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私は正義じゃないけれど

「アリスですわああああああああああ!」

「よいしょおおおおおおおお!」


 やっぱりタックルだこれ! 真正面から受け……結構重い! 勢いついてるからなの!?


「重い!」

「重くありませんわ!」


 重いっての。リーゼロッテをぺいっと床に投げると、ひどい目にあわされた被害者みたいな目でリーゼロッテが見てくる。いや待ちなさいよ、被害者は私でしょうが。


「で、なんなのよ? 別に久しぶりに会ったわけでもないんだし」

「だってアリスってば最近、その子ばっかりで私のことおざなりなんですもの」

「え、めんどくさ……」

「めんどくさくないですわ!」


 めんどくさいでしょ……普段エリクサー研究だとかで引きこもってるのに何それ……。

 ていうか毎日毎晩会ってるのにこれ以上何があるのよ……?


「あ、あの……アリス様? 私のことはいいですので……」

「ほらもー、ミーファが気をつかってるじゃない」

「うー……私だってここ最近は気をつかって何も言わなかったじゃありませんの」


 そうだっけ。いや、そうかもなあ……リーゼロッテにしては静かだった気がするけども。うーん。


「でもなんかこう、ひとまず解決したみたいな雰囲気出してるとこに突撃して何が悪いんですの!?」

「突撃が悪い」

「ごめんなさいですわ!」

「よし」


 大事なことよね。ほんと重かったし。


「重くありませんわ!」

「え、何。心読んだ?」

「そんな力ありませんわよ」

「そっか……」


 じゃあ顔に出てたかなあ。まあ、いいけども。


「それで、解決したってことでいいんですわよね?」

「うーん……どうなんだろう。未解決事件がまた増えただけって気もするけど……」

「言い得て妙だな」

「あはは……」


 アルヴァが頷いてミーファが曖昧な笑みを浮かべるけど……実際そうなのよね。

 この事件が解決したかっていうと、物凄い微妙だ。

 ミーファは助けたし、それに伴う人間の国との問題は第2王子を届けたことでどうにかなったと信じたい……っていうか、後は偉い人たちの話になった。

 なんか悪い奴もぶっ飛ばしたし、これで終わってほしいんだけど……どう見てもあの呪薬人間が今回の裏にいた犯人だとは思えない。

 だってあれ、ただの脳筋のバトルマニアだったし。それに比べるとミーファの事件ってなんかこう……めんどくさい感じだし。絶対裏に何かいると思うのよね……。

 そしてなんかこう経験上、その裏にいる奴に目をつけられた気もする。どうせ此処入ってこれないだろうけども。


「そもそも何が解決していないんですの?」

「何って……全部?」

「私もアリス様が今関わってる事件はなんとなくしか聞いてませんけども。そもそも最初の魔眼石とかいうものについては解決したんですの?」

「あー。あれはなんかこう、罠だったのよ」

「うーん……」


 そこで首を傾げるリーゼロッテに、アルヴァが「何かあるのか?」と問いかける。お、なんか珍しいわね。何処か引っかかる部分でもあったのかしら?


「何かといいますか……魔眼石の出来損ないである必要があったのかしらって」

「どういうこと?」

「魔眼石を作る。そういう目的であったとして、実際に子どもを攫ってきて、重たい道具を運んできて、その製造を実際に行う。その必要性がどうにも……えーと……そうですわね、例えばの話、誘拐したとしても訳の分からない道具を使うんじゃなくて、攫ったという事実だけでも充分ですわよね? 殺す必要は何処にあったのかしら」


 そりゃまあ……説得力とか? 実際にそれっぽい石が出来てたことで魔王まで話がすぐにいったんでしょうし。


「いや、確かに……あの偽魔眼石も、少し見ればすぐ分かる程度のものだった……となると、あの偽装自体にたいした意味はない。魔族を余程ナメているというのでなければ」

「人間相手に印象操作出来れば充分という可能性もありますけど、魔族の国でその可能性のみに賭けるのはちょっとばかり策としては下策ですわよね」

「その通りだ。するとあの石ころの作成自体にも何かの意味があったということになる」


 おお、アルヴァと対等に議論してる……リーゼロッテって、そういえば頭は良かったのよね……。


「どう転んでもいいようにやっていた。そう考えるのが自然ですわ。私は錬金道具を見てないから分かりませんけど、もしかすると魔眼石を本気で作ろうとしていた可能性はあるんではないですの?」

「……実験、というわけか」

「え、待って。だとすると、何処かに改良品みたいなのがあるかもってこと?」

「可能性としてはありますわよね」


 それは、物凄くムカつく話よね。あのろくでもない錬金道具が改良されて、何処かにあるかもしれない。許せない話……そう、絶対に許せない。私は正義じゃないけれど、そんなものが目の前にあったら間違いなく叩き壊している。


「今回のアリス様の関わってる事件……外から見てると事態をわざわざ複雑化させて、本当の目的を隠してる……そんな気がするんですのよ。まあ、気がする程度の話ですけど」


 いや、それは……なんだか、聞いていると本当にそんな気がしてくる。あの脳筋を送り込んできたのも、全部こちらの視界を狭めるためのものだとしたら……?


「……だとすると、何も解決してないわよねこれ」


 私の頭で解決できる話じゃないわよこれ……どうすんの?

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