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【コミカライズ企画進行中】召喚世界のアリス  作者: 天野ハザマ
境界線上のアリス

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放っておけば話は何処までもズレていく

「ていうか……」

「あら、居たの」

「居ましたわよ⁉」


 なんでアルヴァの後ろ歩いてんのよ。あ、私が言ったせいか。

 ま、それはさておいて。


「ふーん。で? ていうか……の後、何言おうとしたの?」

「誤魔化しすらしませんわね……」

「だって、どうせ開かない扉開けようとしてるんだと思ったし」

「貴女が開けてくだされば問題ないんですわよ?」

「やだ」


 リーゼロッテが入ったら死にそうな場所もあるし、入れたら入れたで面倒そうだし。

 ま、気が向いたらかなー。


「話がズレているぞ」

「あ、そうですわね。えーと……アリスさんって、アルヴァさんに可愛く思われたいんですの?」

「「は?」」


 私とアルヴァが同時に出した声に、リーゼロッテがビクリとする。

 いや、だって言うに事欠いて。


「私が可愛いのは世界の真理でしょうが」

「このアホの戯言を聞けば理解できるだろう。コレは極まったナルシストだ」

「はあ、それは見れば分かりますけど」

「何よ。じゃあリーゼロッテは私が可愛くないっていうの?」

「一般的感覚から見れば可愛いと思いますけど、色々台無しだとも思いますわ」


 むう。まあ、いいけど。


「なら、どうしてアルヴァさんにわざわざ確認を?」

「んー。なんていうか、行った先でナンパされてさ」

「あら」

「ほう」

「しかも『俺に惚れないのは変だ』的なこと言ってたのよねー」

「はあ、それはまた……」

「で、分かったんだけど。男から妙な視線で見られるのって思ったより不快なのね」


 勉強になったわー、と言う私を前に、アルヴァとリーゼロッテは顔を見合わせて。悩むように私に視線を向けてくる。何よ、その変な目。


「あのー……それとアルヴァさんにさっきの台詞を言うのと、何の関係が?」

「いや、アルヴァなら私の美少女っぷりを目にしても妙な視線向けてこないでしょ? 身体は狙ってきたけど」

「えっ」

「待て、その説明は誤解を生む」

「何一つとして嘘はついてないけど」

「その前の話が問題だ」

「アルヴァさんて……そういう過去が……?」

「違う。そうじゃない。単純にこいつの身体を手に入れようと……いや、違う。後ずさるんじゃない」

「紳士だと思ってましたのに……!」

「逃げるな、説明させろ!」

「いやあああ、このブラックメイガス!」

「なんだその罵倒は! 待て!」


 追いかけっこを始めたアルヴァ達を放置して、私はソファーに座って紅茶を一口飲む。

 うーん、あのナジムとかいう奴。そもそもあそこで何してたのかしら。

 まさか冒険者やってるとか? 装備見る限り、そんな感じだったわよね。

 うーん……だとすると、カミッツの森に再度行くのは悪手……だけど。


「そもそも行く用事もない……わね」


 私、E級冒険者だから討伐系依頼とか受けないし。王都とカミッツの森って、それなりに離れてるし。うん、問題ないわね。

 もし何かあったらハーヴェイに押し付けようっと。よし、解決。

 ニヒルな笑みを浮かべて解決の喜びに浸る私の視界に、暴れるリーゼロッテを抱えて走ってきたアルヴァが見える。


「おいアリス! 貴様のせいだろうがコレは!」

「いやああ! 私の身体を狙う気ですのね⁉」

「うるさいヘッポコ魔女め! アリス、どうにかしろ!」


 どうにかしろって言われてもなあ……うーん。

 とりあえず、私はアルヴァに小脇に抱えられたリーゼロッテに視線を合わせると、諭すように話しかける。


「えーとね。こいつは初対面で『お前が欲しい』とか『全て捧げろ』って言って襲い掛かってきただけなの。リーゼロッテの想像してるような感じじゃ」

「想像通りじゃありませんのおおおおお!」

「だから違うってば」

「何が違うっていうんですのよ!」


 何が違うって。エロい話じゃないわよね。あとは……うーん。

 うーん……段々面倒になってきたぞ。何か良い言葉はないかしら。


「エッチな話じゃないの。そう考えたリーゼロッテがエッチなだけなの」

「……」

「……説明下手か、貴様……」

「あれー?」


 一瞬の沈黙の後に顔を真っ赤にして暴れ始めたリーゼロッテ。

 むう、これ私が悪いのかしら。


「でもどう考えても私を襲ったアルヴァが悪いわよね」

「ええい、面倒だ。『ナイトメア』」


 コテン、と力を失ったようにぐったりし始めたリーゼロッテを見て、私は思わずつついてみる。

 むう、なんか寝息が聞こえてきたぞ。


「これ、どういうアレなの?」

「夢を見せる魔法だ。基本的には悪夢だが、手を加えて俺と貴様の戦いを追体験するような内容になっている」

「ただのスーパーヒロインストーリーじゃないの」

「俺視点での夢だ。貴様のボムが身体を消滅させていくのは、中々の悪夢だと思うがな」

「ええ……?」


 あ、なんかリーゼロッテがうなされ始めてる。


「いやああ……私が、私が光になって……」


 おお、ビクンビクンしてる……これ後で私が理不尽に怒られる流れじゃないの?

 でも大丈夫かしら。あの一件ってアルヴァが悪人なだけだし。

 ……でもちょっと離れとこうっと。あ、目ぇ覚ました。


「おはよ、リーゼロッテ」

「わ、私の身体がありますわ……!」

「そりゃ、夢だったみたいだし。で、誤解解けた?」

「貴女がアルヴァさんの視点から見ても無茶苦茶なのは、よーく分かりましたわ……」


 おかしい。なんか私への好感度が下がってアルヴァへの好感度が上がってる気がする……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] そりゃアルヴァさんのがまともに見えるのが全然おかしくないのが面白おかしいです
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