめておけ、貴様の脳では無理だ」

「ぶっ飛ばすわよ」


 向かい側のソファで我関せずと紅茶を飲んで余裕ぶっこいてるアルヴァがなんかムカつく。


「そもそも感情の類に『大まかな分類』以外のタグをつけるのは無理だろう。特に友情ともなるとな」

「……まー、そうかもね」

「何をもって友とするのか。俺と貴様、そこの残念娘2人それぞれでも違う。そんなものを定義付けする意味があるとも思えん」


 お姫様とリーゼロッテがアルヴァに抗議してるけど、スルーしながら考える。

 何をもって友とするか、ねえ……。


「アルヴァ」

「なんだ?」

「私はアンタのこと、友達だと思ってるわよ」

「……フン」

「はいはいはい! 私は親友ですわ!」

「アリスさま! 私も!」


 なんか今さらりと自称親友が増えた気がする。まあ、いいけど。


「まあ、それについてはいい。これからどうするつもりだ?」

「なにが?」

「今回の事件だ。貴様、どう動くつもりだ?」


 どうって。ああ、なるほど。そういうことね。

 それなら、私の答えは決まってる。


「別に動かないわよ」

「何?」

「私は探偵でも治安部隊でもないし、ましてや正義の味方じゃないの。気に入らなかったから今回首突っ込んだけど、別に正義感じゃないわよ」


 そんなものを振りかざしたところで、どうにかなる話じゃない。

 鉤鼻だって、呪薬だって。私には、壊すことしかできなかった。

 もう1度同じことがあったとして、たぶん同じことしかできない。

 そして、何よりも。


「私は平穏に生きたいの。目の前の理不尽を傍観する気はないけど、理不尽探して突っ込んでいく気はないの」

「その言い様も充分に正義の味方という気はするが……いや、そんな胡乱な概念で語るものでもないか」

「そういうこと」


 私がアルヴァに頷けば、私をじっと見る視線が2つ。妙に静かだと思ったら……。


「……えーと、何?」

「アリスさんは……私の為に戦ってくれましたわ」

「あー……いや、それは」

「アリスさまは、私を助けてくれました。間違いなく関わったら平穏を失いますのに」

「そうだけどさあ……」


 別にそれは正義とか云々って話じゃないのよね。まあ、結果的にはそっち側だったかもだけどさあ。


「私は国元では間違いなく『正義』の側であった自覚はございますが……結果として、今此処に居ます。ですから、今はアリスさまのための私でありたいと思っております」

「それを言うなら私だってアリスさんの力になりたいですわ。ずっと助けられてるだけで、何も返せてませんもの」

「うん、そういうのはいいから」


 にっこり笑ってノーサンキュー。別にそういうつもりで助けたんじゃないし。

 結局は私の自己満足。恩を感じられてもまあ、困るのよね。


「そんな肩肘張って生きる必要なんかないわよ。私はやりたいようにやるだけ。貴方たちは、私のそんな勝手に巻き込まれただけ。そういう無責任な美少女よ? 私はね」

「フッ」


 何が面白かったのかアルヴァが笑う。別に面白いこと言ったつもりは一切ないんだけど……。

 実際、あの陰険メガネも私を何とか利用しようとしてるフシがあるし、そういうのには関わりたくない。

 ていうか……たぶんだけど人間と魔族の間で火種バッチバチにあるわよね?

 なぁんか、そんな感じがするわ。どう転んでも魔族のせいになるような、そういう仕掛けがある気がする。

 勇者だとかそういうのを召喚したのも、そういう話の一環なんじゃないかしらね。

 でもなあ……人間と魔族で戦って何が嬉しいのかしらね。その辺りが理解できないから、ただの勘でしかないのだけれど。

 不思議と、そう大きくは外れていないような……そんな気が、する。

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