表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ企画進行中】召喚世界のアリス  作者: 天野ハザマ
異界の国のアリス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/136

王都廃棄街3

「あれ? 此処って……」


 転移した先、門の向こう側。

 でも、なんだか違う。空気も違うし……なんていうか。


「此処は……あの空間だな」

「あ、やっぱり?」

「ああ。だが外の風景は廃棄街だな……?」


 言いながら、アルヴァは門に近づいて触れて押すけれど……門はビクともしない。

 ガチャン、と揺れる音すらしないのだ。

 んんー……?


「なんだ、この門は。まるで壁か何かのような……」

「あ、もしかして」


 近寄って私が触れると、移動先を訪ねるウインドウが出てくる。


「あー、やっぱり。コレ、移動用の機能があるだけなのね」

「……ふむ?」

「つまり、たぶんだけど……あの外の建物って、見た目だけなんじゃない?」


 もしかすると、あの「外の建物」に無理矢理入っても、それだけって気がする。

 そもそも入れるのかも分からないけど。


「……なるほどな」

「なんか安心したわ。はー、紅茶でも飲みましょ?」

「つまり貴様は、魔法理論的に見て異次元級の難度の防衛機能をあんな場所に顕現させたというわけだ」


 ……ん?


「良かったな。遠からず今代の魔王がやってくるだろうが、貴様は確実に目を付けられるぞ」

「ええー!?」

「流石に寄越せとは言わんだろうし、寄越せと言われて渡せるものでもないだろうが……まあ、何かしらの要求はあるかもしれんな」

「え、やだ……」

「諦めろ」

「やだ……」

「諦めろ」

「やだ……」


 そんな事をやっていると、壁の外……空の向こうから、何かが飛んでくるのが見える。

 コウモリみたいな翼の生えた、えーと……なんか紫のロン毛の男。

 ええ……何アレ?


「早速来たか。今代の魔王だな、アレは」

「ええー……?」


 家の上空まで来た魔王であるらしいコウモリ男は、そのまま上空から家を見下してキョロキョロと何かを探している。


『……こんな所に家……? だが、持ち主は居ないように見えるな』


 すぐ下にいるんだけど、これって。


「私達が見えてないみたいね」

「ああ。あの塀の内側は完全な別空間だからな。向こうからは見えんのだろうさ」


 そんな事を私達が言っているとも知らず、コウモリ男は家をじっと見下ろしている。


『……だが、凄まじい魔力を感じる。この家が放っているのは間違いないが……降りてみるか』


 そう言うと同時に、蝙蝠男はすうっと降りてきて……そのまま、空に立つ。


『むっ!? なんだこれは。結界か!?』


 空をガシガシと蹴っている姿は、ちょっと間抜けな感じ。


『おのれ、余を弾くとは無礼な! こんな結界……ぶち破ってくれる!』

「お、魔王が魔法を使うぞ。意図せずして強度テストができるな」

「ええー?」

『受けよ、ヘルブラスト! ぐわああああー!』


 あ、なんか凄い炎が魔王に跳ね返って……うわあ、ちょっと焦げてる。

 ていうか、火の魔法とか……火事になったらどうすんのよ。


『お、おのれ! 反射の結界だと!? それも、このような強度……ええい、出てこい不敬だぞ!』


 ガシガシと結界を蹴るコウモリ男……もとい魔王を見上げて、私は楽しそうに笑っているアルヴァに視線を向ける。


「えーと……こういう場合って、どうしたらいいのかしら」

「挨拶してやればいいのではないか?」

「なんかアルヴァの威厳とかで、丁重にお引き取り願えないかしら」

「それでもいいが、どうせ関わることになると思うぞ」

「やだなあ……」


 なんか凄い俺様系っぽいし。関わるのめんどくさそう……。


『出てこないのか! くそっ、この!』

「……見てみろ。アレを放っておくと、加速度的に面倒が増えるぞ」

「うええ……」


 仕方ないなあ……。


「じゃ、ちょっと行ってくる……」

「ああ、行ってこい。俺は此処で見ていてやろう」

「……ついてきてくれないの?」

「ついてきてほしいのか?」

「うん」

「そうか、だが断る」

「……覚えてなさいよ」

「もう忘れた」


 大きく溜息をつくと、私は門に触れて転移する。

 結界を蹴っていた魔王が私に気付いたのは……その瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 結界に魔法を跳ね返されてダメージ受ける魔王想像したら笑っちゃった
[一言]  俺様系のようだが・・・小物っぽいな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ